病理解剖を見学した感想
銀色のテーブルの上に裸体で被験者が横たわっていました。
まったく体が動いていないこと、肌から赤みが抜けていること以外はまるで生きているみたいです。
親しい人の死を受け入れられない人の気持ちがほんの少しわかったような、わからないような。
そんな体に医者が優雅な手つきでメスをすぅっと入れます。
血は出ません。
その瞬間、今目の前にいる被験者が「抜け殻」だということを感じました。
人の死とはこういうものなのか、と少しわかりかけました。
体から臓器が取り出されていくのを見ても吐き気や不快感はまったくありませんでした。私にとって目の前にいる体はもう「抜け殻」であり、「生きている」人ではなかったからです。
唯一確信を持ってわかったと言えるのは
「人は見た目ではなく中身なのだ」
ということです。
こんな稚拙な感想で申し訳ないです。
皆さんには私よりも、もっとすばらしい「中身」を持っていただきたいです。