フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ハッピーバレンタイン

帰りのホームルームの後、僕は待ち合わせ場所である体育館裏へ向かった。白い雪に僕の足跡が刻まれていく。バレンタイン。僕は頭の中で何度もその言葉を思い返していた。

 

 僕は六組の名前順でいっても後ろの方だった。だから必要以上に広い体育館が災いして、舞台から遠く離れた位置で入学式を迎えた。目の前のクラスメイト(本間君)の背の高さに圧倒されていると、左の方で何かが光ったような気がした。僕は思わずそっちの方を向く。隣の友達の顔を避けて、頑張って光の正体を探した。

 それは髪だった。漆黒の髪のカーテン、それに体育館の照明が反射していた。

 

僕はその子と仲睦まじくしていたわけじゃない。中学では恋愛せずともその噂だけで酷い集中攻撃を受ける。だから必然的に男女仲に溝が作られるわけだ。僕の場合もその例にもれず、男友達は多いものの女友達はほとんどいなかった。

 だからこそ、僕は今回の呼び出しに心底驚いた。時々、週に二三回くらい挨拶を交わす程度の仲なのにこんな時に呼び出しをされたのだから。友達のよしみで義理チョコとかくれるのかな?

 

約束の場所着いた。幸いにも彼女はまだ来ていなかった。仮にも僕は男だ。女の子を待たせるのは忍びない。僕は色々な思いを胸に秘めながら静かに待っていた。

 

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 それが単なるいたずらだと気付いたのは二時間ほど経ってのことだった。