自作じゃない自創作グッズ
先日、坂津さんに秘密裏に頼んでおいたグッズが届きました。それがこちら!!
PFCS特性マウスパッド&缶バッジッ! 創作グッズ。まさかこんな日が来るとは……。缶バッジは主人公格であるルビネルと解剖鬼。めっちゃくちゃ嬉しいです!
坂津さんに頼んだものなのですが、いやぁ……実際に手に取ると驚きです。自分の絵がそのままグッズになるってこういう感覚なのか……。
元々、自創作をグッズ化するという発想自体なかったので、こういう機会に恵まれて本当によかったと思います。貴重な経験と最高クラスのプレゼントです。
いやぁ! 使うのもったいないなぁ……うふふ♪
セレア=エアリスはコメディしたい 短編小説
タニカワ教授はテストを採点し終わり勢いよく延びをした。あまりにのけぞり過ぎて、椅子がグラリと傾き床に頭が!
「痛っ!」
地面から立ち上がろうと頭を持ち上げた時、研究室の扉の上にある窓から銀色の液体が染み出てきた。液体は床に滴ると水溜まりを作った。さらに水溜まりが重力に逆らい不自然に盛り上がり、やがて人らしき姿になる。白いワンピースが生成され、鼻や口などの細部が出来上がると、肌色に着色された。
奇妙すぎる教室の入り方をした少女は腹を抱えてケラケラと私の姿を笑っていた。銀色のショートカットをわさわさと振るう姿は乙女の恥じらいとかそういうのが全く見えない。
「アッハハ! すっすまん! タニカワ教授 わっ、笑いが止まらんのじゃ」
「セレア、笑うのはいいけど、窓から研究室に滴り落ちてくるのは止めてくれないか。心臓に悪い」
先程まで銀色の液体だった少女は、ふぅと笑い終えるとタニカワ教授に手を差しのべた。タニカワ教授の手が、暖かくやわこいセレアの手に包まれる。先程まで液体だったとは思えないほどの温もりである。
「よっと! すまんのぉ。あまりにも面白すぎてな。……て、あれじゃ、今日は相談があってきたのじゃ」
「どうぞ。君がここに来るのは決まってそういうときだからな。まさかテスト採点中に堂々と入ってこられるとは思わなかったが」
タニカワ教授は的確な動作でテストの答案をセレアの目につかない場所に置くと、部屋の中央にある長机の椅子に腰かける。タニカワ教授にとって生徒の悩みを聞くのは日常茶飯事のことだ。特にセレアは他愛もない質問を定期的にしてくる生徒のうちの一人だ。
そんなセレアもタニカワ教授の横の椅子にストンと座った。
「わらわはのぉ。個性が欲しくてのぉ」
「個性?」
「ああ。ルビネルであれば『スケベ』。ショコラなら『度の抜けたおっちょこちょい』。誰もが自らネタを生成し、物語を盛り上げ、魅力的に振る舞うことが出来るだけのキャラパワーを持っておる。じゃが、わらわは『液体金属』『のじゃロリ』といった表面的な属性しか持っておらん」
タニカワ教授は『液体金属で作られた肉体にのじゃのじゃロリロリしている彼女は寧ろ個性の塊なんじゃないのか』と突っ込みかけたが、なんとか言葉を飲み込んだ。あと、キャラパワーという意味もよくわからなかったけれども、ここで突っ込むのも野暮のような気がした。
「人気のあるキャラクターは一貫した個性を持っておる。特にコメディ漫画だとそれが顕著じゃ。……所でお主、家でなに押しておる?」
