フゥルの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 31 第七章 宝石がために鐘はなる

何度目かの鐘の音が鳴りやむと同時に

ルーニャの作戦会議と称した演説が始まった。

 

「え~、お集まりの皆さん、

本日はお日柄も悪く太陽のかけらもない深淵の中、

お集まりいただきありがとうございますにゃ。」

 

最悪な出だしだ。

本人が真面目な顔をして語っている分、余計に深刻さが増した。

 

「早速、本題に入るにゃ。

キノコタウンで起こっているこの『お化け化』現象は結構広範囲に広がっているにゃ。

鐘の音を聞いた人がお化けになるこの事件、

実は鐘の音発信源が三つ有るのにゃ。」

 

会場がざわついた。

 

「一つはキノコタウン付近。

もう一つはクッパの谷。

最後にウスグラ村。」

 

最後だけ知らない地名だ。

 

「しかも、この事件、前例が有るにゃ。

ウスグラ村で鐘の音を聞いた人がブタになるという事件があったのにゃ。

いま、行方不明となっている俳優シロスケが引き起こした黒歴史的事件にゃ。

今回はその模倣犯である可能性がひじょ~に高いにゃ。

シロスケには三か所で同時に大量の人を変身させるほどの

FPの使い手ではなかったからにゃ。」

 

黒子がシロスケのポスターをルーニャの脇で掲げた。

その姿にわたしは驚愕した。

わたしの世界で国に頼られるようなトップクラスの探偵の姿に酷似していた。

布のような体に猫目。

含み笑い。

新聞の一面で見て以来、忘れようはずも無かった。

・・・姿が、印象的だったから。

セキリュウも驚きを必死に堪えているようだった。

何で、ここに。

 

幻獣ドンペリ向こうではそう呼ばれていた。

 

あり得ないことの連続で頭が砕け散りそうだった。

 

彼にドンペリについて伝えると、

「恐らく別人だろう。

次元を越えるなんて力を持ってはいなかった。

少なくとも3年前までは。

兄さんが戦ったことがある。」

 

彼は話し終わると前を向き、再びルーニャの作戦会議に耳を傾けた。

わたしもそれに習う。

 

ありえない。

今はそのことよりも目の前の問題が先決。

 

「音の発信源にはキノコタウン近辺のお化け屋敷、

クッパの谷のお化け屋敷、

そしてウスグラ村にはかつてのシロスケの拠点オンボロ寺院があるにゃ。

そこに行って原因を叩き壊せばいいのにゃ。

ちなみに天を覆う暗闇はオンボロ寺院から発生しているにゃ。

おそらく、敵の本拠地はオンボロ寺院にゃ。」

 

彼が手を上げた。

ルーニャがそれに気づき

ルイージ、にゃんか意見が有るのにゃ?」

と聞いた。

彼はいつになく鋭い目つきをしていた。

 

「・・・一体、誰が行くんだ?

ここ『猫の手』本部の主戦力はほぼ全員お化けにされた。

『猫の手』の支部はオンボロ寺院にそう遠くないゴロツキタウンにある。

さらに、クッパの谷で鐘が鳴っているのだとしたら、

クッパ軍も機能しないはず。

つまり、相手は『猫の手』とクッパ軍、双方をほぼ封じたということだ。

ここでまともに戦えるのは

 

ルーニャ、

スピネル、

僕、

(キノコ王国外からの通勤)

 

セキリュウ、

(もとよりそんな術は効かない)

 

シショー、

(闘気で弾き飛ばした)

 

レサレサ嬢

(最初からテレサ)

 

・・・それくらいだぞ。」

ピンキーやカメキ、パレッタ、クリオ、アカリン。

ルイージから聞いたマリオと旅したという仲間は、ほとんどお化けにされてしまった。

 

マジョリンは不在だし・・・。

 

「全く問題にゃいにゃ。」

それだけいれば充分にゃ。

ゴロツキタウン支部は全滅だけど・・・。」

誰も意義を唱えなかった。

彼がいれば大丈夫だろう、そんな暗黙の期待が感じられた。

 

彼に同情してしまう。

 

「アタシとシショーの二人でキノコタウン付近のお化け屋敷に行くにゃ。

ルイージ、スピネルセキリュウは敵本拠地へ向かってほしいにゃん。」

 

あれ、クッパの谷は?

みんなの頭に疑問符が浮いた。

 

「クッパの谷のお化け屋敷には

クッパがお子さんとカーネルを連れてたたきのめしに出たにゃ。」

 

 

 

―城のノコノコが全員カロンに変えられた。

下らん悪戯だ。

ワガハイの正義の鉄拳でぶちのめしてやるわ。邪魔は無用だ!

がはははははは!-

 

クッパより

 

 

 

「以上、クッパの手紙にゃ。

ちなみにピーチ姫は星の精に守られてお化け化はしなかったけど、

みんなの不安を和らげるのに必死で、

作戦には加われないのにゃ。

以上作戦会議終わり!」

ゴーン、ゴーンと鐘の音がまた響く。

ポン、という音を立ててルーニャの足が消え、

肌が生気のない白色に染まった。

 

 

「うあああぁぁ!」

ルイージが悲鳴を上げた。

 

 

そして、皆も遅れて悲鳴を上げ始めた。

 

 

 

「ニャア!!」

 

 

 

思わず耳を塞ぎたくなる轟音だった。

ルーニャの咆哮に一同しん、となった。

「落ち着くにゃ!

わたしはここに待機。

キノコタウンのお化け屋敷にはシショーとレサレサだけで行ってもらうにゃ!

以上!」

 

 

肝心なところが全部あやふやだ。

「・・・ルイージ、どうする?」

彼は小さくため息を付いた。

「いつも通り強行突破だ。」

「あまり、いい作戦だとは思えないんだが。」

セキリュウが不満を漏らす。

「いつもこれで解決して来たんだ。

今回もきっと大丈夫さ。」

 

楽天的な彼は珍しい。

単にお化けが怖くておかしくなっているだけかもしれないけど。

 

それでも彼の言葉にわたしも頷く。

この世界はわたしたちのいた世界の常識は通用しない。

 

100回成功しても101回目は成功するとは限らんぞ。

覚えておくといい。」

 

 

 

 

こうしてわたしたちの戦いが始まった

 

 

 

ルイージの小説

To Be Continued