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フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

小説「ステッキ」 プロット (再投稿)

鉛筆画 独り言 短編小説

 あるとき学校の掃除当番じゃんけんに負けてごみ捨てに行くことになった。ごみ袋を両手にもち裏庭のゴミ捨て場に赴くと、空色のポリバケツの一群から少し外れたところに変身ステッキを発見する。一瞬、このプラスチック製のおもちゃが退屈でつらい塾のテスト地獄から開放してくれる気がした。一度は手にしたものの、こんなものを拾う自分がバカらしくなり、ステッキを思いっきり壁にたたきつけてその場を去った。

 翌日の放課後夕日の差す廊下を、学年一の人気教師である矢塚先生が、わたしの友人である彼岸さんの手を引いているのを発見する。興味本位でわたしは後をつける。しかし、思いのほか早く矢塚先生は彼岸さんと別れてしまう。わたしは偶然を装い彼岸さんに話しかけるも、「先生とはただの面談だった」といわれ少しがっかりする。

 そのとき、突然異様な音が学校に響き渡る。彼岸さんとわたしは音のする方向へと向かった。そして、ゴミ捨て場付近で「白色のミミズの体にYの字の口、そして植物の茎に似た触手を持った化け物」と出くわす。

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 わたしが動揺している間に、化け物は触手を使い彼岸さんを羽交い絞めにしてしまう。なすすべもなく拘束されてしまった彼岸さんを見ていられず、何かないかとゴミ捨て場に道具を探しに行く。そのとき、昨日の変身ステッキが折れたまま落ちているのを見つける。わたしは半狂乱の状態でステッキを手に持ち振りかざす。一瞬にしてわたしはシンプルなコスチュームに身を包んだ魔法少女に変身した。f:id:TheFool199485:20150421204727j:plain

 

(※上の画像はイメージです。)

 折れたステッキはいつの間にか元通りに直っている。わたしは杖を振りかざし適当に文言を唱え化け物に魔法を放つ。化け物は少しひるんだものの執念深く彼岸さんを捕らえ続ける。
 魔法少女となったもが化け物の触手に苦戦、魔法もたいした効果はなく、わたしは実力差に絶望しかける。
 そんな時、突然魔物が大きく吹きとび、彼岸さんが触手から開放される。わたしの目の前に立っていたのは矢塚先生だった。化け物は笑っているように不気味に口をゆがめて絶命する。それと同時にわたしの服装も元の学生服に戻る。
 何事もなかったかのように消えてゆく化け物を見ながら、すべては夢だったのかと、三人で呆然と立ち尽くした。
 後日矢塚先生から驚愕の事実を伝えられる。

「殴った感触でわかった。あれは俺だ。俺の欲望そのものだったんだ。あの時以来彼岸さんと俺は特に仲良くなった。でもそれも全部あの化け物のおかげなんだ。あいつは君が魔法少女に変身することも、俺が彼岸さんを助けに入ることも全部計算済みだったんだ」
 最後にポツリと矢塚先生が言った。

「いけないこととはわかっていたんだ。でも、心から好きだったんだ、彼岸さんが」

 顔面蒼白の顔がわたしの見た矢塚先生の最後の姿だった。わたしは全校集会で矢塚先生は異例の中途転勤となったことを知る。
 どんな人格者にでも克服できない自分の「欲望」というものが存在するのだろう。矢塚先生のようにみんなそれを隠して生きているのだ。わたしはこれから自分に襲い掛かるであろう化け物、そして底知れぬ人の闇を想像し、漠然とした恐怖に身を震わす。その手には折れた変身ステッキが握られていた。

 退屈な日々の方がまだましだった。何も知らないほうが楽だった。わたしはまだ、子供でいたかった。

 

追記

 間違って調整前の文章を載せてしまいました。星をつけてくれた人申し訳ありませんでした。内容はほとんど変わりません。