フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 9 第二章 孤高の宝石

第2章 孤高の宝石 

 

ふふふ、

カワイイ子だねぇ。

ルイルイ君も

そう思わないかい?

 

わけの分からない夢が

朝日によって

消し去られた。

もう夢の内容は

覚えていない。

朝。

また新しい

一日が始まる。

緊張してあまり

眠れなかった。

眠りが浅いと夢を

沢山見るらしい。

 

 

 

僕は目覚めた。

鳥のさえずりを

聞きながら

体を起こし立ち上がる。

そして、

いつもなら自分が

寝ているベッドに

足を運ぶ。

 

ベッドの上に

散乱している

しなやかな黒い髪。

華奢な首。

小さな口。

整った鼻。

そして、

髪に隠れた瞳。

 

そこで我に返る。

目をそらす。

後ずさりする。

一瞬恐ろしいものを

感じたからだ。

それが

何かは分からない。

でも、

他ならぬ自分自身から

自分のものではないような

おぞましいものを感じた。

 

 

「おはよう。」

たった今目覚めた少女に

声をかける。

少女がこちらを見た。

「・・・ルイージ

おはよう。」

この挨拶が

日課になるのだろうか。

僕はそんなことを

思いつつ、

スピネルを

朝食が用意された

テーブルへと

導いた。

 

スピネルは

朝食のトーストを

しげしげと

見つめていた。

スピネルは

何もかも初めてなのだ。

「・・・これ、もしかしてパン?」

いきなり推論を打ち砕かれ

面食らう。

「うん。そうだよ。

でも名前と

見た目が同じでも

味が同じとは・・・。」

言いかけたところで

もうすでにスピネルは

トーストを頬張っていた。

ぱくぱく

口にトーストを

運んでいく。

「おいしい?」

僕の問いかけに対し

スピネルは

「・・・おかわり。」

 

 

 

異世界から来た割には

かなり

僕の価値観と

スピネルの価値観は

似通っていた。

極端な差は無かった。

僕は女の子の朝の

おめかしなんて

実際には見たことは無い。

でも、

スピネルのしていることが

異質だとも思わなかった。

至って普通だ。

テレビや本、雑誌、ラジオ

そして何よりピーチ姫から

見聞きした情報と

大差はなかった。

 

 

彼女は意図的にこの世界に

送り込まれてきた、

僕はそう思い始めた。

 

 

一通り朝すべき家事が

終わった後、

スピネルに

この世界に住むための

最低限の知識とマナーを

教えた。

ただし、

僕とマリオの

繋がりを除いて。

時計の針が二本とも

12を示した頃、

ようやく話し終えた。

最初から最後まで

興味津々に

話を聞いてくれた上に、

的確な質問まで

してくれたスピネルに

感謝した。

スピネルの向上心には

すばらしいものがある。

僕も見習わなければ。

 

 

 

家の前には

木々が広がっている。

とある山の中腹にある

僕の家の場所を

知る人はほとんどいない。

「・・・きれい。」

初めて外へ踏み出した

スピネルの第一声。

僕はそれを

聞きながら考えていた。

あまりにも

あっさりスピネルが

外へ出た。

さっき、

ずっと家にいても

あまりいいことは

無いので、

散歩する事を

提案したのだ。

勿論、

反対されるのだろうと

思っていた。

昨日、

インターホンの音にさえ

恐怖していたのだから。

「大丈夫?」

僕はスピネルにそう

問わずに入られなかった。

「・・・うん、大丈夫。

・・・ありがとう・・

心配・・してくれて。」

それだけ僕のことを

信用しているのだろうか。

「怖くないの?」

「・・・ルイージ

私を守ってくれるから。」

 

胸を

締め付けられたような

気がした。

なんでだろう。

どうしてだろう。

どうしてここまで

スピネルは僕を

信用するんだ?

「なんで僕を

そんなに信用するの?」

スピネルの答えは

重々しいもの

だった。

「・・・ルイージ

私の生きる希望だから。」

 

 

 

自分の言った

言葉の重みを

改めて知った。

おおきな十字架を背負った

ような気分だった。