フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 36 後編 第七章 宝石がために鐘はなる

「さすがにこれで打ち止めだね。

すごい執念だけど、

もう、立ち上がれなさそうだ。」

 

部屋の中央で全身に傷を負い倒れたまま物言わぬ彼を

バケモノは嘲笑った。

「馬鹿みたいだよね。

何の利益もないのに。

ウシャシャシャシャ。」

 

嘲笑を響かせながら彼の体を

 

ガシッ、ガシッと

 

踏みつけた。

 

 

その時・・・わたしのなかで・・・何かが・・・切れた。

 

 

頭に血が上り、何がなんだかわからなくなる。

視界がぼやけ、全身が振るえ、汗が出て

叫びたくなった。

全身からあふれ出るこの感情をバケモノにぶつけんがため、

わたしは拳を振りかぶり疾走した。

 

バケモノの顔が見る見る青ざめていく。

思わぬ攻撃に不意をつかれたのだ。

 

わけのわからぬ声がわたしの喉から部屋全体に拡散する。

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」

 

振りかぶった拳を

 

思いっきり

 

バケモノに

 

ぶつけた。

 

わたしの全魔力のこもった一撃を受け、

バケモノは倒れて動かなくなった。

でも、わたしは攻撃を止めなかった。

 

倒れた布お化けを力の限り殴った。

 

 

殴った。

 

 

殴った。

 

 

 

殴った殴った殴った殴った殴った殴った殴った殴った殴った殴った殴った殴った

 

 

 

お前のせいでわたしは怒っている。

 

お前のせいでセキリュウは苦しんでいる。

 

お前のせいで猫の手の仲間が病院へ送られた。

 

お前のせいで彼は大きく傷ついた。

 

 

お前のせいで!

 

 

お前のせいで!

 

 

お前のせいで!

 

 

セキリュウに手を止められようやく正気に戻った。

そして、目の前に転がっているものを見て絶叫した。

 

なんてことをしてしまったんだろう。

頭が真っ白になり、

急にとてつもない脱力感が、

それこそ地に伏せるような脱力感が、

わたしを襲った。

 

「うあああああ!」

 

嘆き、悲しみ、狂い、

そして、

言葉にできぬ快楽に狂喜した。

 

だが、わたしは何とか正気を取り戻すことができた。

 

転がっているものをほっといて

彼の元へと向かう。

 

月明かりが彼の体をぼんやり照らしだし、

青白く輝いていた。

 

ルイージ

起きて!

勝ったよ!

わたし、勝ったよ!」

 

でも、彼は祝福してくれない。

わたしの言葉を無視した。

目を瞑ったまま。

 

 

「起きてよ!

起きてよ!!

起きてよ!!!」

 

 

駄々をこねる子供のように叫び続けた後、

泣き崩れ

彼の体に顔を伏せる。

彼の体は温かく、心臓の鼓動が響いていた。

 

彼が生きていることがわかって、

安心して、

だんだん眠くなり、

もう、すべてのことがどうでも良くなった。

 

彼の体とわたしの体を重ねて

ただただ、

ぬくもりを感じる。

 

ああ、気持ちいい。

 

至福。

 

満たされる。

 

満たされる。

 

 

満たされる。

 

 

 

今までの人生で決して満たされることのなかった欲求が、

今、

叶った。

 

 

 

ルイージの小説

To Be Continued