ルイージの小説 19 第四章 対話の宝石
「またせたね。」
僕はキノピロの部屋へ帰ってきた。
「おかえりなさい!スピネルは?」
「もう少し時間がかかりそうだ。」
僕はそういってキノピロの前に座った。
「もう時間が無いけど何をしようか。」
時計は十二時に指しかかろうとしていた。
「う~ん、そうだ、ルイージにいろいろ聞きたいことがあったんだ。
使える技とか、戦術とか。」
なるほど。
人形遊びに活かすのか。
「わかった。
答えられるだけ答えてあげるよ。」
僕の基本的な戦術や技の説明をした。
それだけでなく兄さんやピーチ姫、
はたまたクッパの特徴までも教えてあげた。
さりげなくキノピロはメモを取っていた。
割としっかり者だな。
僕はそう思いながらキノピロと話していた。
「・・・ルイージ、お待たせ。」
スピネルが帰ってきた。
満面の笑顔で。
「・・・貸してくれて、本当にありがとう。」
彼女はキノピロにペンダントを返した。
「どういたしまして。
すごく嬉しそうだね。
何かあったの?」
スピネルはフフッっと笑うと
「・・・ヒミツ。」
と柄に合わない言葉を放った。
「おしえてよ~。
僕が貸したのに。」
キノピロがわざとらしくすねた。
「・・・わかった。
教えてあげる。
・・・実は久しぶりに家族と話したの。
ペンダントを見ていたら家の外から声をかけてきた。
うれしくて、話し込んじゃった。」
キノピロはあっさり納得した。
「よかったね。
ずっと会えなかったんならスピネルのこと、
心配してたんじゃない?」
「・・・うん。
大丈夫だよ、ってちゃんと伝えた。」
勿論、『家の外』とはこの家の窓から
見えるような近い場所ではない。
そしてずっと会えなかった理由は誘拐されていたからだ。
言葉の表面上の意味と本当の意味が恐ろしくかけ離れているが、
会話はなぜか成り立っていた。
「・・・家族は大切にしなさい。
・・・友達も大切にしなさい。
私みたいに会いたくても会えなくなっちゃうかもしれないから・・・。」
キノピロは元気よく首を縦に振り、
「うん!」
と大きな声で答えた。
スピネルの人生訓はどれもこれも意味が重い。
しばらく何の変哲も無い会話を続けていると、
キノピラさんが帰ってきた。
「・・・じゃあ、またね。キノピロ。」
「体には気をつけるんだよ。」
「わかった。またね~。」
キノピラさんに報告して僕たちは家を後にした。
振り返ると二人ともまだ手を振っていたので、
僕たちも手を振り返す。
名残惜しいがまだ仕事中だ。
僕たちを必要としている人が少なからずいるはずだ。
スピネルを含めて。
そのために僕は今ここにいる。
「スピネル、セキリュウから僕に何か伝言とかあったかい?」
僕はスピネルに一番気になっていることを質問した。
「・・・来週の土曜日、セキリュウがキノコ王国を訪れるって言ってた。」
「本当!迎え入れる準備をしないと!
それからピーチ姫にも事情を説明しなくちゃいけない。
今週、休暇を取れるかルーニャに聞こう。」
スピネルは
「・・・うん。」
と頷いた。
「後、もうひとつ伝えたいことが・・・。」
「なんだい?」
僕は話を促す。
スピネルの表情から、
こちらの方が重要であることが読み取れた。
「・・・『ルイージ宛に手紙を送る。
今夜届くだろう。
スピネルを含めてほかの人には決して見せないように』」
僕宛に手紙?
「今日ルイージと話せなかったから、
手紙越しに重要事項を伝えるって。」
なるほど。
気になるな。
手紙の内容。
色々と話をしているうちに「猫の手」についた。
第4章 対話の宝石 終
ルイージの小説
To Be Continued