フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 13後編 第三章 幸福の宝石

 

 

 

「アタイ、そこまでして彼女のこと知り無くないわ。」

 

「ルーニャさん、強く言いすぎッス。」

 

「やりすぎじゃないのか?

これじゃあ、見せしめか何かだ。」

 

「あんた、大丈夫かい?」

 

みんなルーニャにはいさめる言葉を、

スピネルには慰めの言葉を投げかけた。

猫耳社長のあまりの横暴さに、みんながしびれを切らしたのだ。

いくらなんでもやりすぎだ、

という冷たい視線が社長に注がれる。

 

 

 

重い沈黙の中、ルーニャが震える声で言った。

 

 

「・・・そうかにゃ。

 

社員の心を理解できないなんてまだまだ半人前にゃ。」

 

 

ルーニャが自嘲の笑みをこぼす。

 

みんな次々とスピネルに寄り添い、言葉をかけていた。

 

「大丈夫かい?」

 

「あの人、少し気が強いから。」

 

「気にしないでいい。」

 

スピネルは顔を上げる。

そして少し戸惑いながら

「・・・みんな、ありがとう。」

と笑って見せた。

 

スピネルを囲む同僚の隙間からルーニャが見えた。

彼女は一人、離れた場所で静かに様子を見守っていた。

 

「すこしの間、席をはずすよ。」

 

僕はそう言って、みんなをかき分けて輪からはなれた。

 

 

 

 

 

「ホットとアイス、どっちがいい?」

僕はルーニャに声をかける。

彼女の頭に生えている猫耳がピクッと動いた。

「ホット。」

僕はオーヤマ博士によって改造され四次元と化した帽子の中から、

熱々の缶コーヒーを取り出し、彼女に放り投げた。

「ありがとにゃ。」

 

彼女は缶コーヒーをキャッチし、ふたを開け口に付ける。

僕も缶コーヒーを帽子から取り出し同じようにふたを開ける。

 

「名演だったよ。

最初から最後まで。」

落ち込み気味のルーニャに言葉を投げかける。

「さすが。ルイージには全部お見通しにゃ。」

ルーニャは満面の笑顔で答えてくれた。

 

 

彼女はスピネルに対するみんなの疑惑を解消するため、

スピネルとみんなが仲良くなるきっかけを与えるため、

彼女は自ら進んで犠牲になったのだ。

 

 

彼女が切り出さなければ、

スピネルを気遣って誰も疑問をぶつけることは出来なかっただろう。

少しでも疑惑とかそういったものをこの会社に持ち込みたくない。

みんなが気兼ねなく自分の思うことを話せる、そんな会社にしたい。

この会社の理念の一つだ。

 

 

「スピネルが逃げ出したとしてもみんなの同情はスピネルに向かう。

そして何より僕がいる、そんなところかな。」

「まあ、にゃ。」

 

ルーニャは楽しそうにみんながスピネルと会話しているのを、

どこか遠くを見るような目つきで見ていた。

 

僕はわざとらしく伸びをして

「さあてと、僕たちもあの輪の中に入るか。」

と、ルーニャに切り出す。

 

ルーニャも伸びをしながら答える。

「スピネルに謝らなきゃにゃ。」

 

 

僕たちはリサイクルボックスに空き缶を捨ててから、

スピネルたちのところへ歩いていった。

 

 

ルイージの小説

To Be Continued