フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 9 プロトタイプ

その日の朝、全てが変わった。

爆音で目が覚めた。

スピネルと僕は

最小限の身支度をし、

外に出る。

嫌な予感しかしない。

「・・・ルイージ。」

不安そうに僕の名前を

スピネルが呼ぶ。

「僕が守るから。」

土管からキノコタウンへ。

混乱の極みに達している

キノピオたちを押しのけていく。

その間、人の声とは異なる

けたたましい轟音が

僕の耳を突いていた。

さっきの音とは違い、続けている。

なんだ、この音。

そして、キノコ城へ。

城門を潜り抜けると

そこには・・・。

 

僕は唖然とした。

スピネルは僕の隣で

ガタガタ震えていた。

轟音の正体が分かった。

空に浮かぶ無数の鉄の鳥。

プロペラのついた空飛ぶ箱。

それらが空中で静止する

アブのごとく

キノコ城上空にたむろしていた。

何なんだ?これは。

 

動揺している僕をよそに、

どこからか大声が

聞こえてきた。

拡声器によるものだろう。

「キノコ王国のみにゃさ~ん、

この国は我々が選挙しますにゃん。

抵抗せず、素直に降伏を認めにゃさ~い。」

どんな声が

聞こえてくるのかと思えば、

猫のように甲高い

遊びを楽しんでいるかのような

少女の声だった。

脅迫文をさも楽しげに語る

その声は、

可愛らしさよりも

不気味さの方が強く

にじみ出ていた。

脅迫は続く。

「もし降伏しないのであれば・・・。」

無数のうるさいアブのうち

ひとつから、

何かが発射された。

すさまじい速さでそれは

飛んでいき、

キノコ城の前の庭園に着弾し

爆音とともにクレーターを

作った。

半径数メートルも

あるクレーターを。

今、まさに、僕たちのいる

庭園の一部が消え去ったのだ。

スピネルは

今にも泣き出しそうな顔で

僕を見る。

「にゃはははははは!」

けたたましい笑い声に

「ご自慢の城や街が

吹っ飛ばされたくなければ、

降伏しにゃさ~い。」

との言葉が添えられた。