「学校で話題に困らないために話題の本や雑誌を速読していたりするな。あとは論文のための研究とか……」
うむうむ、とセレアは頭を振った。三回目に振った時に思いっきり机に頭をぶつけた。タニカワ教授は「大丈夫?」 と声をかけたがセレアは痛くないフリをして話続けた。
「そうじゃろう。タニカワ教授は仙人教師キャラで定着しておる。会話の種には事欠かないし、生徒がらみであれば自ら事件に首を突っ込み解決するだけの行動力もある」
それは一理あるかもしれない。
「これは凄く重要なことなのじゃぞ?自ら事件に首を突っ込む、あるいは作ることが出来る者は連載において心強いキャラになる。また、一貫したキャラは読者に覚えられやすいしインパクトもでかい」
「連載?」
「あ……いや、こっちの話じゃ。気にするな」
コホンと咳払いするとセレアは続けた。
「わらわはどちらかというと絶○先生とか、○○れコックリさんとか、鬼灯○冷徹とか、ニ○チェ先生とかそういうコメディやギャグ漫画のような展開が好きなのじゃ。なのにわらわに振られる話題やお願い事はいつもターミネー○ーばりの深刻な依頼で……」
「そういうネタは腐るのが早いから避けた方が…」
「銀○に謝れ。あれはネタを常にアップデートすることでな……っ! バイト先からの電話が」
セレアは黙って数回頷いた後、渋い顔をした。
「ちっ! 三分で終わらせるのじゃ! タニカワ教授ちょっと待っててな!」
そう言うとセレアは椅子から降りて、窓の縁に足をかけた。背中からランドセルが浮き出てきた上、そこからバーナーが吹いた。タニカワ教授が状況を理解する前にセレアは勢いよく夕空に消えていった。腕がナイフ状に変形していたのは多分気のせいではないだろう。
「もう少しスカートは長くしたほうがいいと思うぞ?」
タニカワ教授の言葉は夕焼けに溶けていった。
これが無個性だったら世の中どうなるんだ……と、途方にくれる教授の背中に暖かい陽の光が降り注ぐ。嵐のような日常のヒトコマである。
十分後。
「ただいまなのじゃー♪」
「とりあえずそのワンピースについたケチャップを洗って来なさい」
中二病設定をひたすら書き綴ってみる
中二病という言葉がある。日本の中学二年生頃の思春期にみられる空想(妄想)や行動(奇行)、価値観(意味不明)が過剰に出てしまった状態を揶揄するようなスラングらしい。細かい定義には諸説あり、定まらないがとにかく読んでいて痛い。若さゆえの過ち、大人になって振り返ったとき赤面してなかったことにしたくなるような所業だ。
……私の戸棚にあるファイルの中にも潜んでいたり。
私が気になったのは逆にそういった要素を余すことなくぶちこんだらどうなるのか、ということだった。創作にて設定として理由もなく採用すると、もれなく「痛々しい」「小学生の妄想」などと言われるようなものを逆に採用しまくったらどうなるのか。
複数のキャラの属性を複合することで起こる中二と見なされる要素もあるが、今回は単体でも十分破壊力のある単語を中心に文を組んでみた。
サイトを十個くらい回って転がっていた痛い設定をまとめて、採用できそうなものを片っ端から書いていき、さらにツイッターで提案された設定を追加し、メアリースー診断を参考に補強したのがこちら!!
