フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 ルート2 終章 選択の宝石

最終話

選択

 

 

これでわたしのお話は終わり。

楽しかった?

 

その後どうなったかは言わない。

 

その方が余韻があっていいでしょ。

 

わたしはレサレサ嬢と待ち合わせがあるから後はルイージに聞いて。

 

ごめんね、あまり長く話せなくて。

 

帽子をかぶって、と。

 

じゃあ、ね。

 

 

 

やあ。

 

いきなり語り部が変わってびっくりしただろうけど、

ここまで聞いてくれた君なら理由はもう、

わかってるよね。

 

最後にひとつだけ僕から相談があるんだ。

 

あくる日の夜、大切な人が家に来てね。

 

 

 

 

 

眠っていると突然頭の中に言葉が響いた。

 

「外へ出るんだ。

合言葉は『ドラゴンは漫画好き』だ。」

 

この言葉を聞いた時点で外に誰がいるのかほぼ、見当がついた。

とりあえず合言葉を返す。

隣で眠っているスピネルを起こさないようにそっと玄関に立ち、

ドアノブを捻った。

 

「こんばんは。ルイージ。」

 

白装束。

右頬から額にかけて包帯を巻いている。

そのために右目がこちらからは見えない。

対する左目は鋭く光り、漆のように深く黒い。

銀髪の髪は綺麗に整えられている。

あごが細く、肌には張りがある。

装束からわずかに覗かせる手足も白く、か細い。

声は羽のように軽いテノール。

つまり、青年だ。

 

「あの場所に案内してくれないか?

そこで、話がしたい。」

 

あの場所。

 

心当たりはひとつしかなかった。

 

 

 

「ここにスピネルが・・・。」

 

月明かりに照らされる中、青年は雷に打たれた老木の幹を見つめる。

そしてしばらくたった後僕に視線をやり、話しかけてきた。

 

「・・・自己紹介が遅れたな。

ワタシの名前はムイ。

・・・スピネルのおとうさんだ。」

 

僕も自己紹介を返す。

 

「僕も自己紹介が遅れたね。

僕の名前はルイージ

スピネルの親友。」

 

僕はスピネルのお父さんに手を伸ばした。

「よろしく。」

ムイは微笑をたたえて僕の手を握った。

 

彼の手は優しかった。

暖かかった。

 

握手を交わした後、ムイが話し始めた。

 

「・・・突然の訪問で申し訳ない。

・・・どうしても、今、聞いておきたいことがあったんだ。」

 

スピネルの最初の頃の話し方に似ている。

 

「・・・ルイージの活躍は

ランペルから、セキリュウから、ルビーから聞いているよ。

正直、ワタシは君を心から尊敬している。

・・・お世辞じゃない。

本当の意味で・・・だ。」

 

どこか親近感の湧く話し方だ。

 

「僕は尊敬されるほどすごくない。

みんながすごいんだ。

僕は知らず知らずのうちに手柄を奪っているだけ。

申し訳なくてしょうがないんだ。」

 

白い青年は含み笑いと同時に言葉を放つ。

「・・・ルイージ、君はどこまでも謙虚なんだね。

そして、他人をいつも思いやっている。

・・・ワタシもそんな人間になりたい。」

 

この人は僕をひたすら褒めるためにここまで来たのか?

 

「僕を褒めるのはいいけど、聞きたいことって?」

 

彼はスピネルのカーバンクル姿のときの眼に似ている黒い瞳を、

僕にまっすぐ向けてきた。

 

「・・・もしよければ・・・貰って欲しいものがあるんだ・・・。」

 

急に彼は空を仰ぎ見た。

漆黒の天空には星たちが散りばめられていた。

月光に照らされた彼はなぜかさびしげだった。

 

「・・・ルビーとも話し合った。

セキリュウとも話し合った。

クリエイターともランペルとも。

・・・後は本人の承諾だけ。」

 

何を言っているんだろうこの人は。

ルビーと同じで真意が見えない。

 

「・・・ルイージ、スピネルのことをどう思ってる?」

 

何度聞いても聞き飽きないこの質問に僕は即答した。

 

 

「希望。」

 

「・・・そうか。」

 

 

ムイは静かに頷くと、

「わかった。

聞きたいことは聞けた。

じゃあ・・・、また、今度。」

 

僕は慌てて、去ろうとするスピネルのおとうさんを呼び止める。

 

「ちょっと待って!

貰って欲しいものって何なんだ?」

 

ムイは振り返った。

月明かりで半ば嬉しそうな、半ば苦しそうな複雑な顔が照らし出されていた。

 

「・・・ルイージ、君はスピネルを守るといったね?」

 

僕は静かに頷いた。

ムイはそれを見届けてから大きく一呼吸おいて重々しく言った。

 

「・・・ワタシたちが命を懸けて奪い返した宝石だ。

もう、邪魔する者はいない。」

彼は木々の中に姿を消した。

 

 

 

 

 

僕のこの長い話に付き合ってくれて本当にありがとう。

最後にこの質問を君にして終わろうと思う。

 

 

この質問に

 

この物語の

 

全てが

 

詰まっている。

 

 

僕はムイに

 

 

 

なんて答えればいいと思う?

 

 

 

ルイージの小説 ルート2 終