フゥルの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

恐々叫々 F|⊂┳1〇N 短編小説

ただひたすらに、リアルな恐怖を書いてみました。

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 私はことあるごとに思い出す。病理室の冷蔵庫に保管されていた赤ちゃん。ほっぺたは赤く愛らしい顔はそのままに、ピクリとも動かなかった赤ん坊だ。
 なぜあの子が生まれる前に死に、私が生きているのだろうと。あの子が生きて大人になった方が、少なくとも私よりはまともに人生を歩んでくれるだろう、と。

 幾度となくミスをし、ミスの理由に正当性をつけようとごまかす。褒められても自信のなさから即、否定する。自分のなかでは常に恐怖で押し潰されそうなのに、他人からみたら『自分は出来るアピール』を常にしている嫌なやつ。そして、そういった致命的な欠陥に自分自身気づけなかった。

 仕事上のミスをする量も他人に比べて多い。主観ではなく、客観的な数値にして表に起こしてもやはり多い。そうして誰かに迷惑をかける。

 自分以外の誰かが私の仕事をしたら、絶対私よりも上手く仕事をするんだろうな……。なんでこの場にいるのが私なんだ……。

 どこで選択を間違えたのだろうか、と思うことがある。でも、自分の人生をおもいだしてみても、間違えだらけでどこが致命的な間違いなのかがわからない。

 私がいつも考えていることは、ミスをする恐怖、迷惑をかける恐怖。誇りだとかやりがいだとかは殆ど感じない。ただただ恐怖が原動力。

 いつか新聞に載るようなミスをするのではないか。人の命を奪うようなエラーを起こすのではないか。
 
 私の夢は誰にも迷惑をかけず、結婚や昇進等の大きな出来事とは無縁の、ひたすら安定した日々を過ごすことだったが、叶いそうにない。

 武道を嗜みたり、絵を描いたりするよりも、この場で、迷惑人間の脳血管がぶっ飛んで即死した方が、社会にとってプラスなのではないかと思う。

 自尊心など最初からない。もともとない自尊心をさらに削っていくと、心の床から涌き出てくるのは自分への憎しみだ。

 私は今までの人生の清算のために頑張ってきた。『迷惑をかけた分を返済する』のが生きる理由だった。でも、返済の目処は一行に立たず、多重債務でもしているかのように、どんどん人にかける迷惑が増えていく。

 毎日のように自分に『畜生』だとか『死ね』とか言いつつ、楽に死ねたらいいのに、と思う。

 もう、そんな自分に振り回されるのが嫌になった。

 人には産まれるかどうかを選ぶ権利もなければ、死を選ぶ権利もない。理不尽に産れさせられ、生きたくもない世界を生きたあと、死にたくない場所で死ぬ。
 
 なんでだ、本当になんでこんな歪んだ発想しかもたない私が生きて、あの赤ん坊は産まれてこなかったんだ。

 わからない、わからない、わからない……。

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