フゥルの鉛筆画ブログ

鉛筆画のイラストや絵を中心に描いています。黒髪が大好きです。時々短編小説も書きます。

ルイージの小説

ルイージの小説 ルート1 終章          宝石の名はスピネル

終章 宝石の名はスピネル 彼は流星を背景に空高く舞い 両手を突き出し 技を 放った。 ≪ネオ・ネガティブ≫ 夜空に似合わぬどす黒い閃光が 氷塊に琥珀のごとく閉じ込められている『それ』に放たれた。 光線が氷を砕き、『それ』を貫いた。 「オ・ルヴォワール…

ルイージの小説 39 分岐1 第八章

星の降る丘。 日中から空が夜のように黒く染まっている。 その名のとおり無数の流れ星が常に天空を横切っている。 天空に輝く星たちの明かりで周囲は明るく、 空気は澄み渡り、 地面の砂は乳白色に淡く発行している。 そんな幻想的な丘。 この世の風景ではな…

ルイージの小説 38 第八章

太陽の光によって・・・ 目覚めたくない。 眠い。 「・・・スピネル、朝だよ。」 例のごとくあくびをしながらテーブルに着く。 彼の目の下が黒い。 「大丈夫?」 わたしは幾度となく言ってきた言葉をまた言った。 「ははッ、大丈夫、大丈夫。」 そういいながら彼は…

ルイージの小説 37 第八章

第八章 月明かりがぼんやり降り注ぐ真夜中に、事は起きた。 わたしが目を覚ましたときにはもう、手遅れだった。 「泥棒!」 そう、泥棒。 誰かがわたしたちの家に侵入し、何かを盗んだ。 「取り逃がしたか。スピネル、ケガは?」 「大丈夫!それよりも何を盗…

ルイージの小説 第七章 エピローグ

第七章 エピローグ 「おはよう、スピネル。」 彼の声でわたしは目覚めた。 いつもと変わらない景色。 上半身を起こしてあたりを見回す。 彼とわたしの家。 憩いの場。 ベッドの上。 「あれ、わたし・・・。」 彼は朝食の用意をしながらわたしに応えた。 「君は…

ルイージの小説 36 後編 第七章 宝石がために鐘はなる

「さすがにこれで打ち止めだね。 すごい執念だけど、 もう、立ち上がれなさそうだ。」 部屋の中央で全身に傷を負い倒れたまま物言わぬ彼を バケモノは嘲笑った。 「馬鹿みたいだよね。 何の利益もないのに。 ウシャシャシャシャ。」 嘲笑を響かせながら彼の…

ルイージの小説 36 前編 第七章 宝石がために鐘はなる

≪鉄斬光≫ ≪ファイアージャンプパンチ≫ 部屋の中央で倒れていた彼の姿が一瞬にして消えた。 そしてあの白いバケモノが奥の窓へと吹っ飛んだ。 「僕は体力には自身があるんでね。」 吹っ飛ばされた布お化けは平然と立ち上がり笑いだした。 「ウシャシャシャシ…

ルイージの小説 35 第七章 宝石がために鐘はなる

BGM Doopliss Remix わたしたちはとうとうこの心地よい部屋から立ち去ることにした。 名残惜しい気もするが前に進まなければ。 この壮大な人災を一刻も早く止めること、それがわたしたちに課せられた使命だ。 部屋の隅にあった魔法陣に三人同時に乗る。 する…

ルイージの小説 34 第七章 宝石がために鐘はなる

「またセキリュウ、出かけるの?」 「すまない。 ちょっと見ておきたいものがあってな。 いつも通り夕方までには帰る。」 「お土産話、またきかせてね。」 「スピネル。」 わたしを呼ぶ彼の声。 そうだ、敵の本拠地のど真ん中で眠ってたんだ。 「もっとゆっ…

