フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 35 第七章 宝石がために鐘はなる


BGM Doopliss Remix

 

わたしたちはとうとうこの心地よい部屋から立ち去ることにした。

名残惜しい気もするが前に進まなければ。

この壮大な人災を一刻も早く止めること、それがわたしたちに課せられた使命だ。

 

部屋の隅にあった魔法陣に三人同時に乗る。

すると視界が一瞬真っ白になり、別の場所へと飛ばされた。

 

ここは・・・?

 

キノコ城のホール並みに広い部屋だ。

寝台、

緑の立て掛け式カーテン、

青い三脚テレビ、

黄色いライト、

マホガニーテーブル、

そして、白色の衣装ケース。

それらが向かって右側の隅に規則正しく寄せられている。

石畳の上に綺麗なオレンジ色の幾何学模様のカーペットが敷いてあり、

正面にある窓というには余りにも大きすぎるガラス張りの奥に、

新月がそのすがたを堂々と見せていた。

 

 

そして、

月をバックに

やけに背の高い椅子に座った、

ワイングラスを持つ白い布お化けがいた。

 

「コラ、コラ。

僕のくつろぎを邪魔するのは誰だい?」

やけに爽やかで、それでいて相手に威圧感を与える声だった。

 

模倣犯だというルーニャの予想は外れた。

シロスケ本人だ。

少なくとも見かけは。

 

セキリュウが一歩前に踏み出した。

「お前がこの一連の事件を起こしたという、バケモノか。」

その言葉がバケモノの気に触れた。

「バケモノって言うな!」

白いお化けは手にしたワイングラスを握りつぶした。

 

「なんだ?お前ら?

まさかぼくを倒しにきたのか?」

「ああ、そうだ。」

彼が言った。

 

相手の様子を伺うように。

 

「あいにくぼくは、次のイタズラを考えるのに忙しいんだ。

さっさと帰ってもらおうか・・・

って言ってもどうせお前らは大人しく帰ったりはしないんだろう?

はい・・・はい・・・わかりました。

ぼくが人々をお化けに変えてあげました。」

 

奴は自ら白状してしまった。

 

「・・・なんでそんなことを?」

お化けは肩を揺らした。

嗤っているのだ。

 

「そりゃ~」

 

 

・・・。

 

 

「スピネル、君をここへおびき寄せるためさ。」

「・・・!」

彼が驚愕の表情を浮かべた。

「どういうことだ!」

 

 

ウシャシャシャシャ

 

 

独特な笑いを披露したあと、バケモノは語り始めた。

 

「三年前、この世界から一人の英雄が消えた。

それによって、この世界は外界からの侵略に対して

恐ろしいほど無防備になったんだ。

そこで、創造主=クリエイターは英雄の変わりに世界を守る守護者を探した。

残念ながらこの世界には適正者はいなかった。」

 

やけに壮大な話になってきた。

 

「そこで、クリエイターは外界に手を出した。

二年前、ようやく見つかった。

ルイージや仲間とマリオのように信頼しあい、

協力し合い助け合える存在になれるであろう人が。」

 

わたしはそいつの話に釘付けになっていた。

「・・・誰なの?」

奴は面白くてたまらないといった感じで

「ウシャシャシャ!!」

と笑うと、

「君の隣にいるドラゴンさ。

なあ、セキリュウ?」

 

ありえない、そんな話信じられない。

わたしはもはや家族と化している友人の顔を見た。

 

嘘、だよね?

 

「・・・本当だ。」

一切抑揚のない声でセキリュウは言った。

わたしはあのバケモノの話を信じざるを得なくなった。

「本当に・・・か?」

ルイージも疑心暗鬼で問う。

しかし、答えは変わらなかった。

 

「ああ、そうだ。」

さっきの戦いでルイージとの息がピッタリだったのも

これで合点がついてしまった。

 

「セキリュウにクリエイターはこの世界を守ることを頼み込んだ。

まあ、始めは断られたけどね。」

 

思い当たる節がわたしの記憶の中にあった。

 

「それでも、セキリュウは積極的にこの世界に訪れたんだ。

興味本位で。

そのとき、ぼくは偶然見たセキリュウをコピーし異世界にわたる能力を得た。」

 

何度もこの世界にセキリュウは足を運んでいた?

