フゥルの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

風上

風上、夜 起 合作小説

起 風雨が激しく窓を打ち付けガッタガッタうるさかった。 それでもわたしはCDレンタルの期限ということで外に一歩踏み出した。 天気ごときで延滞料200円は惜しい。 傘が外に出て数十秒でお釈迦になった。 風速10メーターを優に超えている。 普段なら家…

風上、再び 結 合作小説

名付け親。 それが意味するところは義理の親。 またはその子に対して親に次ぐ責任を受け持つ、 つまりその子の本当の親が死んだときに責任を持って面倒をみるということ。 この子はそれを意識して私に頼んだのだろうか・・・ 風から連想される言葉。 私が思いつ…

風上、再び 転 合作小説

うおおぉぉーー!!! なんという暴風。 庇った腕の隙間から、鳩が前を向いたまま後ろに飛ばされているのが見える。 意地を張っている余裕もなくなってきた。 ずるずると足が後ろに後退していく。 うう、降参。 膝をつくかどうかまよっていると、風が徐々に…

風上、再び 承 合作小説

私は近くの市街地に降り立ち、人の姿に戻ってから公園に出向いた。 ・・・少女にあの姿を見られたところで私とわかるわけではない。 ・・・変身するところを直接見られたわけではないのだ。問題はない。 まあ、見事に少女は緊張していた。 肩は上がっているし、足…

風上、再び 起 合作小説

『翼をください』という歌がある。 富や名誉よりも翼を広げて空に飛び立ちたい、という切実な思いを歌った曲だ。 私はその翼というものを背に宿していた。 人の姿。翼をもつ姿。二つの姿を行ったり来たり。 しかし、歌に歌われているような自由は私にはなか…

風上 結 Another side

「人って言われてもな・・・ 私もよくわからないの♪」 「・・・そうか」 わからない、か。本当、世の中は分からないことだらけだ。まあ、それも結構楽しいのだが。 「ちょっとガッカリさせちゃった?」 「・・・いや。」 本当のことを言えば私の知的好奇心は悲鳴を上…

風上 承 Another side

「お嬢さん、一人で何をしているんだい? よかったら教えてくれると嬉しいんだけど・・・。」 「一人じゃないよ?友だちと話していたの♪」 不思議な回答が返ってきた。 友達? 今いるのは私と・・・、風?あと、蝉か? 普通に考えたらこの少女が空想の中のお友達と話して…

風上 転 合作小説

転 「あ・・・あなたは何をしているの?」 そう返してきた少女の声は少々上ずっていた。 知らない人にいきなり話しかけられたのだ。無理もない。 「久方ぶりの休暇をもらってね。散歩をしていたんだ。 まあ、夏の暑さにすぐばててしまったけれど。」 一応若いと…

風上 起 合作小説

起 私の住んでいた町とよく似ていた。 灰色の建物の続く集合住宅。 ちょっとした「旅行」をしにこの町へ来た。 町を大した目的もなく右往左往していると公園があった。 特に特別でもない普通の公園。 少し、休むとしよう。 蝉の鳴く声を聞きながら、私は頭に…