フゥルの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

力を強き戦士 ファンタジー短編

LINE WORKS×はてなブログ特別お題キャンペーン #チームワーク

LINE WORKS×はてなブログ特別お題キャンペーン「#チームワーク」を語ろう!
sponsored by LINE WORKS


 いつもこれだ。職安に来る度にこれだ。もう少し静かに依頼を探させてくれ。
 「ロウ、俺たちの仲間にならないか?」
 木製のテーブルに依頼の書かれた紙束を広げる戦士。それを囲む屈強な人々。元々狭苦しい部屋がさらに狭く感じる。ロウはむさ苦しい男どもから目を逸らし、思わず窓の外を見た。朝の日射しに目が眩んだ。
 「いいや。俺は誰かと組むのはゴメンだ」
 モンスター相手の狩人。期待の新人。仲間を持たず、人のいない場所で一人黙々とモンスターを討伐する。討伐後の後処理に来た人が環境整備に困るほど圧倒的力を持つ戦士。それがロウだった。
 スカウトに来た人々が去っていくと、職員の一人であるおばさんがやってきた。
 「いい加減あんたも誰かと組みなよ。それがモンスターを狩る奴らのルールなんだからさ。いくら強いからって単独で戦い続けるのは危険だよ」
 「俺は群れるのが嫌いなんだ」
 ロウは心底嫌そうに答える。パーティーを組んでの面倒ごとはもうごめんだった。職安のおばさんはそんなロウを見てニヤリと笑い、依頼用紙をロウに突きつけた。
 「今度の依頼は最低二人と組まなきゃならない。その上難敵だからあんたにしか頼めない。だからアタシが勝手に相方を決めておいたよ。今月あんた金欠なんだろ? 悪い話じゃないはずだ」
 「余計なことを」
 「協調性はある奴だからあんたでも大丈夫さ。それに弱体化魔法の腕もピカイチ」
 「敵の弱体化なんぞしなくとも俺はほぼ一撃だぞ?」
 「だろうね。でも、他人と一緒に仕事をするノウハウは学べるはずさ」
 ロウは憂鬱な気分を息と一緒に吐き出した。

 軽く朝食を済ませたロウは、町の出入り口付近の原っぱで、ペットであり移動手段でもある空イルカに餌を与えていた。魚を飲み込むような豪快な食べっぷりを見るのがロウにとっての癒しだった。
 「よしよし」
 空イルカを撫でていると背後に人の気配を感じた。見上げると白いローブを見に纏った女性がいた。文字通り目と鼻の先に立っており、ロウは驚いて飛び退いた。
 「かわいいですね! 空イルカ。私、助けを呼ぶ時の声真似できるんですよ。クルルルル!」
 空イルカが一瞬びくっとして女の方を向いた。
 「おいおい、空イルカを脅かすな。......あんたが女将の言っていた奴か」
 「あたしムレルと言います! いつもチームで依頼を達成してきました。弱体化の魔法が得意で__」
 「それはもう聞いた。あんたは何もするな。俺の後ろにいるだけでいい」
 あえてぶっきらぼうにロウは言ったが、ムレルは全く意に介していないどころか、さらに詰め寄ってきた。
 「いいえ。チームを組んだからにはあなたを全力でサポートします。チームワークの力見せてやりましょう」
 「何もしなくて、いいから! 迷惑なんだ」
 グイグイ来るムレルに対してロウはため息をつく。嫌々ながらもロウはムレルと共に空イルカに乗った。目指すは南の森だ。

