フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

高二 白辺さんと僕 

一週間目 放課後
 「よっ、生物君。今日一緒に帰る?」
 帰り道一人でとぼとぼ歩いていたら、のんびりとしたマイペースな声が聞こえた。白辺さんだろう。
 「じゃあ、一緒に帰るか」
 細い目に流れるようなセミロングの持ち主にそういった。
 
 「委員会決めはどうだったの?」
 「図書委員。じゃんけんで勝ち取った。ミキヨはどうだった?」
 ほんわかした雰囲気のまま、白辺ミキヨは答えた。
 「『名字で呼べ』っていってるだろ。殺すぞ♪」
 「はは、怖い怖い」
 満面の笑みである。
 いつものことだった。最初こそ驚いたものの、いつのまにか僕がちょっかい出しては白辺さんに『殺すぞ♪』と言われるのが恒例になっていた。妙な仲だ。
 「ちなみにアタシは環境美化委員会ね」
 「『地道に掃除』委員か」
 「ちゃうちゃう、『掃除してると見せかけてお喋り』委員」
 「いいのか?それで」
 「アンタだって環境美化になったらそうするでしょ?」
 「いいや、ハイター持って殺菌してる」
 「はぁ?アンタ真面目だからね」
 「違う。終わるまでハイターで時間稼ぎ」
 「結局さぼるんかい!」
 ははは、とお互い笑い合う。
 「そういえばミキ……」
 「何か言った?」
 殺意の眼差しが僕を貫いた。口はあくまでニンマリしているのが逆に怖い。
 白辺さんは『人は見かけによらない』という人の典型だ。初対面から白辺さんはこんな感じだったし、思ったことをズバァと言ってくれるぶん、友達付き合いとしては楽だし退屈しない。
 「……はぁ。……えっと白辺さんは小学校スピネルと一緒だっけか?」
 田辺は細い目をさらに細めて言った。
 「うん、ため息は余計だけど、どったの?振られた?」
 「いやいやいや、付き合ってないし、そもそも知り合ったのがつい先週だ。偶然白辺さんと同じ小学校だって聞いたから気になってね」
 ふーん、と彼女は上を向いた。思い出そうとしているらしい。
 「宵が浜小学校の頃はほとんど面識なかったからね。あんまわかんないや。中学も別々だったし。ただ、小学校時代のスピネルは今と少し雰囲気が違ったよ?」
 「どんな感じ?」
 「知りたい?」
 「出来れば」
 白辺さんはニンマリとして答えた。
 「じゃあ、ホップ・ステップ・ジャンプしてから『俺の遺伝子はレボリューションだ!』って言って」
 「いや、ちょっとまて、訳がわからない」
 「アンタは宴会で上司に『お前も何か歌え』って言われたとき断るの?それとも死ぬの?」
 「話すり替えた上で勝手に僕の命を握るな」
 しょうがない。やるか。

 ホップッ!

 ステップ!

 ジャーーンプ!


 【……俺の!】

 両拳を腰に当ててから

 【遺伝子は!】

 天に手を掲げ

 【レボリューションだっ!!】

 左手を目尻に当て、右手を銃の形にして白辺さんに向けて、キメ!

 あっはっはっはっは、という白辺さんの声が響き渡る。
 「僕はやる時はやる男だ」
 「わかった、わかった。おもろい。あはっ、教えたげる。あはあは!」
 彼女が笑うたび、彼女のショートカットがぶんぶんうねる。それはそれで面白い。
 「はあ、えっとね、小学校の頃のスピネルはもっと地味だったよ。今みたいに他の人に話しかけたりするのは苦手だったみたい。特に男子ね。高学年になるにつれてちょっとはオープンになったみたいだけど。この学校来たときには雰囲気がガラッと変わっていて、今みたいによく笑うようになったよ」
 「そうか。今の説明、よくわからなかった」
 「1回死んでみるか♪?」
 笑顔だけは逸品だ。これを写真にとって知らない人に見せたら、単なる優しそうな女の子に見えるにちがいない。
「嫌だね。殺されるのは真っ平だ。インフルにかかる並みにごめんだ」
 「じゃあ、自分で死ねば?道具だったら貸すよ?」
 「そういう意味じゃないんだが」
 「じゃあ、赤崎にたのむわ。あいつなら証拠隠滅までやってくれそうだし」
 「ヤメロ。あいつが動くとマジで殺されそう」
 「じゃあ、今度ジュースおごって?」
 「水道水おごってやるよ」
 「じゃあアタシはそれに青酸入れてお前に飲ませる」
 言葉を返しながら僕は考えていた。まさか地味だったとは。スピネルは昼休み以外、常に女子と話している。様々な女子グループを掛け持ちしているあたり、人付き合いが上手であることが察せられた。また、赤崎がバックについているお陰で男子からの認知度もそうとうなものだった。
 たしか赤崎、サンダーはスピネルと宵が浜中学時代から知り合っていたはずだ。今度聞いてみるか。
 「そう言えばなんで白辺さんは中学のとき越境通学したんだ?そのお陰で知り合った訳だけど」
 「まあ、そりゃぁ……」
 一息ついて白辺さんが言った。
 「嫌な奴がいたからねぇ。そんなもんだよ。小学生の発想だもの♪」
 まあ、こんな友達が一人はいてもいいかな、と思う僕であった。


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人物紹介:白辺ミキヨ

 まず第一に、彼女がよく言う『死ね』についてだが、あれは親しい一部の男子に、冗談で言うそうだ。冗談にしては過激だと思うがな。

 ちなみに女子同士では普通に会話をしている。

 髪型はセミロング。校則にひっかからない程度に髪を染めているという噂もあるが、詳細不明だ。

 細目で常ににこにこしているような顔だ。その顔でぶっ飛んだことを言うからある意味とてもシュール。

 ちなみに名前で呼ぶと気に触れるから気を付けろ。覚えておけよ?