フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 6 第一章 汚された宝石

「服は、どれがいい?」

僕はファッション雑誌を

指差しながら言った。

「・・・・・・。」

スピネルは黙々と

ページをめくる。

「これと・・・これ。」

小さな、

かわいらしい声で

言った。

どうやら

望んでいたものが

見つかったらしい。

白いロングドレスと、

黒いロングドレス。

装飾品が一切無い。

至ってシンプルな

ドレスだ。

「これがいいのかい?」

「・・・うん。」

・・・高そうだな。

値段は・・・

12800コイン・・・。

これが二着で

しめて25600コイン・・・。

比較:カンペキウェア1着

20000コイン

厳しい。

しかし、彼女の境遇を

見てしまった今、

断るわけにもいかない。

まあ、貯金を使えば

何とかなるか・・・。

次にやるべきことは・・・。

 

 

僕は自分の机の

引き出しから

無地の手紙を取り出した。

『ピーチ姫へ。』

僕が手紙を書いている

様子を

スピネルがじっと

見ていた。

黙々と手紙を書く。

 

困ったときはいつも

ピーチ姫頼み。

人として最低だな。

 

手紙を

書き終わった。

ポストに投函した。

スピネルが不安そうに

聞いてきた。

「手紙・・・、届くの?」

「ああ、届くさ。」

手紙の届かない場所。

兄さん・・・。

「これで後は待つだけだ。」

「うん・・・。」

あらかた、

すべきことは

終わった。

 

 

さて、どうしたものか・・・。

テーブルをはさんで

僕とスピネルは

座っていた。

何から話せばいいのやら。

言葉を選び間違えれば、

彼女を傷つけかねない。

「マリオって人、

知ってる?」

「知らない。」

兄さんを知らない、

ということは、

どこか遠い国から来たか、

別の星から来たか、

別の世界から来たか、だ。

でも、

彼女の過去に

かかわる質問は

できない。

彼女を傷つけてしまうから。

肝心なことは

彼女が自らの意思で

話してもらわないと

ダメだ。

結局、僕からできる質問は、

ごくごく普通のものに

限られる。

「好きな食べ物は、何?」

「・・・ルビー。」

「宝石の?」

「原石・・・。」

あれ、もしかして?

「君、人間じゃないの?」

「人間・・・嫌い・・・。

嫌い嫌い嫌い!!」

『人間』もダメか。

「ごめん。」

僕は素直に謝った。

それに対してスピネルは

予想外の言葉を発した。

「でも、

ルイージは・・・好き・・・。」

「!」

深呼吸をする。

鼻から息を吸って

口から吐く。

落ち着け、僕。

 

「えっと・・・スピネルは、

その・・・何族なの。」

「ドラゴンと・・・

カーバンクルのハーフ。」

・・・え?

ドラゴン?カーバンクル

じゃあ、

「その姿は、

仮のものなの?」

スピネルは、

首を横に振った。

「・・・んーん。

普段はこの姿、

戦うときは・・・。」

一瞬光ったと思ったら、

目の前に少女の姿は無く、

変わりに、

黒いリスのような生き物が

浮いていた。

少女のときよりも

小柄で、

尻尾を含めなければ

頭から足まで

1メートルも無い。

黒く、艶があり、

ふさふさした毛。

クリッとした目。

長い耳、尻尾。

・・・一言で言うと

愛くるしい。

「これが・・・戦うときの姿。」

結局、どちらの姿にしても

かわいらしいことに

変わりは無かった。

 

 

スピネルは

元の姿に戻った。

少女が目の前に

座っている。

戦う・・・か。

ルイージの・・・

好きな食べ物は何?」

スピネルの方から

質問してきた。

僕は普通に答えた。

「キノコパフェ。」

「キノコと・・・

ぱふぇ・・・!!!」

声は相変わらず

小さかったが、

ものすごく驚いている。

・・・何か驚くような事、

言ったっけ?

「お・・・おいしいの?

・・・それ。」

「甘くておいしいけど・・・。」

スピネルは

黙り込んでしまった。

「作ってあげようか?

キノコパフェ。」

「・・・・・・!!」

「遠慮しなくても

大丈夫だよ。」

「・・・・・・!!!」

明らかにスピネルは

動揺していた。

そこまで遠慮しなくても

いいのに。

「きのことぱふぇ

きのことぱふぇ

きのことぱふぇ・・・。」

信じられない、

といった顔だ。

何が信じられないのか

僕には分からないが。

まあ、フルーツパフェも

好きだけど。

 

「できたよ。」

「!!!!」

色とりどりの

キノコとフルーツを

ふんだんに使った

キノコパフェ。

ウェハウスなんかも

トッピングしてある。

「・・・おいしそう。」

スピネルは

目をまん丸にして

言った。

なにか、

全く別なものを

予想していたらしい。

スピネルは

最初に重湯に

手を付けたときとは

別の意味で、

恐る恐る

スプーンを手に取った。

そして一口分

パフェをすくうと、

口に入れた。

「おっ・・・おいしい!!!」

ここまで

喜んでもらえるとは。

「ありがとう、スピネル。」

スピネルは

目に涙を浮かべながら

パフェを堪能していた。

・・・。

スピネル・・・。

これから

おいしいもの、

たくさん食べさせて

あげるからな。