フゥルの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

アウレイスと私 第二部 短編小説

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⬆こちらの話の続きになります。

 また今回も同じく坂津さんからキャラを借りています。

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 アウレイスにという少女に会った。ルビネルの友達でこの学校に短期留学するらしい。人種差別の激しい国の出身だと言うから、色々と心配になった。たが、今はエウス村長の治める村で平和に暮らしているらしい。
 エウス村長は差別撤廃運動の指導者であり、生粋の人格者としてもよく知られている。彼のもとで暮らしているのなら大丈夫だろう。

 ルビネルと負けず劣らずの白い肌に、銀色の長髪。あどけない顔と、ルビネルが気に入るのも無理はない外見だった。性格の方も過度の人見知りではあるものの温厚で優しく、思わず守りたくなるような愛らしさを持っている。


 ただ一つ気になったのは首筋に細くうっすらと直線のアザが浮かび上がっていたことだ。


 そういえば、最近ルビネルの様子が変わった。元々魅力的だったのにさらに綺麗になったような気がするのは気のせいだろうか。何かあったのか、と聞いても詳しいことは答えてくれない。
 今思えばアウレイスの紹介の仕方も彼女らしくなかった。いつもなら私にたいして女の子のかわいい点やら推しポイントを語るのだが、特に説明もなくあっさりとしていた。


 つい先日もアウレイスをルビネルがつれていたが、そのときアウレイスのほっぺたが帯状に赤くなっていた気がする。気のせいだろうか


 ルビネルにアウレイスのプライベートで不審な点がないかと聞いた。ルビネルは自分はそんなことを聞いたことがないし、エウス村長の下でそんなことがあるはずがない、と答えた。……そのときなぜか顔を赤らめてそむけた。何か妄想でもしたのだろうか。まあ、節操もなく女性を弄ぶルビネルのことだ。何を考えていても不思議ではない。


 ルビネルがダメなら直接アウレイスに……いや、その前に外堀を埋めるか。


 私はエウス・オーファン村長に手紙を書いた。あなたの知り得ないところでアウレイスが何か不幸な目にあっている可能性はないですか?と。あの怪我は偶然つくにはあまりにもおかしい位置だ。

 エウス村長からの返答は想像していたものと違った。アウレイスは今、彼の村には住んでいない。最近他国に行かせている、とのことだった。そして、今アウレイスが滞在中の国が……この国だった。エウス村長もアウレイスのことが気になっているらしく、何かあればすぐに連絡をよこしてほしいということ、また、協力して欲しいことがあればできる限りのことはする、という言葉が添えられていた。
 心強いことこの上ない。保護者が子供の敵に回るほど厄介なものはないからだ


 私はとうとう三者面談を切り出した、とはいってもレストランに私が招待しただけだが。とりあえず軽く談笑をする。そこでわかったのは友達、という枠組みを越えてルビネルとアウレイスの仲がよかった。親友といっても差し支えないかもしれない。帰り際に例の話題にそれとなく触れたが、偶然か否か、ルビネルに話題をずらされた。ぐぬぬ


 その後何回か食事に行ったが、その全てにおいて話題を逸らされてしまった。しかも、彼女らと会うたびに、異様なところに小さなアザや傷跡がアウレイスに浮かび上がっては消えている。


 とうとう私は考えたくもない結論にたどり着こうとしていた。一縷の望みをかけ、私はとうとうアウレイスと個人面談をすることにした。


 アウレイスは昔自殺してしまった生徒に似ていた。常に笑顔を他人に振り撒き、そのうらで何か恐ろしいものをひた隠しにしている。そうして、誰にも悟られないまま、いつのまにかこの世を去る。真に自殺を決行する子は何のサインも出さない。ただただ淡々とこの世を去るのである。

 そして、その原因は彼女の友達だった。

 アウレイスとは研究室で二人きりで話した。他愛のない雑談から切り出し、意図的に『怪我』や『人間関係の悩み』等の話題をふり、アウレイスを誘導しようと試みる。しかし、彼女の口から出てくるのは無難な返答と……ルビネルと私の思い出についての問いかけだった。


