幻想妄想クリエイター エピローグ 短編小説
thefool199485.hatenadiary.com
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⬆本編はこちらになります。
今回で幻想妄想クリエイターは完結となります。ご愛読ありがとうございました。
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私は机の上の昨日借りたDVDを避けた。履歴書の下地きになっていたノートパソコンを開きメモ帳を起動する。すると、つい先日書き上げた文章が表示された。
冷静な目で読み返し、誤字脱字を潰していく。完成したばかりの状態で添削するとミスに気づかないのだ......興奮して。特に今回は特別思い入れがある小説だ。舞い上がってバカなことを書いていないか冷静な眼で判断する必要がある。......誤字よし、脱字よし、伏線回収よし。とりあえず、作品として投稿して大丈夫なレベルだろう。よっしゃぁ! できたぁぁぁ! この小説にかけた40時間がやっと報われる......。自の文ばかりで70000字は正直きつかったが、やりとげた時の達成感は格別だ。
そして何より、もう一度彼女の小説を書ききることができたのが嬉かった。
「オパニャ、ようやく完成したぞ」
彼女は創作キャラの一人でしかないことを自覚してなお、自分の人生は素晴らしかったと言っていた。だから、彼女の愛した世界......つまり自創作を愛することが彼女への精一杯の恩返しだと私は思った。私のオパニャへ伝えられなかったお礼と感謝の気持ち。それをこの作品として世に出したのだ。
彼女はもう二度とここへは戻って来ないだろう。でもオパニャは私の小説の中で生き続ける。小説の終わりはその世界の終わりではない。物語が終わっても登場人物たちはその世界で生き続けるのだから。
「うわ、ずいぶんと汚い部屋に住んでいるのにゃ。まっ、アタシの部屋も同じようなもんだけどね」
私は目尻が熱くなるのを感じながら振り向いた。
「おかえりなさい、オパニャ」
「......ただいま」
幻想妄想クリエイター 終