フゥルの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

創作脳内会議

 皆さんお久し振りです。今月コミティアに売り手として初めて参加したフールです。
 私が約一ヶ月もの間、ブログの更新をしなかったのかをお話しします。

 単なるスランプ。

 このスランプがどうも厄介で、前回更新した記事から文章を一切書けなくなるというものでして。文字通りなんにも書けないわけです。
 今まではスランプといっても蟻が歩く位のペースでなんとか書けていたのですが、ここにきて全く文が思い浮かばない。アイデアは頭の隅に転がっているんですが鍵がかかって文章化できない。
 書けたとしてもTwitterの140字が限界。ざまあねぇ。

 本当であればここ(この記事における山場、起承転結の転)で名案を思い付き華麗な展開を見せるつもりでしたが思い浮かびません。まずい、このままだと単なるボヤキになってしまう。こんな時は脳内会議だ。

フール司会「これから第一回フールの創作脳内会議を行います。これはリハビリもかねているので皆さん気軽に発言してください」

キャラ担当「キャラの履歴書を書こうとして脳内挫折したのが原因だと思います」

イデア担当「他作品を流し読みするだけで読み込んでないために、アイデアの消化不良を起こしている可能性が。そういえば何で黒猫紳士の記事消したん?」

キャラ担当「最初から書き直そうとして。設定と文章に粗があったんですよ。特にキャラ。あとで読み返したら主要キャラですら名前が思い出せませんでした」

イデア担当「えー。キャラ主体の小説なのになんでキャラの手抜いてるの?」

キャラ担当「いや、だってキャラの過去とか考えるの大変だし......」

イデア担当「キャラシとか履歴書作るのって創作の醍醐味じゃないの? Twitterとかブログとかでキャラの設定だけ挙げている人もいるぜ?」

キャラ担当「何でだろうね? 資料集めは割りと楽しいんですけどね。いざ考えようとすると手が止まるんですよ。ぶっちゃけめんど......ゴホンゴホン。でも、キャラの設定を疎かにすると今までみたいに全員無個性のっぺらぼうになりますから......」

世界観担当「わかる。妄想するのは楽しいけどいざ設定に落とし込む作業が苦痛。シナリオ担当と整合性あわせるのマジめんどい。あとパクリにならないように気を付けるのマジダリィ」

イデア担当「あーここで止まってるのか。いやさ、でも君らがオーケーサイン出さないと永遠に文章が出力されないわけだよ。完璧な小説なんてない。とりあえず多少歪でもオーケーだして編集すればいいじゃないか。最悪リメイクすりゃいいしさ。そうだ、息抜きに企画ものの小説でも書いたらいいじゃないか......正直、今のところ何のネタも思い付かないが......」

キャラ担当「でもさあ、やっぱり重要なんです、キャラって。しっかり練った方がいいに決まってる。とりあえず、主人公の好きなもの嫌いなもの位は考えてから書き出さないと」

イデア担当「そんなのあとで編集のときにやりゃいいじゃん。書けない方がやべぇんだよ。本読んでメモった俺のデーターベースがまるで役にたたないじゃないか!!」

キャラ担当「だってシナリオ担当が!」

世界観担当「そうだ! シナリオ担当が全部悪い」

イデア担当「へ? だってシナリオ担当はアイデアをちゃんと活用してくれてるみたいだし。まあ、実際に俺は会ったことないけど何も悪く......」

シナリオ担当「我、ただ作るのみ。一切の関与を禁ず。他担当は我がシナリオに従え。私こそフールの小説における絶対決定権を持つシナリオ担当である。万事シナリオにあわせよ。シナリオなくしてストーリなし。ストーリーなくしてキャラなし。我が権限は最上位でありありとあらゆる異論は認めぬ」

イデア担当(......こいつ『小説を書くためにシナリオ書いている』んじゃねぇ! 『シナリオ書くために小説を書いている』! これじゃ、目的と手段の逆転じゃあねぇか)


イラスト担当「今、バーチャル蠱毒で話題の九条林檎様描けたよぉ~!」

イデア・シナリオ・世界観「「「もはや自創作すら関係ねぇ!」」」


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フール司会「だめだ。原因がありすぎてわかん」

校正担当「会議に呼ばれすらしなかった。いつも文章の不備とか、誤字脱字とかパクリ問題とかエログロNG描写の責任を全部私に押し付けにくるくせに......シクシク」

フール「すまん、存在そのものを忘れてた」

校正担当「ヒドイ!」

封印 短編小説

 私はとてもとても長い時間を薄暗い部屋の中で過ごした。年に数回、封印の一族が覗きに来て何も言わず去っていく。
 だが、あるとき妙な少年がやって来た。

 「今年から君の担当になったんだ。よろしく」

 そう言って少年はパンを差し出した。私は受け取らなかった。本当は喉から手が出そうな位ほしかった。だが、この少年が何を考えているのか全くわからない。今までの奴のように冷やかしや、怯えて適当にやり過ごそうとしているかもしれないと思った。
 少年は次の日は石を持ってきた。少し綺麗なだけのただの石。その次は鉛筆。その次は......、という風に毎日違うものを持ってきては私に言葉をかけた。
 数日経ったある日、再び少年はパンを差し出してきた。私は少年に根負けし、パンを手に取った。小さくちぎって口に放り込んでは何度も噛み締めて味わった。

 「おいしい?」

 「なぜこんなことをするんだ?」

 「長い間一人でかわいそうだったから」

 私と少年はそれからポツポツと会話するようになった。少年が何かを持ってきて、一言二言会話したあと帰っていく。だんだんと少年との会話は延びていき、私は少しずつ少年に気を許すようになっていた。
 そんなある日、少年が本を持って来たのを見て喜びのあまり奪おうとしてしまった。その際誤って彼を傷つけてしまった。少年は本を落として逃げてしまった。私は彼に見捨てられたのだと思った。暗闇の中、自己嫌悪に陥っていると小さな足音が聞こえてきた。部屋の出入り口を見ると、少年が大量の本を抱えて立っていた。あまりにも私が嬉しそうだったから図書館から借りてきたのだという。
 私は数百年ぶりに泣いた。
 それから、少年と本の貸し借りを繰り返した。やがて何年もの月日が経った。少年はいつのまにか大人になり、妻を連れてきた。

 「はじめまして。彼の妻です」

 「怖くないのか?」

 「彼はあなたのことを親友だと言っていました。どんな存在であろうと、彼が心を許したのなら素敵な人であると、私は確信しています」

 二人は一日に一度はこの部屋を訪れて、私の話し相手になってくれた上に本と食べ物を貸し与えてくれた。私にはもはや彼らが家族のように思えた。
 さらに長い年月が経った。かつて少年だった紳士が私に印の書かれた紙を差し出した。

 「ここから出してあげようか?」

 私は首を横に振った。紳士とその妻が住んでいる世界を私の手で汚したくなかったからだ。私は忌むべき存在でしかないのだから。

 「ではもし、私たちに子供が産まれたら、その子の力になってくれないか?」

 「わかった。もし私の封印が解かれるようなことがあれば、あなたのように立派な紳士となって子を守ると誓おう」

 私は契約書を紳士へと渡した。
 その時の契約書と封印解除の印は、二人が遺した遺書として娘の手に渡ることとなった。