フゥルの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ヒゲと猫と二つの王国 3-2

僕はその言葉の意味を決めかねていた。

 

緑のPの中には一人の女悪魔が憑いてるのさ

 

僕のように精神に巣くっているのだろうか。はたまた肉体そのものに巣くっているのか。

今しがたマステラにお姫様だっこされていったルイージに、かつての僕を重ねてしまうのも無理はないことだった。

 

「あ~あ。もうちょっと遊びたかったのにゃ。

まだ、『ポンプ』とか『オバキューム』とか試してにゃいの沢山あったのに。」

 

「ルーニャ、事の重大さをわかっているのか?」

 

「とりついているって言ったって、マステラが取り押さえればそれで済む程度にゃ。

それに、いざとなればいくらでも手はあるにゃ。表立ってあの人たちが動かないってことは、まだ許容範囲ないってことにゃ。」

 

セキリュウランペル、それにクリエイターか・・・。

 

「わかった、ルーニャ。スピネル、行くよ。」

 

瞳を隠した少女は地面を見つめたまま黙っていた。

 

「・・・。」

 

「どうしたの?スピネル?」

 

「なんでもない。」

 

なんでもないときは地面を見つめたりしない。

 

ルイージは平気さ。一人じゃない。」

 

「そうね・・・。」

 

 

 

 

 

「大丈夫にゃ!?緑のP!」

 

ルーニャはさっきまでのやり取りがまるでなかったかのようにルイージを心配していた。

 

「戦闘中、なんかおかしいと思ったら、にゃに?取りつかれてる?

女悪魔?カゲの女王?って、気を失っているから意味にゃいか。」

 

一人で勝手に困惑しているルーニャに僕は言った。

 

「ルーニャ、僕は仕事に移るよ。まだ、片付いていないモノがゴロゴロあるからね。」

 

スピネルが意外そうな顔をしたが無視した。

 

「そっか、仕事か・・・。」

 

マステラが残念そうな顔を見ながら、自分の依頼の資料をカウンターから取り出し、僕は猫の手を後にする。

 

ルイージ、待って!」

 

「スピネル、君は自由にしていいよ。一人でこなせる依頼ばかりだから。きみは新しい友達を作ることに専念するんだ。」

 

そう言って僕は勢いよく、キノコタウンを飛び出した。

 

 

 

 

 

向こうのルイージに取り付けるのであれば、僕に乗り移られる可能性も高い。

僕もルイージだから。

ここは距離をとった方がいいだろう。

 

まあ、取りつかれたら取りつかれたで、別に僕もろとも消し去ってしまえば何の問題もないのだけど。僕がいなくてもルーニャとセキリュウがいればいいのだ。