フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

鳥人航空 短編小説

 間にあわなかった。汽車がいってしまった。夕日に消えたあの汽車に乗らなければ今日中に故郷へ戻れない。
 そんな俺の前に鳥頭の大男が立った。


 「はいそこの残念そうな顔をしたお兄さん! こんにちは! あるいはこんばんは! 自称最速の鳥人によるビッグウィング航空! 料金表はこれネ!」


 こうして、俺は謎の鳥人の背中に掴まっている。やたらとハイテンションで最初はどうかと思ったが、自称最速は冗談かと思っていたがどうやら本当らしい。汽車を追い抜いてさらに速度をあげていく。乗り心地も悪くない。


 「で、お客さん目的地はどこです? 場所を言ってもらえれば直でいきますよ。汽車は駅で止まらなきゃいけませんが、私はそんな窮屈なことしないんでネ!」

 「じゃあ、アデニン村の北で下ろしてください」

 「あいあーい。ところで、何で急いでたんです? そのお手持ちの綺麗な花と関係が?」

 「今日が母の誕生日なんです。祭日と重なっているんで毎年帰郷するようにしていたんですが、友人の結婚式と重なってしまって......」

 「それで、ギリギリになっちまったと。結婚式もはずせないイベントですからネ」

 「ええ。本当にあなたが来てくれて助かりましたよ」


 予定よりも大分早く村につくことができた。


 「念のため確認しますが、私の思い違いじゃないですよね? ここでいいんですよね?」

 「はい。間違いありません。ありがとうございます。......変ですよね。こんなところに急ぐなんて」

 「いいや。変とは思いませんよ。むしろ尊敬しますよ。間に合わなくても誰もなにも言わないだろうに、ちゃんとここに帰ってくる。立派な親孝行だ。母親も息子が立派に育ってくれてさぞ嬉しそうにしてますよ!」

 「お世辞が過ぎますよ。あと、母はもう......」

 「ヒハハ! 細かいことは気にしない!」

 「では、行ってきます」

 「いってらっしゃーい! では、またご縁がこのビッグウィング航空をご利用くださいネ。バイバイ!」


 鳥人から差し出された名刺を受け取とり、手を振る。彼は大胆に羽ばたくと夜闇に消えていった。
 俺は墓地に足を踏み入れた。


 「......お母さん。今年は遅くなってごめんな」