冒険家の手記 セイレーン
もしあなたが恋をした相手がセイレーンであるなら、
まずは歌を歌うことから始めるとよい。
彼らは常に歌をうたっている。 ・・・①
それが彼らの誇りだからだ。 ・・・②
だから彼らの求愛は歌で行われる。
すなわち、自分が相手の歌に合わせて一緒に歌うのだ。
歌のうまい下手にかかわらず、彼らの歌声とあなたの歌声が調和したとき、
彼らは振り向いてくれるだろう。 ・・・③
ただし、実際に恋が成就するとは別にして。
注釈
※1 常時というわけではないが、少しでも暇があれば歌っている。
なお、セイレーンの歌声は録音不可。
※2 セイレーンはその慣習より、幼少のころから親に歌を教え込まれる。
さらに、常日頃からセイレーン同士で歌を磨き合っている。
そのため、彼らは歌に対するプライドが非常に高い。
※3 セイレーンは事あるごとにわが子に詩を与える慣習がある。
子は親からもらった詩に、自分で調律を与え歌う。
なので、歌っている歌は十人十色、千差万別である。
また、親から教わった詩は記録に残さない。
歌に合わせて一緒に歌うには、実際に彼らに近づき、自分の耳で何度も歌を
聴き、覚える以外方法はない。