ああ、二年前、よくセキリュウが出かけていたのはこの世界だったんだ。

 

「でもセキリュウはこの世界に訪れるだけで

クリエイターの要求は飲み込まなかった、

君が誘拐されるまでは。

スピネルが誘拐されセキリュウとスピネルの両親は

クリエイターに泣き寝入りしたのさ。

なんでもしますから、

どうか、

娘を助け出すだけの力をください、てね。」

 

なんて・・・ことなの・・・。

 

「クリエイターは向こうの世界で活躍していたぼくに目を付けた。

ぼくをクリエイターが雇い、

ぼくはこの類まれな変身能力で情報収集して、

スピネルの居場所から

テロリストの目的から

何から何まで全部教えてやったのさ。

そして、ぼくのお陰でご両親は素人なのに

お国の特殊部隊と一緒に君の救出作戦に参加して、

見事、救い出したんだ。

さらに世界を避難所代わりに使うために君がやってきて、

セキリュウはこの世界を守ることを強制されたのさ。

ぼくはさらにスピネルの情報を犯罪組織のデータから消したり

残党を国に突き出した、

そういった後始末も手伝ったね。」

 

セキリュウやおとうさん、おかあさんが連絡できなかったのは、

わたしを救い出した後の後始末のせいだったんだ。

 

みんな、わたしのためにここまで・・・。

もう、声も出なかった。

 

彼もまるで木のように何も言わず立っていた。

 

わたしの赤い恩人はわたしに隠し事をしていたのが後ろめたいのか、

地面を見つめていた。

 

どうしてそこまでわたしのために。

 

「でも、ぼくはスピネルがこの世界に滞在するのを快く思ってないんだ。

あんな、腐ったような世界からの難民だ!

この世界にどういう影響を与えるかわからない!」

 

彼が抗議の声をあげた。

 

「スピネルを侮辱するな!!!」

 

恐ろしい怒鳴り声だった。

鬼のような形相。

目を吊り上げ、顔を真っ赤にして。

あんな風に彼は怒るんだ。

 

「なら、聞いてみれば?

二人に。

ぼくが正しいか。」

彼はわたしたちに言葉を促してきた。

 

・・・でも、戦争、差別、宗教、環境破壊、テロ・・・・・・。

 

奴が正しい。

 

彼はわたしたちが何も言わないことに目を見開いていた。

「なにか・・・いってくれ。」

絞り出すような声もむなしく響くだけだった。

彼の顔が一気に絶望の色へと変わった。

「これが答えさ。

ぼくはこの世界からスピネル達を追い出したいんだよ!

セキリュウには非常時だけ来てもらえばいい。

最低限だけ。

定住は認めない。

 

帰れ!

 

ここから、帰れ!」

 

全部わたしのせいだ。

わたしのせいだ。

もう、涙をぬぐう気にもなれなかった。

「・・・ルイージ・・・。」

わたしはもうどうしようもなく彼の名前をつぶやいた。

彼は首を振った。

「違う、スピネルはこの世界に悪いことはしない!」

「なら、証明しなよ。

証明できるんだったらね。

まあ、どうせ無理だろうけど。」

 

彼はバケモノに向かって走り出した。

でもわたしは動かなかった。

 

本来なら存在しない存在。

わたし。

この世界に必要とされていない。

それがわたし。

わたしはいないほうがいい。

この世界にとって幸せ。

 

 

≪サンダーハンド≫

 

雷を纏った彼の手がイスに座っている布お化けに向けられた。

だが、お化けは軽々と宙を舞い彼の攻撃をかわした。

 

セキリュウは動かない。

 

わたしはただ泣いているだけ。

 

「ぼくは向こうの世界で生き残るために

マジックパワーとフラワーパワー両方を会得した。

片方の力しか使えない君とは天と地ほどの差さ。」

 

余裕たっぷりに奴は喋りまくった。

 

「しかも、僕の力で変身させた遠隔操作可能な魔法人形、

つまりプロミネンスとの戦闘データで君の動きはわかっている。

クッパを足止めしてまで事件を起こした甲斐があったよ。」

 

あの事件の黒幕!

プロミネンスは奴が操った人形。

じゃあ、全部バケモノの策略!

 

 

≪コロナ≫

 

地獄の炎

≪ジェヘナン イグニス≫

 

無数の半径二メートルはある火柱が彼を覆う。

さらに中心に熱が集中、臨界点に到達し一気に解き放たれた。

火柱と大爆発に包まれ、

わたしの親友は荒波にもまれる木の葉のように舞い続け、

動かなくなった。

 

「君の友達が殺されたくなければ、

セキリュウと一緒にこの世界から立ち去るんだ。」

 

 

もう、だめだった。

 

 

「いやああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

わたしは頭を抱え絶叫した。

自らの髪を引っかき、顔を殴り、どうにか気を保とうとした。

 

 

 

ルイージの小説

To Be Continued