フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 12前編 第三章 幸福の宝石

第三章 幸福の宝石

 

 

『彼女、きみのことをどんどん好きになってきているよ。

ボク、嫉妬しちゃうなぁ。』

 

 

また、変な夢を見たような気がした。

気のせいだろうか。

 

昨夜のことについてお互いにもう触れなかった。

この世界にいる以上、もう関係の無い話だ。

 

 

 

無理に思い出してこの先に見える明るい道まで閉ざしてしまっては

あまりにも哀しい。

 

だから僕たちは

何事も無かったように朝を迎えた。

 

僕はスピネルへの疑念が解けたことで少し気分が軽くなっていた。

スピネルも悩みを打ち明けて少しは心が軽くなったのだろうか。

 

僕は今日の予定について話す。

「スピネル、今日は仕事があるんだ。」

「・・・連れてって。」

即答だった。

「少し考えさせて。」

そう言うと僕はコーヒーを一口飲んだ。

スピネルは普段、あまりお願い事をしない。

だからこそ、お願い事をしてくるときは固い決意を持っている。

断ろうとしても断れないのは目に見えていた。

「いいよ。」

半ば仕方なく半ば喜んで承諾した。

 

少女はニコリと微笑むと黒いロングドレスを揺らしながら、

おかわりのパンを取りに行った。

 

「・・・ワープ土管、すごい。」

初めて土管に入る人はみんな同じようなことを言う。

スピネルとて例外ではない。

 

「・・・高度な転送魔法ね。」

 

こんなことは普通の人は言わないが。

僕たちは家からキノコタウンまで一気にワープしたのだった。

周りの光景にスピネルは圧倒されている。

とりあえず、戸惑っているスピネルに歩くよう促した。

 

 

僕の仕事はいうなれば何でも屋だ。

依頼を受け取り解決する。

小さなことから、大きなことまで、

さまざまな依頼を。

僕が勤めているのはいわば派遣会社だった。

ちなみにキノコタウンにあるのは本部で、

ゴロツキタウンに支部があったりと結構大きな会社だ。

説明しているうちに目的地に着いた。

キノコタウンの隅にある四階建てのそれなりの大きさの建物だ。

そして、二階の窓には大きくこう書いてある。

 

『猫の手を借りたいときに電話してください。

大概の仕事は承ります

猫の手』

 

 

小さな部屋にカウンターがひとつあるシンプルなつくりだ。

カウンターの奥には扉と二階へ続く階段が見える。

僕はカウンターの端にあるベルを鳴らした。

すると、すぐに階段から誰かが降りてきた。

 

ルイージ、ようやく恋人が出来たのにゃ?」

 

スピネルが

「ひゃぁ!?」

と声を上げる。

僕は思わず自分の額に手を当て、苦笑した。

僕は彼女に声をかける。

「挨拶にしては洒落てるね。」

僕が投げかけた言葉を彼女は笑い飛ばした。

「にゃはははは。

ルイージが女の子を連れ歩くにゃんて、

天地がひっくり返っても起こらにゃいと思っていたからにゃん。」

皮肉で返された。

ふと横を見るとスピネルは僕の後ろに隠れて様子を見ていた。

 

頬を赤く染めて。

 

「ルーニャ、自己紹介を頼む。」

 

茶短髪、スピネルよりは背の高い体にだいだい色のワンピース、

そして普通の耳のほかに猫耳が頭に生えているという、

場違いな格好のこの会社の看板娘、兼社長に言った。

 

「アタシの名前はルーニャ。

よろしくにゃん。」

語尾の言葉が『にゃ』に勝手に変換される少女は、

文頭に『・・・』のつく少女に笑いかけた。

「スピネルも自己紹介を出来るかい?」

僕はスピネルにやさしく問いかける。

スピネルはいつもの様にコクンと頷くと口を開いた。

「・・・わたしの名前はスピネル。

よろしく・・・お願いします・・・。」

スピネルは丁寧に礼をし、ルーニャに向かって微笑んだ。

「こちらこそにゃ。

そんなに固くならないで、もっとフランクにしてにゃん。」

という割には、ルーニャも深々と礼をした。

 

 

そして僕のほうを見ると早速仕事の話に移った。

「緊急の依頼があるのにゃ。

依頼主はパックンフラワーのパチャンさん。

キノープルの森で恋に当たって砕けたボスパックンが、

自暴自棄になって大暴れしているらしいにゃん。

とりあえず、気絶させて頭を冷やさせて欲しいとのことにゃ。

説得はあっちでにゃんとかしてくれるそうにゃ。」

僕は頷くと

「わかった。

引き受ける。

スピネルは待っていて。」

 

 

 

僕は単身森へと向かった。

 

 

ルイージの小説

To Be Continued