ルイージの小説 49 第九章 希望の宝石
天空に輝く星ならざる影。
飛行船の艦隊。
クッパ軍が誇るクッパ空軍である。
わたしは広場でその勇ましき姿を拝見していた。
おそらくセキリュウは時間稼ぎだったのだろう。
本隊が到着するまでの・・・。
空気を引き裂く音が聞こえた数秒後、
大量のキラーが、砲弾が、わたしに向かって飛んできた。
周辺の建物が舞い上がり、地面のタイルがばらばらと崩れる。
雨のように弾幕が降り注ぐ中、わたしは無数の飛行船のうち一艘を指差した。
指の先に光が集まり球状にかたまる。
程よい大きさになったところで、一直線に魔法を放った。
破壊の炎
≪フラーマ エクサティウム≫
球がだんだん小さくなりしまいには目視できなくなった。
空中で爆発が起こり、さっき指差した船がキノコ城の庭園に落下する。
地震に似た衝撃が大地を走った。
わたしは次々と戦艦を指差して言った。
ある船は光が飛行船の船底に着弾し、花火のように砕ける。
ある船は側面が光り輝き甲板が半分消えた。
空から降ってくる炎の雨によって民家を覆う氷が焔色に輝く。
火の大地に氷の花。
燃える街並みを見て夕陽を思い出した。
あちこちで地に乗り上げた船が火を噴く。
私の目の前は火炎に包まれ、それは麗しい光景だった。
火でできた道。
地上で開く花火たち。
どこもかしこも宝石のように輝いていた。
なんてきれいなんだろう。
鳴りやまぬ爆発音の中、わたしは町を後にした。
探した。
ありとあらゆるところを探した。
キノコ城もクッパ城もオドロン寺院も。
でも、彼はいない。
わたしは今、彼とお散歩した道を歩いていた。
ここにきてからまだ間もないころ、彼はわたしに寄り添って心を開けはなってくれた。
しかし、今は夜暗く視界が悪い。
木々はわたしの上に覆いかぶさるように生えていた。
あの時とは打って変わって不気味な雰囲気を醸し出していた。
木々たちでさえ、わたしを嫌っているの?
心細い。
今、彼はいない。
どこ?
どこにいるの?
両腕を胸に当てる。
それでも寂しさはまぎれない。
歩きながら首を左右に動かす。
彼を求めて。
一軒の家があった。
明かりはついていない。
あれは・・・わたしたちの家。
目の前に見えるのにものすごく遠く感じた。
もう帰れないのだろうか。
帰りたい。
帰って眠りたい。
でも、一人はイヤ。
いつものように二人で・・・。
わたしは断腸の思いで家を後にした。
山を登り、下る。
どれくらい歩いたかわからない。
急に雨が降ってきた。
感じる。
冷たいと感じる。
そう、この雨は冷たい。
さっきまで働かなかった感覚が働いた。
この雨に何か意味でもあるのだろうか。
わたしは空を見上げた。
星がよく見える。
雲もないのに雨が降っている。
歩き続けた。
ひたすら、歩き、続けた。
山を越え、川を越え、谷を越え、
その果てにたどりついたのは一本の街道だった。
森を歩いていたはずなのに急に街道に出たのだ。
後ろを振り返った。
そこには元来た道はなく、
果てしなく続く街道が続いていた。
道の左右に建てられた街灯が無機質な光を放つ。
街道の左右の脇は樹木が立ち並んでいる。
動くものはわたし以外、何一つとしてなかった。
霧に包まれた街道。
存在しないはずの街道。
この先に何があるのかわたしは知っている。
感じる。
あの場所に続いている。
わたしが求めたあの場所に。
ゆこう。
かえろう。
わたしのばしょ。
はじまりのちへ。
ルイージの小説
To Be Continued