 なぜか彼女は私とルビネルの過去について強く知りたがっていた。私は確かにルビネルに思い入れはあるが、あくまで一生徒として接してきた。私は会話の中でそれを強調しつつアウレイスの質問に答えた……つもりだ。
 ただ、アウレイスの方は何か不満足なようで、陰りのある笑顔を時々私に向けてきた。私の真の意図が察せられたか?とりあえずアウレイスと二人で話せたのでよしとしよう。じわじわと彼女の本音を聞き出せばいい。時間はまだあるはずだ。


 アウレイスと何度か面談をしたが、彼女は肝心なところでおし黙ったり、はぐらかしたりして、いっこうに傷について話してくれない。そうこうしているうちに変化が起きた。

 
 アウレイスではなく、ルビネルに、である。


 最近、ルビネルの目がとても鋭くなることがある。私とアウレイスが話している時だ。本人は意識していないのかも知れないが、私とアウレイスが話していると、ルビネルは他人にわからない程度に顔を陰らせる。

 何を不快に思っているのだろう。私にはさっぱりわからなかった。



 気がつくと私は、毎週のようにアウレイスに会いに行くようになっていた。エウス村長への報告義務を理由にして。

 だんだんとこころを開いてくれるアウレイス。彼女はとても魅力的な子だ。

 人を思いやる優しい心と、大胆な行動力もある。あとは彼女を認めて、自信をつけてくれるようなパートナーが見つかれば……。

 親しい人に対しては、喜怒哀楽がはっきりとしていて、とても可愛らしい。

 ……そんな彼女の傷について問題がないか確かめること、それが今回の目的だ。彼女からその由来を聞き出すにはそれ相応に仲良くなる必要がある。

 これは仕方のないことなんだ。面談をしてアウレイスとの距離を縮めないといけない。彼女が酷い目にあっていないか、確かめるには彼女の信頼を勝ち取る以外に方法はない。




 そうだ、これは仕方のないことだ……。




 あれからアウレイスの何度も会っている。最近生徒たちから『タニカワ教授がアウレイスという少女と付き合っている』という噂がたっていた。まあ、このくらいは覚悟していたから問題ないとしても、それに続く文言『ルビネルが嫉妬のあまり落ち込んでいる』というのはどういうことだろうか。

 よくよくルビネルを見てみると少し痩せてきているような気がした。気遣う言葉をかけても生返事しかしてこない。

 なぜだろうか?私は疑問が頭に浮かんだが、アウレイスに話しかけられ、後回しにしてしまった。こっちから察して悩みを聞く機会を持ちかける乗るべきだったのに。

 その翌日だった。アウレイスが頬に大きなアザをつくって来たのは……。







━━《幕間》━━

アウレイスとルビネル



 タニカワ教授と『アウリィ』が二人でよく会っているらしい。私はその様子を見たことがない。けれど、日に日にアウリィのタニカワ教授への態度が軟化しているのは確かだった。単なる知り合いではすまされない、もっと親密な関係。それに近づいていた。

 タニカワ教授もアウリィを気に入っているらしく、最近私よりも気にかけている気がする……いや、気にかけている。アウリィを見る目も生徒に向けるものではなく、一個人に好意を抱いている、そんな印章だった。

 奥さんが死んでからというもの、全く恋愛沙汰には興味のなかったタニカワ教授のこころ。私でも動かすことのできなかったタニカワ教授こころをアウリィが動かした。そして、アウリィのこころもまた、タニカワ教授に開いている。

 なぜ二人にできて私には出来ない。私はアウリィの気を引いたタニカワ教授に嫉妬し、タニカワ教授の気を引いたアウリィに嫉妬した……

 ……ちがう、ちがう、嫉妬なんかしてない。二人とも私の大切な人なんだから。

 いやでも、アウリィの心は確実にタニカワ教授に……。くっ……タニカワ教授はアウリィ何を気にしていたのかしら?いや、単純に個人的に好いていただけなのかもしれない。立場を利用して会いにいって……

 それもちがう、タニカワ教授そんな人じゃない。

 アウリィは私を愛してくれているはず。そうにきまっている。でも何でタニカワ教授と二人で会いにいっているの?教育指導室の中でいったい何が話し合われているの?

