フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 14 前編 第三章 幸福の宝石

スピネルは上機嫌だった。

顔を見れば分かる。

瞳は艶やかな黒髪に隠れているが、

その口元がかすかに微笑みをたたえていた。

 

だからこそ、戦闘試験を受けると言ったのだろう。

 

スピネルは今的に向かって様々な魔法を放っている。

ここは訓練所・・・という名の空き地だ。

キノコタウンのはずれにある何も無い場所。

僕たちの戦闘試験、訓練はここで行っている。

 

だが、今起きていることは戦闘訓練とは名ばかりの

盛大なマジックショーだった。

 

マジック聞くと手品を思い浮かべる人も多いが、

今目の前で繰り広げられているものは手品でも奇術でもない本物の魔法だ。

 

 

何も無いところから氷の柱が生まれ、

 

炎が荒々しくその一部を溶かし、

 

稲妻がバチッバチッと音を立てながら細かく削ってゆく。

 

 

 

そして、中に空気を含まないガラスのように

透き通った氷像が作られていった。

 

「すごいのにゃ!すごいのにゃ!」

ルーニャも大はしゃぎだ。

ほかのみんなもこの幻想的な光景に目を奪われている。

動物を模した等身大の氷像は太陽の光によって複雑に輝いていた。

 

一方スピネルは黒いリスの姿で魔法を唱え続けていた。

 

その顔は真剣そのものだ。

みんなを楽しませるため、魔法のすばらしさを教えるために

健気に努力している。

その顔に僕は見とれざるを得なかった。

氷像ではなくスピネルの顔に。

 

僕の身長の倍はある大きな氷像を作り終えると、

スピネルは魔法の詠唱を止め、みんなに頭を何度も下げた。

そんなスピネルにみんなは惜しみの無い拍手を送る。

 

スピネルがこっちに来た。

黒いリスは照れくさそうに

「・・・どう?」

と聞いてきた。

みんなの視線が痛いほど

伝わってくる中で。

 

「スピネル、凄いね。

魔法じゃないスピネルが・・・だ。

単に魔法を使えるだけじゃ、ここまで精巧なものは作れない。

それくらい僕にも分かる。

沢山練習して失敗して、それでもがんばって磨き上げたんだね。」

 

 

スピネルはフッ・・・フッ・・・フッと笑うと、

ぺこりとお辞儀をした。

同時にすべての氷像が

一瞬のうちに蒸発した。

消え去った。

後には何も残っていない。

水滴さえも。

 

 

「みにゃさん、

スピネルのショーはここまでにゃ。

依頼が来ているから各自現場に向かって欲しいのにゃ。」

社長の声を聞いてみんな各々の仕事に戻った。

もちろんスピネルを褒めることも忘れずに。

 

こうしてこの空き地には

僕、スピネル、ルーニャと時間が空いている一部の同僚だけが残った。

 

「・・・本題に入る?」

スピネルが言った。

今のショーはスピネルが使える魔法とはどういったものか、

みんなにアピールするためのものだ。

戦闘試験そのものではない。

 

「そうだにゃ。

早速いくにゃ。

まず試験官はアタシにゃん。」

 

ルーニャは自分を人差し指で指す。

 

「戦闘相手はルイージにゃ。」

 

「・・・!」

 

スピネルは予想外の相手を指名され動揺していた。

 

スピネルにとってこの世界に来て初めて出来た友達が僕だった。

その僕を傷つけるのを躊躇するのは当然だ。

 

「今のショーを見て、

アタシたちが相手になるとは到底思えないのにゃ。

くやしいけど。

だから、ルイージあなたにお願いするにゃ。」

 

僕がスピネルと戦う?

黒いリスは無論、反論した。

だが、僕の説得によってしぶしぶ了承した。

「僕だって、全くの素人というわけじゃない。

多少の痛みは慣れているよ。」

 

 

ルイージの小説

To Be Continued