ヒゲと猫と二つの王国 1-4
『A級緊急事態発生!A級緊急事態発生!
場所、一回応接室!スピネルが不審者に抱きつかれた!至急配置につけ!』
いきなりサイレンが響き渡り、僕はスピネルから飛び退いた。
なんだ!これは!
どこかで見覚えのある方々が僕の周りを一斉に取り囲んだ。
「えっ、ちょっとこれ、何?」
マジやばくね?みんな殺気立ってるし、しかもこの人たちただものじゃないよね!みんななんかの訓練受けていますよね!緊急招集受けて数秒で、この大人数が、一切無駄なく、敵を囲むなんて無理ですよね!
「ルーニャさん!いつでも動けます!命令してください!」
「ちょっと!これ何!何なの!僕を殺す気なの!」
社員一同が僕に向かっていった。
「お前の行動次第だ!」
「みんなが『勝手に』作った警報装置にゃ。
ちょっと事情があってこういうことに関してはみんな敏感なんだにゃん。
社員のみなさん!心配にゃいからすぐに持ち場に戻るにゃ!」
ぞろぞろと「猫の手」の社員と思われる人たちが現場に戻る。
こええ、マジ怖こええ!クッパ軍よりも怖くない?
「・・・まあ、君がおとなしくしていればここは安全だよ。」
ルイージの頬笑みに何の安心も感じられないのは僕だけだろうな。いやちょっと待て、このルイージ僕の知っているルイージとは少し違うような・・・?まあ、異世界だから当然だと思うけれど・・・。
「自己紹介するよ。僕の名前はルイージ。」
「わたしはスピネル。ルイージの・・・親友。」
親友?
「恋人じゃなくて?」
「あにゃた、地雷を的確に踏んで行くタイプでしょ。」
ルーニャの言葉にハッとした。
「恋人?もう一度言ってみて?」
「・・・親友・・・ですよね。」
「物分かりが早くて助かるよ。」
ルイージ、僕が一番驚いたのは彼の変貌だ。まるで別人。優しさは持ち合わせているみたいだけど、それ以上に底知れぬ何かを彼は持っている・・・、とか言ってみたけどよくわからんw
さりげなくルーニャが耳打ちしてきた。
「ルイージに『マリオ』『ディメーン』『雨』っていう単語は、あまり使わない方がいいにゃ。あと、スピネルに対して絶対だめなのが『拉致』『誘拐』・・・」
ルーニャはそのほかにもNGワードを複数言ってきた。
・・・どういう意味だろう?
一見このキノコ王国は平和そうだ。でも・・・なんか大きな裏がありそうだ。