 わからない、わからない、わからない……

 気がつくと私は目に涙を浮かべたアウリィの顔をはたいていた。愛情から来るものではなく、嫉妬と苛つきと黒々とした心の何かによって引き起こされた、純粋な暴力だった。

 「どうしたの?ルビネル……。私が何か悪いことをしたならあやまるから……悩みがあったら聞くから……ぶつのはもうやめて……痛いよ……」

 私は振り上げた腕をおろした。私は何てことをしてしまったのだろう。

 「アウリィ……ご、ごめん。ごめんない。謝るのは私の方、ごめんなさい。うぅ……ごめんなさい……」

 私はその晩、アウレイスを滅茶苦茶にしてしまったのだ。私としたことが、純粋な暴力をふるってしまった。アウレイスに刻まれた頬の傷は生々しく、翌日のタニカワ教授の目に止まるだろう……。


 アウリィがあれ以来急によそよそしくなった。当然だ。キスビットでさんざん受けてきた無意味な暴力を、もっとも信頼していたであろう、私から受けたのだから。

 後悔しても遅かった。一度してしまったことは取り消すことは出来ない。たとえ彼女の記憶から昨晩の出来事を消し去ったとしても、私への不信感はもはや拭いようもない。

 自分が憎い。感情に振り回され、勝手に二人に嫉妬して苛ついて、捌け口にアウリィを使って、私は最悪な人間だ。

 昨日、寝ているアウリィの肌に人差し指でそっと触れてみた。でも、何も感じなかった。温もりも、愛情も、何も感じなかった。ただ、触れている、と認識しただけで気持ちよくもなんともなかった。でも、アウリィの肌にはなんの変化もない。
 私はどうやら不感症になってしまったらしかった。

 息抜きに映画を一人で見ようが、公園でボーッとしようが、何も感じない。地の底に落ちた感情は何事も受け付けなくなっていた。

 鏡を見た。そこに以前の自分はない。頬はやせこけ、肌に艶はなく、髪の毛もバサバサ、目の回りはくぼんで隈を作っている。

 あばらが浮き出て骨と皮になった肉体。魅力も何もないただひたすら醜いだけの女がそこにいた。



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 昨夜、寝ている私にルビネルが近づいてきた。奴隷時代にはよくあったこと……。ロクに寝かせてもらえず昼に夜に代わる代わる繰り返される彼らたちの「遊び」。
 当時は熟睡なんてしたこともなかったけれど、最近ではようやくぐっすり眠ることができるようになった。
 でも、長年刷り込まれた習慣がそう簡単に変わることはない。例え寝ていても少しの物音で目が覚めてしまう。
 ルビネルはゆっくり、物音を立てないように私に近づいてきた。それが分かった瞬間、手を振り上げたルビネルの姿がフラッシュバックする。私は激しい恐怖感に身を強張らせる。
 動けない。声が出せない。怖い。また、叩くの?息を止めて加虐の瞬間を待つ。すると、ルビネルがそっと私に触れた。それはほんの一瞬だった。それ以上、何も、無かった。


 ルビネルが、あの人たちのように面白半分で私を叩いたりするはずが無いのは、頭では分かってる。でも心と体が、ルビネルを怖がってしまう…愛しているのに…腕を振り上げられただけで全身がすくんで動けない…ルビネルはきっと苦しんでる。でも、助けてあげなきゃいけないのに…ルビネルが、恐い…

ルビネルと私 第一部 短編小説(官能表現有)

 例の企画と世界観を共有しています。ただし、普通の短編小説として書いているので、企画の専門用語等は一切排除しています。企画をご存じの方もそうでない方も楽しんで頂けたら幸いです。

 坂津さん( id:sakatsu_kana )からキャラをお借りしています。

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 私が今年度最初の授業を時間きっかりに終わらし、教室を立ち去ろうとしたときだった。扉に手をかけた私に、ノート片手に黒い長髪を揺らしながら、一人の女子生徒が私に近づいてきた。


 「タニカワ教授、この部分がよくわからなかったので、もう一度教えて頂けませんか?」

 「因に君の名前は?」

 「ルビネルです」


 私の勤めるこの学校は単位制であり、数基本科目を除いて殆どが選択授業だ。

 そんな中、ルビネルは私の担当する教科である世界史をはじめとする数科目を選択した。
 私は自分の請け負う科目に興味を示してくれたことに少し喜びを覚えながら、質問に対して軽く解説してあげた。

