フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 11前編 第二章 孤高の宝石 

いつもの様にテーブルを挟み、

向かい合う僕とスピネル。

「スピネル、魔法というのはどういうものなの?」

僕はコーヒーを口に運びながら、スピネルに尋ねる。

「・・・わたしもよく知らない。」

 

僕は一瞬ふき出しそうになった。

 

スピネルはそんな僕の様子を見てクスッと笑い話を続けた。

「・・・魔力を消費して超常現象を引き起こすもの。

・・・周りの状況や自分の精神状態に影響されやすい。

魔力が枯渇すると放てなくなる。

・・・わたしが知っていることはそれだけ。

・・・まだ学校でもほとんど習ってない。」

 

学校?

まあ、いいか。

 

僕は再びコーヒーを口に注いだ。

「なるほど。

見たところかなり便利に見えるけど。」

スピネルは首を横に振った。

「・・・でも、魔法を使ってばかりいると人は怠けちゃう。

だから・・・わたしは、なるべく使わないようにしてる。」

 

使いすぎると怠ける、か。

今までにどこかで聞いたような気がする。

どこの世界でも便利なものは人を怠けさせるのだろうか?

 

「・・・ところでルイージFPについて教えて。」

聞かれると思っていた。

FPはフラワーパワーの略なんだ。

FPを使えば魔法みたいなことも普通に出来る。

たとえば、自分の背の何倍もの高さまでジャンプしたりすることもできるんだ。

しかもいろいろなエネルギーに変換できて・・・

色んなところに満ちていて・・・」

 

女の子に質問されて調子に乗った僕は、

かなり長い時間FPについて話し続けた。

 

「ごめん、スピネル。」

正気に戻って謝った。

だが、スピネルの答えは例によって僕の予想と反していた。

 

「・・・もっと話して。」

「へ?」

「・・・もっと話してくれる?」

「うん。」

 

FPと魔法について

やたらファンタジックなトークを繰り広げた後、

夕食やら風呂やら掃除やら何やらを済ませ、

就寝となった。

 

僕の後ろにあるベッドにはスピネルが横たわっている。

僕はテーブルで日記を書いていた。

 

唯一の光源は、日記の隣にある不規則に周りを照らし出すカンテラだけだ。

 

ルイージ、まだ寝ないの?」

後ろから小さな甘い声が聞こえた。

「もう少ししたら寝るよ。

日記を書き終わったらね。

スピネルこそ、早く寝ないとダメだぞ。

体に毒だからね。」

 

僕は後ろを見ずに答える。

日記は僕の日課だ。

毎日欠かさず書いている。

日記を書くことで自分と向かい合うことが出来る。

要するに自分のいいところも悪いところも浮き彫りになるのだ。

あと、あとで読み返すと割と楽しい。

 

・・・恥ずかしいものの方が圧倒的に多いけど。

 

「・・・日記、・・・わたしも・・・書く。」

ベッドから起きたスピネルが僕の右隣に座ってきた。

そして目線を僕の書きかけの日記へ・・・。

 

僕は慌てて自分の日記を手で覆い隠す。

「!?見ないでくれ。」

スピネルはイタズラっぽく微笑み、

「・・・何かわたしに秘密でもあるの?」

と聞いてきた。

僕は慌てて言葉を返す

「秘密なんて何も無い。

ただ、はっ恥ずかしいだけだよ!」

 

スピネルはクスッと笑うと

「・・・わたしの分の日記帳・・・ある?」

と囁いた。

その言葉を受けて、

僕は息を整えながら、大量にある予備の日記帳のうち一冊を

本棚から引っ張り出した。

そしてスピネルにそれを手渡した。

 

「はい。

三日坊主にならないように気を付けてね。」

スピネルは大切そうに日記帳を受け取った。

 

「・・・ありがとう・・・。」

ありきたりな言葉だがお礼としては十分だった。

 

早速日記帳を開き日記を書き始めたスピネル。

だが、最初の1行目から変だった。

 

『今日はルイージの手を握ってみた。

驚く様子がかわいい。』

 

・・・。

 

「スピネル、僕は前に約束した・・・」

言葉を言い切る前に

いきなりスピネルが僕の腕に抱きついてきた。

 

「・・・あたたかい

あたたかい

あたたかい・・・。」

 

僕は石になったように固まってしまった。

もはや息をするのも苦しい。

胸がはち切れそうだ。

かろうじて顔を動かす。

カンテラの淡い光に照らされたスピネルの顔は

恍惚としていた。

 

この状況に彼女は酔っているのだ。

 

そんなスピネルに対して僕は必死に声を出した。

「自分から・・・約束を

・・・破ること・・・無いだろう?」

スピネルは微笑を浮かべて僕を見た。

 

「・・・わたしは約束なんてしてないよ・・・?」

 

そう言って僕の腕をギュッと締め付けた。

女の子に全く免疫の無い僕にとっては、

 

この時間が幸福なのか、

 

それともただの拷問なのか

 

 

わからなかった。

 

 

 

ルイージの小説

To Be Continued