ルイージの小説 33 第七章 宝石がために鐘はなる

扉を抜けると・・・ それこそ命を奪うような・・・恐ろしいほどの熱気が襲ってきた。 岩盤で出来た円形の舞台に溶岩の客席。 いつか見た光景だった。 忘れもしない。 ドッスンボルケーノの最深部だ。 「ここは!」 彼は驚き両手を広げわたしをかばった。 不意打ち…

ルイージの小説 32 第七章 宝石がために鐘はなる

道中は鐘の音の影響でお化けたちで溢れかえっていた。 わたしたちはゴロツキタウンとウスグラ村を経由し、 オドロン寺院にたどり着いた。 混乱の中心にある寺院は、正直寺院というより廃墟という名がふさわしい建物だ。 塗装ははげているしところどころ穴が…

ルイージの小説 31 第七章 宝石がために鐘はなる

何度目かの鐘の音が鳴りやむと同時に ルーニャの作戦会議と称した演説が始まった。 「え~、お集まりの皆さん、 本日はお日柄も悪く太陽のかけらもない深淵の中、 お集まりいただきありがとうございますにゃ。」 最悪な出だしだ。 本人が真面目な顔をして語…

ルイージの小説 30 後編 第七章 宝石がために鐘はなる

キノコタウンはもはや異郷の地と化していた。 土管から飛び出したわたしたちが見たのは 足の無いキノピオ達やテレサが町中で すごく楽しそうに乱舞している様子だった。 「ピーチ姫のアイデアだ。 混乱を防ぐために皆にパーティをしようと持ちかけたのだ。 …

ルイージの小説 30 前編 第七章 宝石がために鐘はなる

たっぷり再開の喜びをかみ締め、 わたしは惜しみながらもセキリュウから身を引いた。 「・・・セキリュウ、わたしに対して敬語は止めて。 ・・・今日は仕事じゃないから。」 セキリュウは静かに頷き 「わかった。スピネル。」 と答えた。 セキリュウのわたしに対し…

ルイージの小説 29 第七章 宝石がために鐘はなる

第7章 宝石がために鐘はなる 「スピネル、話がある。」 「なあに?おとうさん。」 「セキリュウにとある仕事が舞い込んできた。 莫大な報酬、価値ある経験の保障、優しい仲間たち。 不定期出勤。」 「なにをする仕事?」 「ある国の傭兵になって欲しいとのこ…

ルイージの小説 第七章 プロローグ

第七章 プロローグ わたしの聞きたかったこと 「・・・ねぇ、ルイージ、ディメーンって・・・何?」 わたしは彼に聞いた。 あの日からずっと引っかかっていたから。 わたしが始めて「猫の手」に行ったとき、 ルイージが『ディメーン』という単語に 憎悪とも取れる…

ルイージの小説 28 第六章 お姫様の宝石

カーネルと僕はまだ間合いの外にいる。 ステップを踏みながら相手を自分のペースに飲み込もうと 必死に『場』を作っているところだ。 攻めるまでの舞台を整える。 実はこれが一番格闘技で重要だ。 相手のペースにのまれた状態で攻めてもカウンターされて終わ…

ルイージの小説 27 後編 第六章 お姫様の宝石

さて、彼の演説が始まった。 「我々はクッパ様から命じられそして三年もの間厳しい特訓をしてきた。」 ・・・三年?訓練期間、短くないか? 「マリオはもういない。 ならば我々が強くなるほかないと決死の覚悟でな! こうして作られた我々、 Black Shellsは外界…

ルイージの小説 27 前編 第六章 お姫様の宝石

正午を過ぎたころようやく服選びを終え、 食堂でいくらなのか想像もできない高級料理を堪能した後に、 ピーチ姫による城内ツアーとなった。 スピネルは折角だからと純白のプリンセスドレスに身を包んでいた。 その状態で城内を練り歩く。 いつの間にか従者の…

ルイージの小説 26 第六章 お姫様の宝石

第六章 お姫様の宝石 青空を模した見上げるほど高い天井。 床に敷き詰められた赤い絨毯。 正面背後左右に扉が有り、常に開けっ放しで人が常に行き来している。 光源がないのにも変わらず、昼間のように明るい。 僕たちはたった今、後ろにある扉からここへ入…

