フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 39 分岐1 第八章

星の降る丘。

 

日中から空が夜のように黒く染まっている。

その名のとおり無数の流れ星が常に天空を横切っている。

 

天空に輝く星たちの明かりで周囲は明るく、

空気は澄み渡り、

地面の砂は乳白色に淡く発行している。

 

そんな幻想的な丘。

 

この世の風景ではないかのようだ。

 

わたしたちのいた世界の物理法則がことごとく裏切られるようなこの丘の頂上、

星の国へと続く道が現れる場所に『それ』は立っていた。

 

黒い人。

 

唯一色のついている盗品の緑の帽子が映えていた。

影絵のようなそのシルエットには見覚えがあった。

ルイージ?」

 

思わず隣にいる彼を見る。

そしてその表情に驚いた。

悲壮に満ちた悲しい目をしていた。

これから戦いに行くような人の目ではなかった。

 

重苦しい空気。

これから何が起こるのだろう。

 

黒い影がこちらに気づいた。

目も鼻も口もない顔を向けてきた。

いきなりカゲがしゃべりだした。

 

「君はだまされている。

今スピネルの隣にいる奴は偽者だ!

本物は僕だ!」

 

隣?偽者?

何のことを言っているのだろう。

 

彼が反論する。

 

「本物である証拠は?

そもそも何に関して言っているんだ?」

 

その一言に『それ』は

「これを見てくれ!」

 

≪サンダーハンド≫

 

彼の技を真似てきた。

どうやら彼のことを言っているらしい。

『彼』は偽物で自分こそが『彼』だと。

 

彼は冷たく言い放つ。

「・・・なるほど。

でもそれだけじゃ何の証明にもならない。」

 

今度は『それ』がわたしに声をかけてきた。

「僕に君だけの思い出を質問してくれ。

それに回答できればしんじてくれるよね。」

 

こいつ・・・。

 

「あなたとの思い出なんか、ない。」

黒い影はわたしを必死に説得しようとしてきた。

「お願いだ、スピネル。

信じてくれ。

せめて、質問ぐらいしてくれ!

頼む!」

 

 

わたしは『それ』と遊んでやることにした。

「最初にわたしが口にしたものは?」

 

「重湯。」

 

「わたしが嫌いだった言葉は?」

 

「人間。」

 

「わたしがルイージを信頼する理由は?」

 

「生きる希望だから。」

 

なんなのこいつ。

『それ』はわたしの質問にことごとく答えた。

動揺しているわたしを察してか彼が声をかけてきた。

 

「今度は僕に質問してくれ。」

無論完全回答。

 

本来なら本人以外知りえない記憶を二人とも持っていた。

奴は記憶までコピーしたのだろうか?

 

『それ』がいらだった様子で叫んだ。

「しょうがない。

戦って決着をつけよう。」

 

 

二人の実力は全くといっていいほど互角だった。

動きから技、クセ何から何まで二人ともそっくりだった。

「何なの・・・これ。」

お互いに一歩どころか半歩も譲らない接戦。

彼が傷つけば『それ』も傷つく。

彼が避ければ『それ』も避ける。

いたちごっこに終焉は来るのだろうか。

 

 

互に

≪ファイアージャンプパンチ≫

を受け、

数メートル離れて膝をついた。

 

「実力まで真似しやがって!」

奴の言葉に彼が思い出したように呟いた。

「まさか、シロスケか?」

『それ』は逆に

「お前がシロスケだろう!」

と、咆えた。

 

変身の能力を持つシロスケならあり得る話だった。

段々、訳が分からなくなってきた。

『それ』がシロスケならわたしがとどめを刺したのは・・・

 

シロスケ・・・ランペルの能力は確か・・・。

 

姿、能力を読み取る能力。

他のものを読み取ったものに変身させる能力。

自分を読み取ったものに変身する能力。

そして全てを奪う能力。

 

変身させるものは人でなくてもよかった。

プロミネンスの正体は奴の人形。

 

 

そうか!

 

人形!

 

奴が遠隔操作した人形!

 

 

・・・だとしても、彼と入れ替わるなんて芸当は出来ない。

セキリュウがその場にいたから容易ではなかったはず。

 

でももし、彼の言うことが嘘でセキリュウがあの後やられていたら?

 

「セキリュウ、聞こえる!」

竜の牙を使い通信した。

しかし応答がない。

 

自分があの時気絶していたことに

ひどく腹が立った。

 

 

「それ」が言った。

「記憶も実力も同じ。

なら、最後の手段だ。」

一呼吸置いて黒い影が言った。

「スピネルに任せる。」

やっぱりこうなるのね・・・。

 

彼がわたしを見た。

『それ』もわたしを見た。

二人とも痛いほどわたしに期待を寄せていた。

 

彼が口を開いた。

「この戦いはスピネルを味方につけた方が勝利する。」

わたしは二人を見て冷笑を浮かべて言い放った。

「二人とも冷たいのね。」

彼と『それ』が凍りつくのを感じた。

反応まで一緒ね・・・。

 

わたしの一声で二人の運命は決まる。

記憶と身体能力は全て同じ。

違うのは見た目だけ。

 

口癖なんかも記憶をもとに対応できるのだとしたら・・・。

 

あった。

 

一つだけ。

 

 

 

ルイージ、聞こえる?」

 

「スピネル!」

 

「偽物はどっち?」

 

「シルエットの方だ!」

 

 

 

セキリュウに後でお礼を言わなきゃ。

「黒い人、あなたが偽物。」

あの牙は所有者以外が使っても通信できない。

 

「嘘だ!

嘘だ嘘だ嘘だ!」

 

『それ』は泣き崩れた。

 

「インポーセボー!

ありえない!

こんな所で!

ボクが本物なのにぃぃぃぃぃ!!!」

わたしは彼を見た。

彼は静かにうなずく。

「スピネル、ニセモノとはいえ奴は手ごわい。

一筋縄ではいかないだろう。

作戦がある。

僕が行けと言ったら一直線に奴に向かって走れ!

スピネルの至近距離からの魔法で動きを封じた後、

僕がとどめをさす!

魔法を放ったら直ぐに離れろ!」

 

わたしは彼に了解の意味で手を握った。

一瞬、彼の顔が悲壮や困惑に満ちた表情に見えたのは気のせいだろうか。

「今だ!行け!」

わたしは暴れ狂う魔物に向かって走り出す。

 

カーバンクルの姿に変身し、

彼の言う通り至近距離で魔法を放った。

 

氷柱

≪コルーメン グラシアス≫

 

勢いよく『それ』から飛び退く。

 

 

「今よ、ルイージ!」

 

 

 

 

ルイージの小説

To Be Continued

 

 

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