風上、再び 承 合作小説
私は近くの市街地に降り立ち、人の姿に戻ってから公園に出向いた。
・・・少女にあの姿を見られたところで私とわかるわけではない。
・・・変身するところを直接見られたわけではないのだ。問題はない。
まあ、見事に少女は緊張していた。
肩は上がっているし、足は震えている。
私は最適な口調を選択し、口を開いた。
「こんにちは。またあったね。」
「まさか、本当に!」
まだ信じられないと見える。
まあ、時間もそれなりに空いたからな。
「あの時の風の感触はまだ覚えているよ。心地よい風だった。
・・・熱中症気味の私に少し、風を恵んでくれないか?」
「わっ・・・わかった。」
少女はようやく状況が飲み込めたのか風を呼んでっ?!!
ま・・・た・・・かっ・・・!
私は予期せぬ強風に見舞われた。
ああ・・・心地よいというよりは激しいと言った方がいい風だな。
少女の顔をかろうじて拝む。
よっぽど遊び相手がほしかったみたいだ。
いいだろう。今回はそのつもりで来たのだ。
この手荒い遊びも予想のうちだ。しょっぱなからくるとは考えてもいなかったが。
・・・さては、はしゃいでいるな・・・?
だが、今回は簡単には降参しない。
「同じ手が何度も通用すると思ったら大間違いだぞ。
覚えておくといい。」
と、意気込んでみたものの、声は全て風にかき消されてしまった。