風上 承 Another side
「お嬢さん、一人で何をしているんだい?
よかったら教えてくれると嬉しいんだけど・・・。」
「一人じゃないよ?友だちと話していたの♪」
不思議な回答が返ってきた。
友達?
今いるのは私と・・・、風?あと、蝉か?
普通に考えたらこの少女が空想の中のお友達と話していると解釈するだろう。
ただ、どうにも引っかかるのだ。
目の前にいる少女の目はそんなおぼろげなものを見ているようには見えなかった。
おそらく彼女は本当に何かと話していた。私にはわからない何かと。
まあ、それはいい。
一番に気になったのは彼女の純粋さだ。
いろんな人と会ってきたが、彼女ほど心の透き通った人は珍しい。
まっすぐな瞳。
話がしたい。
彼女となら、ペルソナを被らず話せそうだ。