 その翌日もまた、授業終わりに質問してきた。

 そのつぎの授業も、そのまた次の授業も……。

 私は彼女の行動が気になり、どういう生徒なのか少し調べた。


 名前はルビネル。18才。成績表だけで言うと、品行方正・成績は5段階評定で4が大半で体育が3、生物が5。

 漆のように黒い長髪、対称的な白く透き通る肌、愛嬌のあるつり目、整った顔立ち。そして抜群のプロポーション。学校指定の黒い制服を難なく着こなす、麗しい生徒。

 面接の時は自信に満ちた受け答えし、面接官からの評価も上々だった。


 そして、彼女が世界史を選択した理由だが、それは学校の『国際学生補償金制度』を利用するためだった。

 この国では近年、学生にホームステイや海外留学が推奨されている。理由は、この国が長年国交にて遅れをとっていた過去にある。その対策として、まずは国際社会で優位に動ける人材を少しでも増やしたい、という国の思惑があるのだ。そこで、国は補償金制度を作り、国際学生を推進した。この補償金制度を利用すれば、学費をほぼ免除できる。
 ただし、国外に行くためには特定の科目(主に世界史)で高得点をとり、国の推薦を受けなければならない。国が推薦して生徒を送り出すので、それ相応の教養が試されるわけだ。

 彼女の家庭には彼女を学校に通わせるだけの十分な金がなかった。国から借金をするという手もあるが、利子が高すぎて実質自殺行為に近い。

 そこで彼女は『国際学生補償金制度』を利用することにしたのだ。ただし、前述したようにこの補償金制度は、それ相応の成績でなければ使えない。成績を維持できなければ、最悪一年で退学せざるを得ないというありさまだった。

 だからルビネルは私が教える世界史の授業が終わると毎回のように内容を質問してくるのだつた。

 それだけでは飽きたらず、そのうち彼女は放課後、研究室を勉強のために使いたい、と言い出した。私は最初こそ拒否していたものの、気づいたらルビネルは私の研究室に入り浸るようになっていた。

 愚直に本気で勉強をしたいという彼女の思いに私が折れたのだ。

 ついでに私の研究する分野にも興味があったらしく、勉強の傍ら私の論文作成を自主的に手伝ってくれた。

 授業が終わったら、研究室へ行き、学会に向けた資料づくりや、授業の組み立て等をしつつ、ルビネルに雑談混じりに勉強を教える。これがルビネル入学後の私の日課になった。

 そのうち、研究室で彼女と過ごす時間は、私の密かな楽しみになっていた。

 ルビネルは積極的に私に質問し、めきめきとその実力を伸ばしていった。なぜか私が教える度に頬が少し赤くなったり、うっとりしたりするという不思議な癖もあっが。

 年の後半に差し掛かる頃には(私の教えた所だけだが)成績も学内で上位に食い込んだ。成績発表の日、廊下ですれ違ったとき、私はすごいじゃないかとルビネルを誉めたが、本人は実感があまりわかないようだ。
 髪の毛を軽くかきあげ「ありがとうございます。今日もまた、放課後に」と、去っていった。なぜだか、とても名残惜しそうに見えたが、私の見間違えだろうか。

 成績が上位になろうと、彼女は毎日のように研究室に来ては私に勉強を教わった。質問するときがないときでも、無理矢理にでも理由をつくって、彼女は放課後に居残った。彼女は友達が少ないわけでもなく、中のいい子もいるのにも関わらず、なぜか研究室に来たがるのだ。
 そして、時々なぜか酷く寂しそうな顔をするのである。私が声をかけても、すぐに普段通り真面目な姿に戻るのだが、どうにも引っ掛かる。

 そして、とうとう学校の元に、彼女の補償金に関する推薦通知が届いたのだった。

 私は彼女に推薦状を見せた。てっきり大喜びするかと思っていたが、彼女は寂しそうに微笑んだ。

 「もう、研究室に行く理由がなくなっちゃいましたね」
 
 そんな彼女に私は

 「いつでも気が向いたときは来なさい」

 と言った。

 その数週間後だった。ある日私は、今日は学校の会議で遅くなるから、研究を開けておく。勝手に使いなさい、とルビネルに伝えた。
 ただ、実際には会議は、校長の体調不良による早退、という理由で、予想よりもかなり短くなった。

