フゥルの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

人を黙らせる方法 上

 人を黙らせるのは簡単です。

 

 

 

 高校二年生春、私の学年順位は250人中150位ほどでした。

 

 「虹って言わないで・・・。」

高校三年の四月、私は親にこう言いました。光の屈折。あまりにも不可解でした。途中あった小テストも全く解けません。後で教科書を見て解こうとしても無理でした。学校に残っても意味はありません。

 

数字を見るのが嫌でした。だって、家に帰ってまであの意味不明な文字に苦しむのは、まっぴらごめんですから。数字は不快でした。XYZKそんなのわからなくても生きていけます。必要ないとは思いませんか?数学は全くわかりません。微分積分も何もかも。行列ぐらいでしょうか。まともな点数を取ったのは。

 

受験。悪夢。五、六月。

 

うごメモで「ルイージの小説」、投稿開始。

私の心は押しつぶされました。変に人気が出たせいで、そう、久しぶりに人に認められたような気がして・・・、その淡いつながりを大切にしたいと思いました。再生回数一万回。夢のようでした。みんなが私のことを認識している・・・。

・・・クラスでたった一人孤立している現実がいやでいやで。孤独です。まいにち一人で弁当箱のふたを開けるのは、今でも変わりませんが・・・わびしいです。

 

高校に私の友人は五人、そう、五人しかいませんでした。全員私とは別のクラスですが。教室移動でも、全くかぶりませんでした。

 

 

布団の中に閉じこもる毎日。亀布団です。

 

「小説書きたい。」

「受験だったら受験をあきらめて専門学校に行きなさい。」

「勉強したくない、でも勉強しなきゃいけない。大学に行かなきゃ。大学に行かなきゃ給料に差がある。収入の差。少しでも就職を有利にするために・・・。」

「専門学校を見下しているんじゃないの?」

母との会話はこんな感じです。いつもいつも、苦痛にしか感じませんでした。今思えば親の方が正しかったのですが。

 

 

 

 

亀布団、その一方で人が殴りたくてしかたがない。

 

「人を殴りたい。」

唐突にクラスメートに言いました。

「はあ、中二病か?」

その子は冗談として取ったのでしょうか。だとしたら見当違いです。ええ、本当に殴りたかったです。

 

 

私の生活は

学校→家で亀布団orゲーム(うごくメモ帳

これだけでした。

 

うごくメモ帳は1日最低三時間、休日は九時間近くプレイしていたと思います。もはや廃人のレベルです。私は受験のことを少しでも頭の中から消したかったのです。だから、ゲームに執着しました。妄想にふけりました。現実はイヤです。

 

 

六月、親に進められて水族館に行きました。

 

お魚は何も考えず泳いでいるみたいです。

 

久しぶりに空手に行きました。

 

一般の方々に励まされました。久方ぶりにすっきりしました。

 

 

ルイージの小説」連載停止。

絵、「シバッタ、アソンダ」を描く。

 

 

運動会は記憶にありません。覚えているのは騎馬戦で馬をやって生き残ったことぐらいです。

 

 

七月、定期テスト、答案用紙を見ました。光の屈折が定期テストの範囲でした。

意味がわかりません。全くわかりません。白紙のまま、次から次へと問題を飛ばしてゆきます。何も分からないままテスト問題の最後まで見渡しました。とりあえず適当な数式を書きました。意味がないことは分かっています。でも、いいんです。少しは気が楽になりますから。

 

私の物理の成績は常に赤点でした。高校二年生の時から、平均60点のテストで30点台を続けざまに出していました。

 

しかし、今回はもっと悲惨でした。

 

数学Ⅲ・C、もはやほぼ白紙でした。何も、何も、ううっ・・・何も何も何もわかりませんでした。試験時間三時間のうち最初の15分で決着がつきました。私はテスト用紙にひたすら「勉強しろ勉強しろ勉強しろ勉強しろ勉強しろ勉強しろ・・・」と書き続けました。提出直前に消しました。

 

 

 

 

数学Ⅲ、0点。数学C28点

 

 

 

 

冗談でしょうか。

 

隣でクラスメイトが言っています。

「俺3点だよ!これ以上悪い点数とれないだろ!3点。」

 

数学の先生が

「そうだな、次はもっと頑張れよ」

とフォローします。

 

 

 

数学の先生は私のことは黙ってくれました。

 

 

 

ありがたいこと、この上ありませんでした。

 

 

 

 

 

うふふふふ。評価評定、学年順位下から28番目。250人中。あはははははは。もはや笑うほかありません。

 

 

小説書きたいでも勉強しなきゃいけない大学に行かなきゃ就職給料安定プライド先生の勧め専門推薦とは逃げ道勉強したくない小説書きたい・・・

 

 

輪廻。抜け出せない悪夢。

 

 

 

担任との二者面談

「あなた、もうそろそろ進路決めなさい。大学か専門か。何もしたいことがないのなら大学に進みなさい。」

 

さすがに五回は響きます。五回も面談しなくていいじゃないですか。しかも先生、二時間しゃべりっぱなしは精神的に厳しいです。心が押しつぶされます。反論のスキもないじゃないですか。ウフフフ。

 

 

七月後半、とうとう、先生の追求に負けました。大学に行く決意、いや虚構を据えて勉強にはげみました。

 

 

八月。

一日十時間塾に閉じこもりました。家と塾の往復。それ以外何もしていません。

毎日毎日勉強です。夏休みとは何だったのでしょうか。

 

 

九月

 もうイヤだ。やめよう。報われない努力は。大学に何の魅力も感じない。大学の何がいいんですか?私は小説を書いたり空手で汗を流したりしたいんですよ。

 

 

 九月後期、親からの勧めでとある専門学校受験。評価評定3.0あれば単願を受けられたのですが、私の評定平均は2.9でした。

 

 専門受験は奇跡的に合格しました。