フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 ルート1 終章          宝石の名はスピネル

終章 宝石の名はスピネル

 

 

 

 

彼は流星を背景に空高く舞い

 

両手を突き出し

 

技を

 

放った。

 

 

≪ネオ・ネガティブ≫

 

夜空に似合わぬどす黒い閃光が

氷塊に琥珀のごとく閉じ込められている『それ』に放たれた。

 

光線が氷を砕き、『それ』を貫いた。

 

 

「オ・ルヴォワール!!!」

どちらが叫んだのかわからなかった。

『それ』の断末魔か、それとも彼の冥土の土産か。

声すら等しい二人の戦いは、

彼の手によってピリオドを打たれた。

 

黒い炎に焼かれるような様で奴はのたうち回り、

そして

緑の帽子だけを残して消え去った。

 

 

辺り一帯は沈黙に包まれた。

 

 

わたしは不意に変な衝動に襲われた。

ルイージ、ホットコーヒー、ある?」

 

何故だろうか。

 

「ああ、あるよ。

・・・・・・・・・・・・。」

 

彼は手渡しでコーヒーをくれた。

無表情で。

わたしは静かに『それ』が消え去った場所に行き、

帽子を拾い、

変わりに缶コーヒーを置いた。

 

「誰にでも優しいんだね、スピネル。」

 

ニセモノ。

とはいえひどく哀れに見えた。

最後まで自分のことを本物だと信じて疑わなかった。

正直、可哀想だ。

 

「・・・・・・お祈りしよう。」

 

わたしたちは手を合わせ、ご冥福を祈った。

 

 

何だろうこの感覚。

 

 

心にぽっかり穴があいたような、

空虚な感覚。

 

地に足が付いていないような浮遊感。

 

自分が存在していることを忘れるような変な気分。

 

そして何より恐ろしいほどの喪失感。

 

知らず知らずのうちに頬に涙が伝って行くのを

 

わたしは

 

感じた。

 

 

 

あの事件の後、

わたしたちは猫の手に戻りいつも通り報告した。

「そうかにゃ・・・。

ここまで来ると憐れみを感ぜざるを得にゃいにゃ・・・。」

しばしの間俯いたルーニャ。

 

しかし、すぐに顔を上げ、

「でも、二人とも無事でなによりニャン。

あ、そうそうお化け化事件解決のお祝いをしようと思っていたのにゃん!

開いている日にちを教えてくれにゃい?」

 

ルーニャ主催国の平和を守った記念パーティ。

わたしたちはもちろん主役で参加となった。

猫の手の団員にキノコタウンの人々から、

ゴロツキタウンの人たち、

ピーチ姫にはたまたクッパやノコカーネルまで。

 

無礼講言うことで

本当に無礼講なパーティが開かれた。

 

飲み食い笑い踊りみんな笑顔だった。

セキリュウとおかあさんもさりげなく参加していた。

 

セキリュウの酒乱姿や

クッパ軍団による大集団ダンスを見る事が出来たのは大きな収穫だった。

 

でも、なぜだろう。

 

何か大切なことを見落としている気がする。

とてもとても大切な何かを。

 

三日間ぐらいパーティをした後、

片づけに二日間駆り出され、

そして日常が戻ってきた。

 

 

 

セキリュウとおかあさんと話し合った結果、

わたしはもうしばらくこの国に残ることになった。

シロスケの言ったことも気になったけれど、

ピーチ姫を始めとする皆が決断の後押しをしてくれた。

 

 

ルーニャはいつも通り多忙だ。

 

とはいえ仕事にノリノリで苦にはなっていないと言っていた。

本人がそうならいいけど、大丈夫かなぁ?

 

 

キノピロは相変わらず元気で

人形遊びがどんどん高度化していた。

 

屋外遊びでもその体力をいかんなく発揮し、

近い将来、お姫様を救い出しそう。

 

 

セキリュウは向こうの世界のことでルーニャ以上に忙しいけれど

暇を見つけてはわたしたちに会いに来てくれる。

 

ただ、時々、わたしに内緒で彼と物凄く真剣な顔つきで話をしたり、

悲壮に満ちた顔をのぞかせたりした。

 

理由を聞いてもはぐらかされるだけだった。

 

 

クッパとノコカーネルはピーチ姫をさらうべく懲りずに暗躍しているらしい。

お元気でなにより。

 

 

ピーチ姫は国の政治に精を出すと同時に趣味にも没頭している。

スキーにテニス、バスケにサッカー。

最近剣道も始めたと耳にした。

 

才色兼備。

 

彼女にピッタリの言葉。

 

 

ゼニノコーはキノコバンクに入社したらしい。

お金に関してうるさいのは相手だけではなく自分にもそう言い聞かせているらしく、

ちょろまかすようなことはしていないらしい。

 

・・・ちょっと信じられないなぁ

 

 

ボスパックンはまたも失恋。

可哀想に、また彼の餌食になっていた。

 

ちなみにパチャンさんに書いてあげた彼のサインは神棚に祭られていた。

 

 

パレッタは人の思いを運ぶのに必死だ。

ただ、大事な想いに限って落としてしまうのは止めて欲しい。

 

 

シショーはこの間、武道大会に出場して優勝していた。

準優勝のジャッキーさんが爽やかな笑顔で

「また、闘おう。」

とシショーに言っていたのが印象に残ってる。

 

 

レサレサ嬢とは何回も御茶を共にした。

・・・間夜中に。

彼はそのたびに悲鳴を響かせることとなった。

 

ごめんね。

 

 

おかあさんは時々この世界に遊びに来てくれる。

おかあさんの言葉に対しての彼の反応がとても興味深い。

 

・・・。

 

 

おとうさんは残念ながら姿を見せていない。

でも、「牙」を使って時々語りかけてくれる。

 

 

シロスケは・・・行方不明。

 

 

 

 

わたしは今もこの家に居候している。

彼と一緒に住んでいる。

そして、今、あなたとお話している。

 

 

 

 

僕もこの家に住んでいる。

スピネルと一緒に住んでいる。

そして、今、君と話している。

 

 

これで僕たちのお話は終わりだ。

楽しめたかい?

お話下手が直接響いたね・・・。

まあ、ともかく僕が言いたいことは全部吐き出したつもりだ。

 

 

わたしも全部言えたような気がする。

いろいろなことがあったけれど、

最終的にこうして平和に暮らしているよ。

あ、ルイージ、コーヒー注いでくるね。

 

スピネル、セキリュウのくれた高級コーヒーの方をお願い!

 

わかった。

 

ごめんね、締まらなくて。

まあ、でもこれで本当に本当に僕たちお話は終わりだ。

 

何でそんな顔をするんだい?

まあ、いいや。

何か考え事があるんだったら相談に乗るよ、

って言っても君は恐らく何も言わないんだろう?

 

いいよ、いいよ、何も言わなくて。

 

とりあえず、コーヒーを飲もう。

 

 

 

ルイージの小説

 

 

 

END