フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 11後編 第二章 孤高の宝石

 

 

 

決して短くない時間過ぎ去った。

 

 

先に沈黙を破ったのはスピネルだった。

ルイージ、話があるの。」

スピネルの顔はさっきまでとは違い、

真剣で、固い決意をしているように見えた。

そんなスピネルを見ているうちに、

僕もようやく冷静さを取り戻してきた。

 

どんな言葉がスピネルの口から語られるのだろうか。

 

 

僕はゆっくり頷いて合図する。

彼女は深呼吸したあと

 

震える声で言った。

 

 

「・・・わたしについて。」

 

この一言で今夜のスピネルの異常な行動の理由が分かった。

 

僕は静かに頷いてから

「嫌だったら話さなくても

いいんだよ。」

と言葉を添えた。

スピネルは首を横に振った。

「・・・ルイージが私のことを疑っているのは・・・知ってる。」

僕は何も言えなかった。

二日前、

僕の事を始めて見たスピネルは心の底から怯え、

涙を流しながら逃がれようとした。

その少女が今や、僕と普通に会話し、

今日に至っては僕の手に抱きつくということまでやってのけた。

 

スピネルの行動は明らかに矛盾している。

僕がこの三日間、感じ続けていたことの一つだった。

彼女は敏感に僕の疑念を見抜いていた。

僕はその感性の鋭さに一種の恐怖を覚えた。

少女は何も答えない僕を見て、少し寂しそうな顔をした。

「・・・わたしが話さないと・・・

ずっとこのまま疑い続けられる・・・。

そんなの・・・イヤ。」

スピネルは僕の腕をさらに強く締め付けた。

 

そして、意を決して静かに話し始めた。

 

スピネルが話してくれたのは矛盾した行動の理由だった。

それを語っているときのスピネルの顔は、

苦痛で歪み、涙を流していた。

何度僕に止められてもスピネルは話し続けた。

 

内容はこうだった。

 

 

 

向こうの世界には竜、幻獣、人間の大きく分けて三つの種族が存在している。

遠い昔、人間は竜、幻獣相手に敗戦を繰り返し、

「『人間』は竜に力で及ばず

幻獣に魔力で及ばない」

というレッテルが貼られていた。

しかし後に人間が機械を発明し、

竜と幻獣に対等に分たり合えるようになった。

 

 

 

それによって人間、竜、幻獣の力は均衡し、

近年ようやく各国を渡り歩けるようになった。

 

そんな世界で

スピネルは人間の国土で家族と平和に暮らしていた。

 

 

だが、彼女は家で留守番をしている間に誘拐された。

 

 

彼らの拉致監禁の目的は、

人間たちにとって貴重な幻獣と竜のハーフであるスピネルの研究だった。

何のために研究するのかそこまでは定かではない。

彼女は監禁され研究材料にされた。

 

 

そして、ある日突然、

僕の家で目覚めたのだった。

 

僕を最初見たときはその誘拐犯と見間違えた。

だから恐れおののいた。

しかし、その勘違いも僕の優しさによって間違いだと気づいた。

 

そして、

元々「人間」そのものに強迫観念や恐怖は無かったため、

僕とはすぐに打ち解けられたのだという。

 

 

 

僕は話し終えたスピネルの頭を優しく撫でた。

何も言わずにただただ撫でた。

僕に出来ることはスピネルを少しでも安心させることだ。

口下手な僕が何を言ってもスピネルの慰めになるとは到底思えない。

だから、

精一杯の思いをこめて、

ひたすら、撫でた。

 

「もう、この話は

終わりにしよう。」

 

僕は最後に呟くように言った。

スピネルは静かに頷くと、

まるで幽霊のようにフラフラとゆれながらベッドへ戻っていった。

僕は思わず席を立ちスピネルについていった。

一緒に寝る度胸はないが、

せめて一晩、見守ってあげよう。

 

 

 

 

 

やあ、じかに会うのは数日ぶりだね*****。

例のものは?

 

・・・。

 

ウシャシャシャシャ。

おお、そうそうこれこれ、これが欲しかったんだ。

これだけ顔も服も装飾も無い人形が山積みになっていると、

すこし不気味だね。

 

・・・。

 

僕がすっぽかすわけ無いだろ。

ウシャシャ。

はい、お金。

お使いご苦労さん。

 

・・・。

 

何に使うかって?

もう少しすれば分かるよ。

すぐに使うものだから。

 

・・・。

 

ウシャ、じゃあもう少しでそっちの後始末は完了か。

 

・・・。

 

わかってるよ。

そっちは言ってもどうせ無理するんだろう。

死なない程度にがんばれよ。

ウシャシャシャシャシャ。

 

 

 

 

2章 孤高の宝石 終

 

 

 

 

 

ルイージの小説

To Be Continued