フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

私の特に変わった友人について

 この話は彼女、「菖蒲 雛(あやめ ひな)」に関して私が感じたことや友達から聞いた話、何より本人の言葉を基にして情報を整理してまとめたものだ。普通は一人の人に対してこんなことはしないと思うが、当時私が彼女に対して淡い感情を抱いていたことを考えれば理解できる。この感情が異性に対してだったら恋、同性に対してであったなら親愛の情と言い換えられるだろう。
 今年で二十歳を迎えようとしている今となってはもう7~8年も昔の話だ。今になってこの物語を語ろうと思った理由、それは彼女の数奇な運命に衝撃を受けたからだ。

 菖蒲雛は父母が不在のため祖父母に育てられた。育ての親であるおじいちゃん、おばあちゃんからあるときは溺愛され、またあるときはつらく当られた。幼い彼女には親の豹変が恐ろしく、日々親の顔色をうかがって生活していたそうだ。愛と憎しみの変わる時間や周期に規則性はなく、あてになるものは何もなかったために、祖父母をはじめとした人の感情の動きに対して非常に敏感になっていった。
 何もしていないのに怒られたり酷い言葉を言われて耐えられなくなったときには本の世界にひきこもった。大好きな本はシンデレラで今でもそうだと言っていた。
 祖父母の機嫌がいい時は公園に連れて行ってもらったりもしていたそうだ。公園では友達とのごっこ遊びが好きだったらしい。どちらかと言えば他の子の意見に従うタイプで、自分の思い通りにならなかったり理不尽な目にあっても大概黙っていた。もちろん、この性格は祖父母に逆らってはいけないという自己防衛から生まれたものだ。危険を冒すのを嫌がるために口数も少なかった。
 おかあさんに関しては子供のころは祖母から「空で見守っている」と伝えられていた。後に出産時に出血性のショック死をしたことを伝えられた。おとうさんに関しては口にすると家族どころか親類ともどもみんな嫌な顔をするから、「おとうさんとは嫌なもの」と思い込んでいた。

 小学校に入ってから、菖蒲雛は自分が他のこと境遇が違うことに気付き始めたそうだ。
 学校に入学して直後、父親自慢をしているクラスメイトに「お父さんなんか大嫌い」と言っていしまったのがきっかけで友達からいじめを受けた。その後すぐに担任の教師の働きかけもあり、「おじいちゃん」を父親の代わりとして話すことで事件はおさまった。この出来事からおとうさん=おじいちゃんという認識が彼女の根底に根付いた。また、この事件のおかげで学年を通して菖蒲雛の認知度が上がり、友人がかなり増えた。なお、友達からは彼女の単なる勘違いだったと捉えられ、その後はいじめやそのたぐいの出来事は起こらなかった。
 小学校高学年の時、祖父の友人が持ってきた心理学の本に興味を持ち、元来の本好きと相まって心理学の本を読み漁った。そのために人の感情に関しての感性は衰えることはなかった。おかげで国語の物語の読解に関していつも高い点数を出しては祖父母に自慢していた。
 クラブ活動はアートイラストクラブに入り花の絵や宝石の絵を好んで描いていた。中でもスピネルという宝石が特に大好きだった。スピネルのうち「ス」の字がうまく発音できず「スゥ」と聞こえてしまうこと、名前の「雛」を音読みすると「スウ」になることから「スゥちゃん」というのが彼女のあだ名になった。