 魔物は蛙のような容姿をしていた。が、大きい。人を丸のみ出来るほどの巨体を誇っていた。その表皮は深緑で湿っぽく、生臭くてたまらない。空イルカは気配を察知するなりいつも通り安全な場所へ逃げた。利口で助かる。ムレルも一緒に連れて行ってくれればよかったのだが、とロウは心のなかで愚痴をこぼす。
 「あれが討伐対象の化け物か」
 「ええ。間違いありません。チームワークで頑張りましょう! 力を合わせれば何でも__」
 ロウは大きなため息で遮った。
 「何度も言わせるな。余計なことはするなよ。あんたは俺の後ろにいるだけでいい。力不足だ」
 「でも......」
 「後ろにいろ!」
 少し申し訳なさそうな顔で隣に並ぼうとするムレルを、ロウは強引に後ろへと引っ張った。
 「気を付けてください! 奴は舌で人掴んで口に含む性質が......」
 ムレルの言葉を遮ってロウが剣を振るった。剣の軌跡が破壊の力となり、周囲の木ごと敵を消し飛ばす。その威力・範囲はすさまじく、ロウの前に残ったのは無数の切り株。そして原型すらわからない敵の残骸だけだった。
 「すごい、破壊力。でも......」
 ムレルは呆然としていた。あまりの威力に度肝を抜かれたらしい。
 ロウはそんな彼女の横で、地面に落ちていた何かを拾った。それは血のついた鳥の巣だった。中に住んでいたはずの鳥の姿はない。ロウは沈鬱な表情で地面に埋めた。ロウはその後も攻撃に巻き込まれてしまった動物を一匹ずつ葬っていった。
 「ロウさん......」
 ロウは俯いたまま呟いた。
 「......もう一匹いるんだろ、探すぞ」

 もう一匹はすぐに見つけることができた。
 「気づかれた!」
 「奴の口の中に人がいます。消化しきってません! 今ならまだ間に合いますよ! ロウさんなら楽勝ですよね」
 ムレルの言う通り、口の中に人形の影が見えた。男の「助けて」という叫び声が聞こえる。だが、どうする。喜んでいるムレルに対してロウの表情は暗い。
 襲いかかる蛙の魔物。だが、ロウは攻撃しようとしない。蛙の舌による攻撃をひたすら盾を使って防ぐばかり。攻撃に転じる気配はない。
 「なぜ!」
 「力の加減ができないんだ! さっきの鳥の巣を見ただろう!」
 極端に頼られるか、白い目で見られる。最悪仲間を攻撃に巻き込んでしまう。強すぎて制御の効かない力は、複数人で行動するときに足枷でしかないのだった。
 「退却してッ......体勢をッ......クッ」
 「その前に消化されてしまいますよ!」
 ロウは考える。このまま攻撃を耐え続けるのは無理がある。やたら力は強くても防御に関して飛び抜けた才はない。殺る前に殺る主義がここに来て仇になった。人質ごと殺るか、このままなぶり殺されるか。
 限界だ! 殺す! そう、ロウが決心したときだった。
 「弱体化の魔法!?」
 だが、ムレルの魔法の対象は敵ではなかった。
 「あなたが弱体化すれば技の威力も弱まるはずです!」
 「そうか! これなら......行ける!!」
 ロウの放った斬撃は魔物の口の一部を破り、飲み込まれていた男が飛び出してきた。すかさず、ムレルが救出する。
 「食らえ両生類ッ!」
 深々と剣が刺さり魔物は打ち倒された。
 「どうですロウさん! これぞ、チームワークの力です」
 ロウはムレルの手腕に驚いていると、突然目の前が暗くなった。目の前に口。大口。がま口。大蛙が起きたと気づいた時には遅かった。強烈な酸の臭い。「クルル」というムレルの奇妙な叫び声。助けた男の悲鳴。走馬灯。加減の......しすぎ......。
 「あっ......!」
 口の奥から何かが込み上げたのが見えた瞬間、蛙が宙を舞った。蛙が吐いた液がロウにかかることはなかった。呆然とするロウと男の前で、空イルカが誇らしげに鳴いた。しばらくの沈黙。
 「これがチームワークの力です! 力を合わせれば、不可能も可能になるんです!」
 森の中にムレル渾身の叫びが響いた。
 もはや、その言葉に異論はなかった。ロウはとうとうムレルに頭を下げた。
 「......悪かった。俺が間違っていた。今までぞんざいに扱って悪かった。心の底から謝る。君は力不足でも役立たずでもない。本当に問題があったのは俺自身だった」
 「いいですよ。チームなんですし、お互い助け合うのは当然です。出来ないことを補い合うのがチームですから。例えそれが戦闘以外のことであっても、ですよ」
 怯えるロウに対して、ムレルは何でもないという風におどけて見せた。
 「君の言う通りだった。力を合わせれば一人一人が自分の実力以上の力を出せる。チームワークの力、体感して初めてわかった。ありがとう......ありがとうムレル!」
 ロウははじめて彼女の名前を呼び、笑みを見せるのだった。

