フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 番外編 七夕

七月七日

 

 

 

僕はいつものようにテーブルに座りスピネルと向かい合っていた。

スピネルが話を切り出した。

「・・・そういえばルイージ、七夕って知ってる?」

少女の言葉に僕は少なからず興味を示した。

「ごめん、知らない・・・。どういう意味なの?」

「・・・織女(しょくじょ)と牽牛(けんぎゅう)っていう人のお話。」

お話の名前か。

「どんなお話?」

スピネルは軽く深呼吸をした後、語り始めた。

 

 

 

「天の川の西側に織女っていう女の人がいたの。

織女さんは働き者で毎日織物を織っていた。

文字通り休みなしでひたすら働いていたから、

お父さんが心配して結婚相手を探し始めたの。

 

一方、天の川の東側には牛使いの牽牛っていう人がいた。

その人は毎日牛の面倒をよく見る働き者だった。

 

お父さんの計らいで織女と牽牛はお見合いして、

めでたく夫婦になった。

 

 

でも

 

二人は結婚してから朝から晩まで川のほとりでおしゃべりばかりするようになったの。

・・・仕事をほったらかしにして。

とうとう、織女のお父さんがお怒りになって二人を引き離した。

ただし年に一度、七月七日だけ川を渡ることを許したの。

今でも二人は会えるのを楽しみにして、

川の両岸で輝いている。」

 

 

 

 

 

語り終えて黒髪の少女が一息ついた。

 

「・・・こんなおはなし。どうだった?」

年に一度だけ会うことが許される夫婦か・・・。

 

 

「一年に一度だけしか会えない。

なんだかかわいそうだな。」

僕の言葉にスピネルは首を横に振った。

「・・・ちょっと外に出てみましょ。」

 

 

 

 

スピネルに手をひかれて僕は家を出た。

 

黒髪の少女は天空を仰ぎ見ていた。

それに従い、僕も顔を上にあげる。

夜空には美しい星たちが瞬いていた。

その星の配列を見て僕は何かを感じ取った。

 

「あれは!」

 

 

 

川だった。

 

 

 

星々でできた川。

そして両岸でひときわ大きく輝く星。

 

「川の西側で光っている星が織女。

川の東側で光っている星が牽牛。」

 

一年ぶりの出会いを喜んでいるかのように

二人の星は瞬いていた。

 

 

「・・・二人は絶対に毎年会えるの。

何千年たっても何万年たっても。

・・・だからわたしは二人とも幸せなんだと思う。」

 

スピネルの言葉に思わず顔を少女に向けた。

少女の黒髪が星の光を受けてみずみずしく光り輝いていた。

 

「・・・人の一生なんて二人に比べたら、

流れ星よりも儚いから。」

 

優しい風が吹く。

一瞬、彼女の髪の毛が揺らめいた。

 

 

その奥で、さびしげな瞳が僕を見つめていた。