フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 50 第九章 希望の宝石

わたしは街道をそれて、

再び森の中へと入った。

 

 

雷に打たれた古大樹。

わたしが拾われた場所。

物語の始まり。

 

彼と初めて出会った場所。

 

 

感じる。

 

彼を感じる。

 

本物の彼を感じる。

 

 

 

森が途切れ、

雷に打たれた大樹が見えた。

あの時と寸分変わらない大樹。

 

やっと会える。

 

ああ、ルイージ・・・。

 

 

 

わたしはその空間に足を踏み入れた。

 

希望を胸に。

 

 

 

でも

 

 

そこには

 

 

 

残酷な現実が横たわっていた。

 

 

 

大樹の前で待っていたのは二人だった。

 

わたしを含めないで二人。

 

 

 

見てしまった。

 

 

 

前々から何となく感じてはいた。

本能的にわかっていた。

仲が良かった。

特別二人は仲が良かった。

でも、そんなことはないと思っていた。

 

彼らは普通の仲の良い部下と上司か、仲のいい友達にしか見えなかった。

 

 

 

あり得ない!

 

嘘だ!

 

そんな、馬鹿なこと!

 

わたしは彼の隣にいるだけで満足していた。

そばにいれるだけでよかった。

 

でも、その『居場所』さえとられてしまった!

 

 

 

具合が悪くなってきた。

吐き気がする。

頭から血の気が引いて、手が震えてきた。

呼吸が荒くなり、心臓が乱れる。

 

 

 

涙を流しながら彼の背中に顔をうずめるその少女に、

わたしは吸い寄せられていった。

 

そして気付いた時には終わっていた。

 

 

 

「・・・どうしたんだい?ルーニャ?」

 

 

 

わずかな振動に彼が振り向いた。

その衝撃で少女の体がずるずると彼の背中を滑り落ちた。

彼が振り向き終わったとき、彼女は地面に頬を付けて横たわっていた。

 

 

「?ルーニャ・・・」

 

 

わたしの敬愛した聖女はわき腹から血を流していた。

血の円が瞬く間に広がっていった。

 

人の居場所を奪うからこうなるの。

わたしはあなたと違う。

あなたは彼以外にもたくさんの友達がいる。

でも、わたしには彼だけ。

彼以外誰もいない。

 

 

彼はかつてわたしにそうしたようにひざまずき、

少女の口に耳を付けた。

一呼吸ほど間を置き、耳を徐々に彼女の胸部に近付けた。

 

彼の目がみるみる広がっていく。

 

「・・・。」

 

それから彼は静かに立ち上がり、帽子を深くかぶりなおした。

 

 

 

彼が気づいた。全てに。

 

 

 

彼は無言でわたしを見た。

 

 

 

彼に裏切られた。

 

おそらく彼もみんなと同じようにわたしの言葉を受け止めてくれない。

 

でも、わかってくれる。

 

言葉がなくても。

 

彼を拘束して精神世界に直接入り込めば言葉を通さずとも思いは伝わる。

 

あの時みたいに伝わる。

 

この身からあふれんばかりの子の想いを!

 

 

 

わたしは0.1秒後の彼の動きを予測し、

後ろに跳んだ。

 

≪ファイアージャンプパンチ≫

 

あと一歩。

あと一歩でまた彼と一緒にいられる。

 

≪ファイアー掌底≫

 

邪魔者はみんないなくなった。

 

≪地獄突き≫

 

あんな奴ら、あなたには必要ない。

 

≪サンダーハンド≫

 

 

無言で放ってくる技の数々をわたしはゆらゆらと避けた。

 

あなたの憤怒を感じる。

あなたの悲壮を感じる。

あなたの憎悪を感じる。

わたしに向けてくる意識の数々が、

わたしにとって幸せだった。

 

わたしを見てくれる。

かまってくれる。

 

それだけで、わたしはうれしい。

 

 

あなただけはわたしの居場所になってくれる!

 

 

あなたはわたしだけのもの!

ルイージ!!

 

 

だから一緒に!!!

 

 

 

ルイージの小説

To Be Continued