記憶の欠片 超短編

 少女と少年は仲良しだった。少女は巫女の血を引く貴族という身分のためあまり外には出られなかった。少年はそんな彼女を秘密裏に連れ出して子供らしい遊びを教えてあげていた。
 少女が親の目を盗んで森に入り迷子になったとき、真っ先に助けに行ったのも少年だった。少年は「ぼくがあの子を誘ったんだ」と嘘をつき、罪を被ってくれた。君がいなくなってしまったらとても悲しいから二度とこんなことしないで、と言った少年の優しさに少女は涙した。
 すくすくと二人は育った。だがある日少女が誘拐されてしまった。邪神の復活の儀式に利用されることがわかった。少年は儀式の場所に単独で侵入、儀式を中断して少女を助け出すことに成功したが、彼女の記憶が100の欠片となって世界に散らばってしまった。
 少年は彼の親の反対を押しきって旅に出た。記憶の欠片は膨大な力を持っていて、人を魔物に変える力があった。記憶を失ってしまった彼女と少年は世界を回り、魔物となってしまった人々を知恵と力を持って助けつつ、記憶の欠片を集めた。旅が終盤に差し掛かる頃には、少年は青年になっていた。
 青年はとうとう最後の欠片がとある神殿にあることを賢者から聞き出した。青年は最後の欠片を手にした。だが、最後の欠片を彼女に渡した瞬間、彼女を依代に邪神が復活してしまった。欠片に含まれていたのは彼女の記憶だけでなく、100に分けられた邪神の力そのものだったのだ。そう、彼女は自らの記憶と引き換えに邪神を封印していたのだ。よりにもよって、最後の欠片にその記憶が含まれていたのである。
 青年は絶望した。自らの手で邪神を復活させてしまった。邪神に弄ばれぼろ布のように宙を舞う青年。だが、青年が止めを刺される直前、彼女が最後の力を振り絞り邪神の動きを止めた。彼女ごと剣で邪神を貫き、全てを終わらせた。

世界を作ろう(創作妄想垂れ流し)

 私は今まで基本二次創作したことがなく、世界観を一から作るということをしたことがありませんでした。今回、創作ファンタジーを書くに当たってこの問題にぶち当たりました。どうしたものか。

 今回はブログの文を書きつつ、セオリーとか無視して我流で世界観を一から作っていこうと思います。全く参考になりませんがお付き合いいただければと思います。

 とりあえず、私は剣と魔法のゼルダでFFでドラクエでブレイブなマジックパンクファンタジー銀河鉄道風味にが好きなのでその路線でいきます。まず、自分の作ってみたい世界を妄想するとします。

・旅をすると楽しそう。
・自然がたくさん残っている
・精霊・ドワーフなどの種族がいる他、幻想生物も存在する。ペガサスかっこいいよね。
・くわえて獣ベースの人が普通にいる。
・魔法の概念が存在する
・超自然的存在が存在する。
・剣とか弓矢が実用品として存在する。
不定形生物のみが住む町や、太陽のない町など、現実にはあり得ない場所が普通に存在する。
・モンスター的な何かが存在する。
・架空ではあるが、各生物の描写に説得力を持たせたい。

 まず、我々が住む世界と最大の違いは魔法、即ちその素材となる『魔力』が存在することです。ここを基準に考えていきたいと思います。架空の生き物やあり得ない現象をすべて『魔力が存在したから』とこじつけていきます。


・魔力があるから獣人やピクシーや魔物やらが生まれた→魔力は動植物の人体に影響して変化をもたらす。
・魔力があるから魔法が使える→魔力は動植物の精神に影響され様々な事象を引き起こす。
・魔力があるから太陽のない町や、寒くもないのにオーロラが常に出る町が存在する→魔力は天候に作用する。
・魔力があるから自然が残った→科学文明の発達を阻害、あるいは変化させる。


 まとめると魔力とは『動植物の肉体を変化させ、逆に動植物の精神に影響されて外界へ様々な事象を引き起こすエネルギー』となります。また、神秘性を保つために、魔力は科学から外れ体系化や因果関係を説明できないと付け加えておきます。なので魔力は科学に干渉できますが、科学は魔力にほとんど干渉できません。