ルイージの小説 25 後編 第五章 激闘の宝石

「スピネル、本当のことを・・・話す?」 ルーニャにはスピネルが道に迷ったところを僕が助けた、 それがきっかけで泊めることになったと、嘘を話してある。 スピネルのここに来るまでの経緯はあまりにも悲惨だったからだ。 「・・・話す・・・。 ・・・ルーニャには・・・…

ルイージの小説 25 前編 第五章 激闘の宝石

『よかったじゃないか! ルイルイ君! これでスピネルの親から正式に付き合うことを認められたようなものだ。 告白まであと少しだよ!★』 病院のベッドで目を覚ます。 目の前に見えるのは昨日と変わらぬ天井。 スピネルは隣のベッドにはいなかった。 おかし…

ルイージの小説 24 後編 第五章 激闘の宝石

いつものテーブルで彼女・・・ルビーと向き合う。 ルビーが先に口を開いた。 「あなたは、本を読む?」 いきなりこんなことを聞かれた。 質問の意図がわからない。 とりあえず答える。 「ああ、読むけど・・・。」 僕の答えに対し小さく頷き、ルビーは妙なことを語…

ルイージの小説 24 前編 第五章 激闘の宝石

目が覚めると僕の家にいた。 病院で眠りについたはずなのに。 このことから察するに恐らく夢だろう。 明晰夢という奴だ。 僕はコーヒーを沸かしに台所へ行く。 スピネルはいない。 コーヒーを沸かし終わった。 リビングへ戻りイスに座り、飲む。 いつもなら…

ルイージの小説 23 第五章 激闘の宝石

『さすがにボクも焦ったよ。 あんなに強い奴がくすぶっていたとはね。 ゆっくり休んで、ルイルイ君。』 目を開けるとある意味で見慣れた光景が目に入ってきた。 無理をしたときに送られる場所。 そう、病院だ。 僕も兄さんも幾度となくお世話になった。 自分…

ルイージの小説 22 第五章 激闘の宝石

とりあえずどうするかを考えよう。 プロミネンスは実は一匹ではなかった。 僕もスピネルも戦うだけの力は残されていない。 出入り口であるトンネルへ続く道は、さっきの戦いで崩壊した。 つまり、僕たちのいる足場とトンネルの間に、 溶岩が立ちふさがってい…

ルイージの小説 21 後編 第五章 激闘の宝石

プロミネンスも僕の動きをだんだん把握してきたらしく、 動きがどんどん激化していった。 僕は狂った人形のように舞い続け、 スピネルは魔法で奴の火炎を打ち消さんがため、詠唱を続ける。 奴はしぶとい。 僕の全力の一撃が奴にとってはまるでかすり傷。 そ…

ルイージの小説 21 前編 第五章 激闘の宝石

ドッスンボルケーノ最深部。 僕たちは出入り口と思われるトンネルの奥を覗く。 一言で言えば大規模な円形劇場のようだった。 岩盤でできた舞台に溶岩の客席。 舞台に続く一本の道が、トンネルの真正面に伸びている。 舞台に出れば恐らく僕たちは踊らされる。…

ルイージの小説 20 後編 第五章 激闘の宝石

ドッスンボルケーノは典型的な活火山だ。 年に一回大きな噴火がある。 内部は空洞になっておりドッスンたちの住処になっている。 とはいえ人前にはほとんど姿を現さない。 なお普通の人が火山内に踏み込むと、火山ガスと高熱に脅かされ非常に危険だ。 僕は『…

ルイージの小説 20 前編 第五章 激闘の宝石

第五章 激闘の宝石 「猫の手」で待っていたのは、カウンター奥のイスに頭を垂れて 出来の悪い人形のように全身脱力して、ぶつぶつ何かを口ずさみながら座っている、 ルーニャだった。 その異様な雰囲気に僕とスピネルはたじろいだ。 「・・・・・・お帰りにゃさい…