 中途半端な時間に会議が終わってしまい、研究室に戻ろうとしたときだった。私はルビネルの勉強を邪魔しないようにと慎重に、音のでないよう扉をあけた。

 すると、なかではルビネルが椅子に座ったまま、机の上のノートに頬をくっ付け、ぐったりとしていた。全身脱力しているかのような奇妙な姿勢だった。扉とは反対側を向いているために、背中しか見えない。
 どう声をかけようか悩んでいると、彼女のうわ言のような小さな声が聞こえてきた。耳を済ませるとそれは、私の名前だった。私の名前を何度も繰り返し呼んでいた。

 「タニカワ教授……はぁ……タニカワ教授……うぁっ……ああぅ……タニカワ……教授……」

 ルビネルの吐息の音に混じり、粘液質なものをいじった時に出るような、ヌチッ……クチャッ……という音も聞こえてくる。

 私はゾッとして、その場を立ち去ろうとした。しかし、靴が扉に当たってしまい、ゴン、という音が部屋に響き渡った。その瞬間、跳び跳ねるかのような勢いで、ルビネルがこちらに向き直った。
 ボタンが外れ過度にはだけた制服、左手で押さえているスカート。そして、身を悶えながら右手の人差し指をクチュリと嘗めていた。

 ルビネルは観念した、といった様子で静かに語り始めた。真っ赤に染まり、快感に歪んだ顔を隠しもせず、彼女は話始めた。

 「この研究室にいると、教授に包まれている気がしてとても気持ちがいいんです。タニカワ教授だけが普段、この空間で呼吸している、そんな空気を吸っていると思うと、なぜか自然と体がうずいて来るんです……。体の底からタニカワ教授に染め上げられていくみたいで……」

 私はあくまでルビネルを一人の生徒としてしか見ようとしなかった。人として接してはいたものの、生徒と教師という関係を忘れるようなことは一度たりともなかった。
 彼女は確かに魅力的な女の子ではあった。が、一線を越えてしまい、破滅の道を歩んだ教師を私は知っている。その記憶が私の本能を縛り付けている。


 「成績が上がったとき、嬉しいのと同時にすごく胸が締め付けられたんです。ああ、タニカワ教授と合う理由がなくなっちゃったな、って。だから、教授が『気が向いたときは来なさい』と言ってくれたの、すごく嬉しかったんです。そこで、私は自分の気持ちに気づいてしまって……」


 だから、私の心はこんな告白を聞いても、揺るぐことはなかった。


 「こんなのイケナイコトだってわかっているんです。でも、体の方がうずいて、タニカワ教授を欲しちゃうんです。お願いします。一度だけでいいんです。私を慰めて頂けませんか?一度だけ……それで諦めますから……」


 私は、ルビネルに気持ちを諦めるか、二度と授業以外で私の前に姿を見せないこと、その二択を突きつけた。

 顔には見せながったが、今にも涙が出そうだった。一人の人の精一杯の告白を無下に拒否するのは、私にとってもあまりにも辛いことだ。私は心の中でも、実際にも何度もルビネルに謝った。


 そして、彼女は前者を選んだ。


 私たちはそれからさらに一年もの間、何事もなかったかのように、放課後の研究室で会い続けた。私はあくまで態度を以前と変えなかった。ルビネルは最初こそ後ろめたそうにしていたものの、数ヶ月経つ頃には元に戻っていた。

 あのあと、彼女は私に振られたストレスからか、同級生の女の子を誘惑する、という奇妙な遊びに走った。擬似的に恋のドキドキ楽しむという危ない遊びだったが、私が止めなさい、と言っても耳を貸さなかった。


 だが、学業に至っては極めて順風満帆であり、補償金を受け取ったかわりに、定期的に海外へホームステイや短期留学をするようになった。持ち前のコミュニケーション能力を活かし、時には外交官といった国の重鎮とも知り合いになるなど、国外での期間を最大限に活用していた。


 そうして、ルビネルが二十歳になって数日した後のこと、アウレイスという少女を彼女はつれてくるのだが、それはまた、別の話である。



二部に続く

怖い子

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 黒髪のかわいい女の子を描こうとしたら、怖い子になりました。口許が不気味……。
 最近小説に傾倒しているために、髪の毛の描き方に劣化が見られます。どうしようかと思い、いつもの黒髪練習をしてみました。

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 本当に髪の毛だけになりました。やはり不気味ではありますが一気に感覚が戻りました。どうやら描き方が単純に雑だったのかな?