フゥルの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 27 前編 第六章 お姫様の宝石

正午を過ぎたころようやく服選びを終え、

食堂でいくらなのか想像もできない高級料理を堪能した後に、

ピーチ姫による城内ツアーとなった。

 

スピネルは折角だからと純白のプリンセスドレスに身を包んでいた。

その状態で城内を練り歩く。

いつの間にか従者のキノピオまで添い歩くようになり、

まるで他国のお姫さまがこの城に来たようだった。

 

ピーチ姫も楽しくなって来たらしく、

スピネルの待遇は右肩上がりに良くなっていった。

 

凄いな。

ピーチ姫が民間人であるスピネルに合わせるのではなく、

スピネルをお姫様にしてしまうことで

スピネルとピーチ姫の間にまたがっていた『一国の姫』という壁を

取り払ったのだ。

 

恐るべし、ピーチ姫。

 

 

僕は背後で文字通り影のように付き添うことに務めた・・・が、

二人に相応の服に着せかえられ、

何故かスピネルと手をつないでデートさながら歩いているというのが現実だ。

 

・・・まあ、服装はご想像に任せよう。

 

「・・・夢みたい。」

 

スピネルの感想はこの一言に尽きた。

 

「どういたしまして。

こんな雑なおもてなしでごめんなさいね。」

とんでもないといった顔でスピネルは首を横に振った。

 

お城を一通りまわり終えた僕たちは、再び大広間に集まっていた。

夕方になっても人は絶えず、笑い声が響いている。

「ありがとう、ピーチ姫。」

僕はまっすぐピーチ姫の瞳見詰めながら言った。

「どういたしまして。」

ピーチ姫は今にも天使が舞い降りてきそうな笑顔で僕に笑いかけた。

「もし、あなた達が良ければ・・・夕食も食べていく?」

「本当!」

黒髪のお姫さまがパァ・・・と笑顔をたたえる。

 

 

そう、正にその瞬間だった。

 

 

大勢の足音が聞こえて僕たちは最初にくぐった扉の方へ振り向く。

 

 

ある意味天才かもしれない。

このタイミングで黒い甲羅のノコノコたちが城へ侵入してきた。

 

 

ノコノコたちは逃げ惑う人々には目もくれず僕たち三人を取り囲んだ。

その数、約三十。

相手にするにはいささか多い。

 

ルイージ!」

 

夕日をバックに一匹のノコノコが扉から姿を現す。

頭の上にちょこんと王冠っぽいものをかぶっていた。

「誰だ!」

やはり黒い甲羅を背負っているノコノコは

明らかに僕に対して敵意を放っていた。

「私の名前はカーネル!ノコカーネルだ!」

威厳たっぷりのカーネルはズカズカとノコノコたちの輪を引き裂いて前に出た。

「クッパの手下ね。」

 

ピーチ姫は≪PAWブロック≫

―カメをひっくり返して足止めをする道具―

を取り出し、逃げる準備をしている。

 

一方スピネルは

「・・・凍らせちゃっていい?」

と、僕に聞いてきた。

「話が終わるまで待ってあげて。」

とりあえず彼女を制止させる。

 

 

 

ルイージの小説

To Be Continued