フゥルの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

風上 結 Another side

「人って言われてもな・・・

私もよくわからないの♪」

 

「・・・そうか」

 

わからない、か。本当、世の中は分からないことだらけだ。まあ、それも結構楽しいのだが。

 

「ちょっとガッカリさせちゃった?」

 

「・・・いや。」

 

本当のことを言えば私の知的好奇心は悲鳴を上げていた。

気になる、気になる、と。

 

呼吸を意識して精神を鎮める。

わからなくてもいいじゃないか。

そう、自分に言い聞かせた。

 

この後は他愛のない話をした。

まあ、私にとっては、だが。

決して一般的な「他愛のない」という意味ではないことを言っておく。

内容は想像してみてほしい。

 

 

「ねぇ、もう帰っちゃうの?」

 

「あぁ、まあね。」

 

「・・・んー、しょうがない!!

また会おうね!!絶対ね!!

 

「うむ。また来るとしよう。

お嬢さんにも会いたいからね。」

 

「・・・!嬉しい!!」

 

彼女は大いに喜んでくれた。

私の予想の範疇を越えて。

 

私は喜びかたに一抹の不安を覚えた。

 

なんだ?この、やるせない、哀しい気持ちは。

 

「またね

 

「また会おう」

 

私は彼女に背を向けた。

 

 

また、会おう。

いや、会うべきだ。

私の頼りにならない勘が珍しく働いた。

 

 

とりあえず、この場を去ろう。

頭を整理した方がよさそうだ。

 

 

彼女と出会えたおかげで今日は十分すぎるほど充実した。

 

背後をちらりと振りかえる。

少女はもういなかった。

私は周囲に誰もいないことを確かめ、決められた旋律を口ずさんだ。

 

 

さあ、飛ぼう。

 

 

どこまでも。