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クリス・ランドルヘカ・レーティア(18)
藍色の髪の毛にロングヘアーの男。黒衣に金の縁取りの呪具に身を包む。顔に過去の戦いのよって出来た大きな傷を持つ。
37代目レーティア家党首。数千年前に魔王ヴァイパスを倒した有数の精霊魔法使いレーティア。その直系の流れを組む者たちの中でも100年に一度の天才と呼ばれていた。
幼少の時シリウセウスによってレーティア家は彼以外全滅させられているため、最後の生き残りである。両親もその時に殺されてしまったため、本来の明るい性格は鳴りを潜めている。
あまりの強さに『極限魔術師』の異名をもつ。
肉体に宿る属性は光で、水晶を信仰し力としている。精霊魔法の中でも特殊な部類で扱いが難しく習得には50年かかるとされているが、彼はこれを10才の時に習得した。
地域の魔術大会を一通り制覇。競争相手がいなくなったために、今はモンスターハントに勤しむ。
彼は圧倒的に強すぎる力故に人びとから迫害されることがあったので、実力を隠している。そのため常にハンターランクは下位に位置。また、強すぎる自分の力をクリス自身はは疎んじており、使おうとしない。
口数は少なく、受けた依頼は確実にこなす。
普段は水晶によって作り出した双剣を扱い、実力を隠している。真の力を使うときは黒かった右目の瞳孔が藍色に輝く。
また手袋をして隠しているが、右腕が水晶になっており悪霊の魂を吸収する。本人は呪いだと称する。
実は精霊竜神ヘルカンドラの生まれ変わりである。精霊竜神ヘルカンドラは全身がクリスタルで覆われた美しい巨竜である。クリスの作るクリスタルはヘルカンドラと同様のものであり、見るものを魅了する。
真の力とはヘルカンドラの力を解放させたものである。また力を解放させているときは圧倒的な力が人格に影響し、非常に攻撃的になる。
覚醒しているときは手にした杖が水晶鎌〈サイズ・オブ・クリスチアーノ〉に変化する。
しかし、力を使いすぎると暴走してしまう他、寿命が縮んでしまう。
彼の最大の敵はシリウセウスである。ブラックホール潜みヘルカンドラと対立している暗黒神竜サタンルシフェルの転生体であり、クリスと同じく極限魔術師の二つ名を持つ。
得意技は
『一式閃光水晶魔法― クリスタルイレイサー ―』
必殺技はヘルカンドラの力を水晶鎌に込めて、右腕に封じられた邪悪な魂を上乗せして放つ、
『三式破滅水晶魔法― クリスタルディスペアー ―』
セリフ集
「今は放ったそれは技ですらない。単なる牽制だ……」
「私にかかればたかがドラゴンの一匹や二匹……」
「私なぞどこがよいのか」
「まさかコレを使うときが来るとは……貴様の魂を刈り取るにふさわしいこの大鎌を! さぁ怯えるが良い悔やむが良い! 絶望の淵に立ち、恐れ戦き死に伏せろ!」
〈ネタバレ注意〉
かつて初代レーティアに倒された魔王ヴァイパスの生まれ変わりと結託したシリウセウス。魔王と手を組むことで圧倒的な力を得たシリウセウスにクリスは戦いを挑む。
クリスは徐々に敵を追い詰めるが、戦闘の途中シリウセウスは魔法の力を取り込み魔竜神シリウセウスとなり危形成が逆転。死の一歩手前まで追い詰められてしまう。しかし、奇跡の力〈クリスレーティア・ヘルカンドラフォーム〉が覚醒し、辛くも勝利した。
死ぬ間際、シリウセウスはクリスに衝撃の真実を告げる。
彼は初代レーティアの双子クローンだったのだ。その生き別れの弟こそがクリスであった。自分がレーティア家の実験で生まれたことを知ったシリウセウスはレーティア家の暴挙を止めるために根絶やしにしたのだ。だが、実の弟であるクリスだけは手にかけることが出来ず断念したとのことだった。
驚愕するクリスをよそにシリウセウスは息を
引き取った。
〈以下さらなるネタバレ〉
しかし、その因縁ですら運命王デウス・エクス・マキナの『運命先導計画』の筋書き通りであった。
シリウセウスとの戦いで得た新たなる力〈クリスレーティア・ヘルカンドラフォーム〉を手に、立ち向かうもデウスの圧倒的な力に敗北してしまう。
死の世界でクリスを待ち受けていたのはかつての敵にしてクリスの兄シリウセウス。彼と力を会わせることで共に冥界を脱出。暗黒神竜と精霊竜神の力を合わせ運命王に立ち向かうのであった。
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潔すぎて逆に作品として成り立つかも……と一瞬思ってしまった。末期だ……。
とりあえず『ご都合主義』『奇をてらい過ぎてずれてる』『自分の身の丈をこえた世界観』『見た目かっこいいから採用』などなど、読者をおいてけぼりにするような設定は極力避けるほうがよさそう。
『読者目線』が抜けているからこその痛々しさであって、読者目線もしっかり意識している作品は、上記のような設定があろうと中二病と言われることは避けられそう。
とりあえずなにかを作るときは例外を除いて他者にしっかりと伝わるものにしたほうがよさそうだ。