フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 23 第五章 激闘の宝石

『さすがにボクも焦ったよ。

あんなに強い奴がくすぶっていたとはね。

ゆっくり休んで、ルイルイ君。』

 

 

 

目を開けるとある意味で見慣れた光景が目に入ってきた。

無理をしたときに送られる場所。

そう、病院だ。

僕も兄さんも幾度となくお世話になった。

 

自分の体を起こそうと腹筋に力を入れたが、

全身の激痛に押さえ込まれた。

苦悶の声が僕の口からこぼれる。

 

ルイージ、無理すると状態が悪化するにゃ。」

ルーニャが上から覗き込む形で僕に話しかけてきた。

どうやらベッドの右側にイスがありそこに座っているらしい。

 

「ただいま。ルーニャ。」

 

ルーニャは二マリと笑った。

 

「お帰りにゃん。」

 

その一言は僕を大いに安心させた。

 

「スピネルは?」

「向こうでまだ眠っているにゃ。」

ルーニャは僕から見て左に顔を向けた。

僕もそれに習うとベッドに眠っているスピネルの姿が拝めた。

「ごめんね。

助けに行くのが遅くにゃって。」

僕はルーニャに対し首を横に振った。

「結果的に僕もスピネルも死ななかった。

何の問題もない。」

ルーニャは僕と同じように首を振った。

「何が問題ないにゃ!

二人ともあと一歩遅れていたら、あいつの餌食に・・・。」

僕はゴホンとわざとらしくせきをして話を仕切りなおす。

 

そして、僕はルーニャに質問した。

「何があったんだ?」

即決断即実行のルーニャにしては遅かった。

何か遅れる大きな予想外の要因があったに違いない。

「プロミネンス、一匹じゃにゃかった。

もう一匹いたのにゃ!

そいつの対処に時間がかかったにゃん。」

プロミネンスが二匹?

「僕たちが倒したのも入れて?」

ルーニャは驚きの表情で僕を見た。

「どういうことにゃ!?」

あの切羽詰った状況では、

地面に転がっていたプロミネンスの残骸に気づかないのも無理は無かった。

 

「僕たちはすでにプロミネンスを一匹倒していたんだ。

骸が地面に転がっていたけど気づかなかったかい?」

ルーニャはしまった、と顔を青ざめた。

「気づかなかったにゃ・・・。

って事は、

ルイージたちが倒した最深部にいた一匹目プロミネンス、

アタシ達が助けに行く途中襲ってきた二匹目プロミネンス、

アタシが最深部についたときにいた三匹目プロミネンス。

合計三匹もいたのにゃ!」

三匹。

 

だが一つひっかかる事があった。

 

「ルーニャ、

僕を助けに行く途中で倒したプロミネンスはどうやって倒したの?」

「最後の奴と同じように罠にはめたにゃ。」

これは・・・。

「僕たちが倒した奴はそんな罠に引っかかるような、頭の悪い奴じゃなかった。」

ルーニャは

「どういうことにゃ?」

と話を促してきた。

僕は奴の戦術について話した。

「明らかに他の二体と違う。

頭がよすぎる。

異常なくらい。」

 

ルーニャは暫く考えたあと、

「まだ、プロミネンスの別個体が火山内に残っている可能性があるにゃ。

その賢い奴についても詳しく調べる必要がありそうだし、

引き続き調査を行った方がいいかも知れにゃいにゃ。」

と言って、うんうんと自分の案に頷くと、

ルイージ

調査隊を結成して暫く様子を見るにゃ。」

と言い残して病室を去っていった。

 

 

 

「・・・ルイージ、起きてる?」

スピネルが起きたらしく声をかけてきた。

そういえば僕もスピネルも枯れた声が治っていた。

「ああ。起きているよ。」

スピネルの方に顔を向ける。

「どうしたの?」

スピネルはベッドから頭をひょこっと出していた。

「・・・お話しましょ。」

あまりにも平和なお誘いだった。

「ふふっ、いいよ。」

 

僕たちは他愛もない雑談を繰り広げた。

 

そのうち、他の患者さんも会話に入ってきて何がなんだかわからなくなった。

 

でも楽しい。

とても楽しい。

 

結局夜になるまで静かにならなかった。

 

 

 

僕はコーヒーを飲みながら新聞『キノコタイムズ』を読んでいる。

勿論、起き上がれないので新聞を天井に掲げなければならなかった。

 

それなりに夜も更けて、スピネルはさっき眠ってしまった。

たった今、新聞の日付が一日進んでいることに気づいた。

つまり僕がプロミネンスを倒したのは昨日で、

そこから丸々1日寝ていたことになる。

 

・・・一面はプロミネンスネタで持ちきりか。

 

読みふけっていると新聞に影が被さり、

何者かが小声で声をかけてきた。

ルイージさん、お手紙です。」

 

パレッタがわざわざ手紙を持ってきたのだ。

 

僕は有難く手紙を受け取った。

「こんなところまでありがとう。

最近、きみに助けられてばかりだね。」

「わたしよりもルーニャさんを褒めてください。

ルーニャさん、

眠りもせず付きっきりであなたの看病をしていましたから。

ちなみにドッスンボルケーノにはもうプロミネンスはいないそうです。

異変も収まりましたし、一件落着です。」

 

新聞にはそこまでは書いてなかった。

ルーニャからの速報だろう。

 

「よかった。

・・・ああ、そうだルーニャに手紙を書いておいたよ。

これ、明日でいいからルーニャに渡してくれないかな。

悪いけど、お金は体が治ってからでいいかな?」

パレッタは手紙を受け取り、

「いえいえ、お金は取りませんよ。

こんなの仕事のうちに入りませんから。

では、さようなら。」

パレッタは静かに去っていった。

 

さて、手紙の中身を見るとするか。

新聞を横に置いて手紙の外装をまじまじと見る。

 

ルイージ以外開けることを禁ず。 セキリュウ』

 

これが例の手紙か。

僕は封を切り中身を見る。

 

 

・・・。

 

 

白紙だ。

 

「こんばんは、ルイージ。」

 

いきなりセキリュウの声が脳内に響いた。

聞こえたのではない。

直接頭の中に響いた。

 

「合言葉は――だ。」

 

声は一方的にしゃべって沈黙した。

何の合言葉だ?

僕はとりあえず合言葉を頭の中に叩き込んで、また新聞を読み始めた。

 

 

暫くして消灯時間になった。

僕は素直に眠ることにする。

今夜はぐっすり眠れそうだ。

 

 

 

目を閉じたとたん、恐ろしい勢いで意識がどこかへ飛んでいった。

 

 

 

 

ルイージの小説

To Be Continued