フールの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説 1 序章

 

こんにちは。

僕に話をしてもらいたいというのは君かい?

僕は話すのが得意じゃないから、意味が伝わらないところもあるかもしれない。

そして、今まで語られなかった話だから、

僕や兄さんのイメージを崩してしまうかもしれない。

それを少しでも嫌、と思うのなら今すぐ帰ってほしい。

 

 

ここまで来たということは、

君は僕のつまらない話に付き合ってくれる寛大な人だね。

 

この話を聞きに来たのは君が始めてだ。

 

 

 

兄さん・・・。

なぜ・・・。

 

 

その瞬間、

 

僕は本当の意味で永遠の二番手になった。

兄さんはもういない。

 

 

あれから三年がたった。

あの出来事が僕たちを変えた。

 

ピーチ姫は強くなった。

力ではなく心が。

キノコ王国を支える今まで以上に立派な姫になった。

 

・・・それに比べ僕は何も変わっていない・・・。

 

クッパは今まで以上のカリスマ性で国をまとめあげた。

兵士たちは仲間の長所短所をよく理解し、

チームで襲ってくるようになった。

クッパ自身も以前と比べ物にならないくらい強くなった。

そして頭脳明晰になった。

性格は変わらないが。

 

なぜクッパがここまで強くなったのか。

 

 

それは兄さんがいたとしても絶対に、絶対に勝てるように努力したからだ。

 

 

僕も努力した。

今でもしている。

兄さんは去る前に、僕に全てを叩き込んでくれた。

技も、知恵も、魂も。

兄さんは去ったあとのことも考えていた。

ジャッキーさんとシショーさんに僕に稽古を付けてくれるようお願いしていたのだ。

自分でも強くなるように鍛錬した。

 

 

でも・・・

 

 

修行すればするほど兄さんの強さが分かってきて、兄さんが遠くに離れていった。

 

兄さんを超えることは出来なかった。

 

 

 

 

 

キノコタウンはいつものように賑わっていた。

活気に溢れている。

道行く人はみんな笑顔。

人とはいってもそのほとんどがキノピオだが。

その中に一人だけキノピオではない者が混じっている。

笑ってもいない。

僕だ。

僕は笑顔じゃない。

人目につかぬよう影を薄くして歩いている。

人目につくのが嫌だった。

兄さんがいなくなった事で逆に僕の知名度が上がった。

 

 

嫌だった。

兄さんを

踏み台にしたみたいで。

 

 

アイテムショップに入った。

店内には一人の客がいた。

会計を済ませているところだった。

真正面にカウンターがあるのでここからでは顔が見えない。

キノピオではない。

頭の傘がない。

会計を済ました客がこちらを向いた。

 

僕は硬直した。

 

その客は兄さんに似ていたからだ。

 

 

でも理由はそれだけではない。

目の色が夜の海のように濃く青い。

半分目を閉じていた。

顔には何の表情も浮かべていない。

身にはぼろ布をまとっていた。

発せられる雰囲気は、何か、大切なものが抜けているような虚無感に包まれていた。

異様である。

この世の人でない幽霊のようだ、と僕は思った。

 

彼が口を開いた。

 

見掛けに合わぬ壮年期の重みのある声だった。

 

ルイージ、私に会いに来い。

道はおのずと開かれる。

しかし道中は険しく厳しい。

それでもあきらめずに進み続ければ、私に会えるだろう。」

彼の深海のように冷たい目に一瞬火がともった。

 

さっき、彼を幽霊のようだと形容したがあれは間違いだった。

彼の目は死んではいない。

むしろ何かに向かって突き進む、闘志が宿っていた。

 

彼は布の中から小さな袋を取り出した。

 

「これは私からのささやかなプレゼントだ。

持っていくといい。」

そう言ってその袋を僕に渡した。

ルイージ、これから広場に行け。

理由はすぐに分かる。」

彼は僕の横へ歩いて行き、すれ違いざまにこういった。

「私の名はクリエイター。

また会える日を、・・・。」

最後の方はよく聞こえなかった。

そのまま彼は僕の隣を通り過ぎて行き店から出て行った。

 

 

僕はまだ硬直していた。

頭の中は混乱していた。

最後の一言の聞こえなかった部分。

その部分に入る言葉は少なくとも「楽しみにしている」では無い。

 

なぜなら

 

そのとき彼は

 

 

泣いていたからだ。

 

 

 

広場に行くまでも無く彼、クリエイターの言っていたことを理解した。

5メートル。

僕が見た感じではそう感じた。

広場のあたりに巨大な生き物が静かに立っていた。

 

実際に広場へ行って見てみると改めてその大きさに驚かされる。

見たことの無い生き物だ。

蛇やトカゲに似ている。

そんなやわな体つきはしていないが。

赤い鱗を持つその体を大木ほどもある足で支え、

その巨大な体に見合う翼を持っていた。

その目は理性的でただの怪物でないことを物語っていた。

ドラゴンだ。

話でしか聞いたことは無い。

兄さんがかつて戦ったゴンババ一家や

カイザードラゴンはドラゴンに分類されるという。

しかし、今、目の前にいる生き物は、

そんなドラゴンなど赤子に見えるほど強大かつ荘厳としていた。

 

 

圧倒されている僕にドラゴンが語りかけてきた。

 

ルイージの小説

To Be Continued