フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 10 第二章 孤高の宝石

並木道を歩く。

俗に言われる散歩というものだ。

森の綺麗な空気を吸いながら、

日の光を浴びながら、

歩く、歩く、歩く。

これが土曜日、日曜日の昼の僕の日課だ。

 

「・・・ルイージ、山奥に住んでいるんだ・・・。」

 

ただし、

女の子と一緒に散歩するのは日課じゃない。

 

断じて。

 

「・・・何で山の中に住んでいるの?」

隣でテクテク歩いている少女が声をかけてきた。

長い黒髪がかすかに揺れていた。

「居場所がばれるといろいろと不便なんだ。

 

仕事の依頼とか、

観光とか、

姫さらいました、だとか、

ファンクラブです、とか。」

 

「・・・ファンクラブ?観光?姫?」

「色々と事情があってね。」

スピネルは首をかしげた。

頭上にハテナマークが浮かんでいる。

「・・・じゃあ、その格好も?」

「うん。」

外出のたびにわざわざこんな眼鏡を付けたり、

こげ茶色のジャケットを着たりするのはそのためだ。

トレードマークである緑のオーバーオールと帽子は休日は着ない。

持ち歩いてはいるけど。

 

「・・・がんばって・・・。」

「ありがとう。」

 

本来なら僕がスピネルを慰めなきゃいけないのに、

逆に僕がスピネルに慰められる始末。

 

スピネルは何かと手強かった。

 

 

 

しばらく歩くと、クッパ並みに巨大な亀が道をふさいでいた。

 

「ゼニノコーか。」

 

赤い甲羅、猫背、漫画に出てきそうな丸眼鏡。

「世の中、銭・ぜに・ゼニ。

ここを通りたければ、5000コインお支払ぃ。

それとも正々堂々バトルしまっか?

勝ったら無料、負けたら有り金全部頂戴しまっせ。」

 

いきなり亀が金を要求してきた。

 

「・・・ルイージ、この人、誰?」

いつも声が小さいスピネルがさらに小さい声で話しかけてきた。

「ああ、悪質な通せん坊さ。

スピネル、離れていて。」

僕はスピネルが安全な場所に移動したのを確認した後、

僕はゼニノコーに叫んだ。

「じゃあ、バトルと行こうか。」

 

周りは並木道。

 

「本当に後悔しへんな?」

 

炎系の技は使えない。

 

「ああ。」

 

でも、何の問題もない。

 

「どこの誰だか知らへんけど、

ちとモンであげますわ。」

 

独特な、なまりの強い言葉とともにゼニノコーが襲ってきた。

 

≪連続ヒップドロップ≫

 

亀は巨体を脚力で無理やり宙に浮かした。

そして、空中で手足をコウラに引っ込め、

そのまま僕の頭上に降ってきた。

僕はかろうじてかわす。

コウラでクレーターが

出来あがった。

ゼニノコーは流れるようにコウラから手足を出し、

立ち上がり、

すかさず二回目のジャンプを決める。

 

見切った。

 

僕は右手に闘気を集中させる。

周囲に巨大コウラの影で黒い楕円が出来上がっていた。

「ちょろい、

ちょろい、

ちょろーい!」

 

 

ゼニノコーが勝利宣言を言い放つ。

 

 

スピネルが悲鳴をあげる。

 

 

僕は姿勢を低くし右拳を腰まで引く。

 

コウラと僕の距離が零になる。

その瞬間、

右拳を全力で振り上げジャンプ!

 

≪スーパージャンプパンチ≫

 

強烈な衝撃がゼニノコーの腹部に走った。

 

「痛ぁぁぁー!」

 

ゼニノコーは僕の拳を受けて体制を崩し背中(コウラ)から落下、

そして地響きとともに不時着。

対する僕はしりもちをつく。

ちょっと浅かったか。

 

「あまいでんなぁ~。」

 

ゼニノコーは背筋を使い、一瞬で体勢を立て直した。

「たいしたもんや。

わいに傷を付けるとは。

でも、今度は・・・」

 

 

突然、目の前が真っ白になり、

すさまじい炸裂音がゼニノコーの言葉を遮った。

思わず手で目を庇う。

 

 

「なっ・・・

なんなんや・・・。」

 

 

何か大きなものが倒れる音がした。

手をどけて目を開くと

ゼニノコーが倒れていた。

どうやら気絶しているらしい。

 

しばらくして木陰から

額に紅く光る宝石を持ち、

耳の長い、

黒いリスのような生き物が姿を現した。

 

その黒いビー玉のような瞳は

僕を確実に捕らえていた。

 

スピネル曰く、戦うときの姿だ。

 

僕はひどくありきたりな

質問をした。

「スピネル、君がやったのか?」

黒いリスはコクンと頷き、

「・・・雷を呼ぶ魔法。」

と、一言。

 

僕はスピネルに驚かされっぱなしだ。

 

「魔法を使えるの?」

僕がそう聞くと、スピネルは肩を上下させながら

「・・・フッ・・・フッ・・・フッ・・・。」

と、声を漏らした。

 

笑っているのか?

 

一瞬光ったかと思うと、

黒いリスは黒髪の少女に戻った。

得意げな顔をしている。

 

少女は僕にこういった。

 

「・・・わたしもあなたを・・・守る・・・から。」

僕は素直に

「ありがとう。」

の言葉とともに、

スピネルに微笑みかけた。

 

 

その後、木の実拾いやキノコ狩りを楽しんだ。

ほんの数日前まで、こんなことをするとは夢にも思わなかった。

 

スピネルと一緒に遊んでいる時、僕はすごく幸せだった。

 

そして、時々見せるスピネルの笑顔は、

荒廃しきった僕の心に雨のごとく染み渡った。

 

ああ、妹がいたらこんな感じなのだろうか。

 

そんな余計なことを考えながら

僕はスピネルと一緒に家に帰った。

 

 

 

余談だがスピネルはカーバンクルの方が強く遺伝したので、

ドラゴンの姿にはなれないらしい。

 

 

  

ルイージの小説

To Be Continued