フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 37 第八章

 

第八章

 

 

 

月明かりがぼんやり降り注ぐ真夜中に、事は起きた。

わたしが目を覚ましたときにはもう、手遅れだった。

 

「泥棒!」

 

そう、泥棒。

誰かがわたしたちの家に侵入し、何かを盗んだ。

 

「取り逃がしたか。スピネル、ケガは?」

「大丈夫!それよりも何を盗まれたの?」

暗くて彼の顔がよく見えない。

「帽子を・・・盗られた。」

「!」

彼は一瞬の出来事を正確に話してくれた。

泥棒は窓から侵入しルイージの帽子を奪うと

すぐに『スケスケ帽子』を使い、逃げた。

 

姿は影のように黒く人型で、

逃げ去るとき月明かりに照らされようやく見えたという。

「帽子の中にはいろんなものが入っていたけど、

スピネルが無事なら帽子くらい手放しても別に構わない。」

「でも・・・わたしとおそろいだったのに・・・。」

 

せめて、一度でもおそろいの帽子をかぶり散歩したかった。

 

ようやく目がなれて彼の顔を拝めた。

こんなときに微笑をたたえていた。

ルイージ、何で笑っているの?」

微笑む彼はわたしをなでて、

「スピネルが無事だったから。」

と言ってくれた。

 

常日頃から帽子は手洗い、と決めているほど大切に扱っていた帽子なのだ。

それを差し置いて、

なおわたしの無事に笑顔を見せる彼の底知れない優しさに、

わたしは感謝せずにはいられなかった。

ルイージ、ありがとう!」

緑の貴公子は笑みを浮かべ

「どういたしまして。

『猫の手』には今、報告しに行く。

スピネルも一緒に・・・」

「行く!」

彼が言い切る前にわたしは声を張り上げた。

 

泥棒に入られた直後に一人で眠れるわけがない。

「じゃあ、準備をしよう。」

わたしの帽子は彼の帽子取り返してからかぶろう。

 

 

 

「あら、こんばんは。

お体の方はもうよくて?」

 

出迎えてくれたのは薄緑のテレサだった。

頭にリボンを二つほどつけている。

長いまつげに大きな扇子。

テレサの中でも飛びぬけて綺麗なレサレサ嬢は彼の天敵だ。

 

「お元気そうで何よりですわ。

ところで、今日は何の御用でいらしたの?」

 

わたしは今までの経緯を細かく説明した。

 

「なんとひどい。

わかりました。

すぐにあたくしの召使たちを動員して

調査して差し上げますわ。」

レサレサ嬢は口に扇子をあて、

「あたくしが一緒にいればもはや何も怖いものはありませんわ。

大船に乗ったつもりでいてくださって結構ですことよ。

オーホッホッホッ!」

高笑いを響かせた。

頼もしいことこの上ない。

 

いきなりレサレサ嬢の隣にテレサの老執事セバスチャンが姿を現した。

 

ルイージ様が現在、

キノコバンク横の草むらの中で隠れていらっしゃいます。

どういたしましょう?」

レサレサ嬢は再び高らかと笑うと

「陣形Cで気絶しないよう適度に驚かせながらここへ導きなさい。」

「承知しました。」

まるで空気のようにセバスチャンは消え去った。

 

大丈夫かなあ。

 

わたしの心配をよそにお嬢様は甲高い声で笑っていた。

 

 

結局、暫くお嬢様と話した後に彼が失神したという情報が届き、

家に帰らざるを得なくなった。

 

 

 

ルイージの小説

To Be Continued