 「ご都合主義じゃね」
 「これぐらいは許されないと困る」

 この世界の生命体は等しく魔力を内包しているため、今の地球では考えられない速度で進化していきます。しかも、科学を無視するため系統を無視して猫人など普通では考えられないような生物が普通に誕生します。さらにぃさらにぃ! 魔力を消費すればドラゴンのような巨大生物でも空を飛べるようになります。神のような色々超越している存在やお化けとかも『強烈な思念(魔力)でこの世に存在を固定しているから』で説明がつくはず。

 「これ、ゴリラから人間に進化したりもあり得るってことになるよね」
 「うん。スーパーゴリラ人とかいても誰も突っ込まない素晴らしい世界」

 魔力が生物の精神に影響されると言うことは、生物の精神が外界の環境に影響を与えることもありえることになります。大量の植物が生存のために『もう少し寒い方が生きやすい』と思うと、周囲一体は春なのにその植物が群生している場所だけ冬になったりするはずです。(そもそも魔力は科学的な因果関係で説明がつかないので、突発的に異空間が発生したりしても誰も反論ができないケド)

 「あれ、これ全世界異空間化するよね?」
 「あ......」

 えっと......、でも全く物理法則が通用しない世界も求めているものと違うから......元の世界の原型を残すため、魔力が濃い場所と薄い場所があることにします。大気中の魔力の濃度が濃い場所であればあるほど異空間となり物理法則が通用しなくなり、逆に魔力の濃度が薄いと物理や科学が支配する空間となります。

 「何でもありだな」
 「何でもありにしたいからこういう設定にしているんだよ」

 魔物や魔族......だとなんかありがちだから......。
 精神に魔力が影響するために、強烈な殺意など感情を抱いてしまうと魔力が悪い方向に働いてしまいます。人は魔力によって体が変化し......人魔になってしまいます。魔力における負の面ができました。


 「ついに闇堕ち要素まで付け足して来たか」
 「でも、過剰摂取は体に毒ってなんにでも言えることだよね。副作用のない薬なんてないし。メリットとデメリットは表裏一体」


 魔力に精神が犯され、最初に抱いた強烈な感情、憎しみであれば憎しみ、嘆きであれば嘆きがさらに増幅されてしまいます。しかも、強い感情は強く魔力に干渉するはずだから、文字通り人外の力を手にします。
 そうなると今度は人魔が増えたら世界が破滅するはずなので、それを防ぐ仕組みがあるはずです。そこで人魔になるのを防ぐため肉体の方がアポトーシス自死を選ぶように設定します。


 「精神科が繁盛しそうな世界」
 「教育制度も発達しているんだろうな。人間関係が生死や災害に関わるわけだから。下手すりゃ洗脳に近くなっちゃうかもしれない」


 ......あ、今気づいた。どこから魔力が産み出されるかの説明がない。やっべ、全く考えてなかったわ。宇宙から放射されてくるとかじゃ、だめかなぁ。あとは精神活動をすると勝手に生産されるとか。植物の光合成と似たような感じ。よし、それで行こう!......そうだ、そうなると精神活動を多くしている人ほど魔力を扱える絶対量も増えるはず。


 「とってつけた無難な設定」
 「これしか思い付かなかった👼」


 さて、大体設定がまとまった気がしますのでまとめです。

・この世界には存在しない『魔力』というエネルギーが存在する。
・魔力とは肉体や外界へ様々な事象を引き起こす物理や科学では説明できないエネルギー。特に生命体の精神に影響を受けやすい。(精神依存のため魔力を行使すると精神疲労が貯まる)
・魔力は大気中に存在し、濃度によっては超常現象を引き起こす。
・この世界に住む生物は、精神が破滅的な暴走をすると死ぬように体が作られている。何らかの要因で感情暴走の挙げ句死ななかった場合、人魔となって暴走する。
・植物の光合成がごとく、生命の精神活動によって魔力は生産される。だから知恵者ほど魔力の影響を受けやすく、その扱いに長け、許容量がデカイ。


 ふう、こんなもんか。結構時間かかったなぁ......。でも、他の作品とか見てもしっかりしてるんだよなぁ。(デスノとか『気』とか猫型ロボットとか)
 みんな創作するときどうやって世界観を決めてるんだろうか。