チビ・ゆき様へ ―ルイージの小説外伝―
「はっ…はっ…はっ…」
スピネルを探し走って奥の扉を開けるとそこには皆が居た。兄貴もシロスケもマネーラもルイージもセキリュウも探していたスピネルも…皆が居たから皆が唖然としていた、着いたのはとても広い屋上…そこの真ん中で一人空を見上げ佇んでいるのは………
「…良く来たのぉ…散々手こずらせおって…シルク・マキリスタ…。
だが、フフッ…これまでじゃ。」
「あらあら、これはこれはカゲの女王様…良く私の上の名をご存知で…」
最低限の会話は済ませる、さぁ来なさいにっくき女王様…封印具なぞなくても私はあんたを完全消滅させてあげる…
私は手を剣に変え、女王へ跳びかかろうとした…が…
…何…これ?お腹が冷たい?
「ウシャシャ。きみの役目は終わり。スピネルをここまで連れてきてくれてありがとう。なかなか楽しめたよ。まあ、スピネルがそろってしまえば君は邪魔なだけだから。」
「どういう…。」
私の腹部からとめどなく血液が垂れる。わけがわからない、なんでシロスケが…。
影の女王は高らかに笑い声をあげ、みんなは呆然と私の倒れる様子を見ていた。
「長かった。スピネルをこっちに呼び寄せてからどれくらい時間が過ぎたんだろう。ディメーンの邪魔さえなければ手っ取り早くスピネルをいけにえに差し出せていたのに…。あの道化師野郎…!!」
首を無理やり動かして周りを見回す。女王とシロスケ、そしてシロスケによって呼び出されたプロミネンスたちによって仲間が蹂躙されていた。
「まだ、君たちのちっぽけな頭じゃあ、状況が飲み込めないようだね。じゃあ、答え合わせといこうか。」
シロスケはすうっと息を吸い込み、そして怒鳴るような叫び声を屋上に響かせた。
「クリエイターの正体、それは影の女王の思念にぼくの変身能力を上乗せしたものだ。つまり、君たちは最初からぼくと女王様の手の上で踊っていただけなんだよ。マリオの代わりだとかなんだは全部嘘っぱち。きみたちをいいように動かすために最高の演出さ。」
セキリュウが複数のプロミネンスに捕食されていく。兄がライ、レイを庇い、斃れた。その三人をシロスケの≪コロナ≫と≪ジェエナン イグニス≫が焼きつくす。マネーラは影の手によって体内の歯車をまきちらした。ルイージはスピネルを守るために孤軍奮闘していた。
「スピネル、セキリュウ、ルイージ、君はぼくと女王様の思い通りに復活のためにうごいてくれたね。わざわざディメーンを倒し、この塔までわざわざ死に来てくれてありがとう。シルヴィ、君はいざというときのスピネルの代わりになるためにここまで来てくれた。みんな実に献身的!涙が出ちゃうよ、面白すぎて。シャーシャシャシャシャーウシャシャシャ!!!」
「嘘…。」
もう、言い返すだけの力もない。
影の女王が嘲笑を響かせながら暴れまわっている。屋上は炎と血の雨によって埋め尽くされた。
なんで…こうなってしまった。
意識が遠のく…。
「ルイージ、よかったねぇ。お兄さんのいるところに逝けて、さ。」
私はあの夜守ると決意した。誓った。
二人を守ると。
体に水しぶきのようなものがかかった…。
―さあ、女王様!
今こそスピネルの命を喰らい再びこの世を蹂躙してやりましょう!
ウシャシャシャシャ!―
END