フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 26 第六章 お姫様の宝石

第六章 お姫様の宝石

 

青空を模した見上げるほど高い天井。

床に敷き詰められた赤い絨毯。

正面背後左右に扉が有り、常に開けっ放しで人が常に行き来している。

光源がないのにも変わらず、昼間のように明るい。

 

僕たちはたった今、後ろにある扉からここへ入ってきたところだ。

 

 

「待っていたわ、ルイージ、スピネル。」

キノコ城、大広間。

そこで待っていたのはプリンセス・ピーチ。

この国をすべる女王。

ピンク一色のドレスに身を包んだ彼女は柔和な笑みを浮かべていた。

「こんにちは。ピーチ姫。」

僕は慣れているので普通に挨拶を返せたが、スピネルはそうはいかなかった。

緊張しきってがちがちになっている。

まあ、一国の主とフランクに会話をするなんてことは普通、ない。

彼女が緊張するのも当然だ。

 

「・・・こっ・・・こんにち・・・わ・・・。」

 

退院二日目。

 

僕たちはスピネルについてピーチ姫に報告する為にキノコ城を訪れていた。

友人としても一国の主としても知ってもらいたいからだ。

スピネルを。

 

ピーチ姫は屈んでスピネルと目線を合わせると、

にっこりほほ笑みながら挨拶する。

「はじめまして。私はピーチよ。よろしくね。」

ピーチ姫はスピネルに対して手を差し伸べた。

「・・・わたしはスピネル・・・です。

・・・宜しくお願い・・・します。」

黒髪の少女はぎこちなくピーチ姫の手を握る。

 

僕はピーチ姫の手にいつも付けられている手袋が

外されていることに気がついた。

さすがピーチ姫。

細かい所にまで気が回る。

「立ち話も何だし、食堂へ行きましょう。」

ピーチ姫の勧めで一同食堂へ向かうこととなった。

 

 

身分差を感じさせない丸いテーブルで優雅なティータイム。

 

「ごめんね、ピーチ姫。

僕たちに都合を合わせてもらって。」

僕の謝礼から会話が始まった。

「全然問題ないわ。

むしろ、時間が余って退屈していたくらいよ。」

金色の髪をたくしあげながらピーチ姫が答えた。

嬉しそうに微笑み、言葉を継ぎ足した。

「それにしても驚いたわ。

ルイージがここまで明るくなっていたなんて。」

 

僕は左隣に座っているスピネルに目をやり、

「全部、スピネルのお陰さ。」

そっと頭を撫でる。

彼女は恥ずかしそうに身を引いた。

それを見てピーチ姫が羨ましそうにしていた。

 

 

僕は何故か兄さんの隣で笑っているピーチ姫を思い出した。

 

 

「・・・わたしは・・・何も・・・。」

小さなスピネルのからだが更に小さく見える。

「そこにいるだけでも僕にとっては大きな助けになる。」

その言葉にスピネルは思わず顔を伏せた。

ピーチ姫が口を開く。

「まるで・・・兄妹みたいね。」

ピーチ姫の言葉に、僕は少し安堵した。

恋人なんて言われた日には・・・もう・・・。

ピーチ姫は何も答えない僕たちに微笑みかけた。

そして、強引に話題を転換する。

もちろん僕たちを思ってのことだ。

 

「それより、スピネルはお洋服とかお好き?」

その言葉を聞いてスピネルが勢いよく身を乗り出した。

「好き!」

スピネルは最初にロングドレスを注文した数日後、

そのあまりの値段の高さに驚愕し、

それ以降服はほとんど所望しなかった。

買ってあげようかと言ってもスピネル側からいらない、

と断られてしまうのだった。

 

「じゃあ、後でお城の衣装部屋に行きましょう。」

スピネルの顔がヒマワリのように輝く。

そして僕はスピネルの乙女心を分かってやれなかった自分を責め立てていた。

今も分からないが。

 

目の前では僕を差し置いてお姫さまと黒髪の少女が

僕には理解不能な言語でガールズトークを繰り広げていた。

僕が三杯目のコーヒーを飲みほした頃には、

ピーチ姫とスピネルはすっかり打ち解けていた。

 

圧倒的コミュニケーション能力。

ピーチ姫の大きな力だ。

僕も欲しい。

 

「そろそろ移動しましょう。」

ピーチ姫の号令で僕たちは席を立った。

 

 

 

衣装室か?これは。

もはや衣装ホールじゃないのか?

見まわす限り衣装で埋め尽くされた部屋にて、

やはり僕には理解不能な言語で

ピーチ姫とスピネルが楽しそうに服選びをしていた。

 

「・・・この服着ていい?」

「いいわよ。もし気に行ったら持ち帰ってもいいのよ。」

「・・・本当!」

「あ、このドレスなんかどう?

シンプルな柄だし、スピネルにもおススメよ。」

「・・・ありがとう。・・・あっ、あれもお願い!」

 

ちなみに退屈はしなかった。

二人が次々と違う衣装に着替えて

そのどれもが形容しがたいほどに似合っていたから。

 

 

 

 

ルイージの小説

To Be Continued