いい台詞とは
●いい台詞とは
・現実味を出す
キャラが実在しているかのようにもっともらしく聞こえる
・台詞でキャラをたてる
・情報を間接的に伝えてキャラを動かす
キャラを動かしプロットを前に進める情報をさりげなく伝える。
・キャラの感情と対立を映す
対立は行為か台詞によって成り立つ。
・キャラの動機を暴く、または隠す
行動の動機を示唆する、または隠して好奇心をかきたてる。
・話者と他のキャラの関係を映す
人は、人間関係に応じて言葉を変えるもの。
・連鎖反応を起こす
ひとつの台詞が次の台詞に無理なく繋がり、見事に打ち返しあう。
・今後の展開を予想させる
・扱うジャンルから外れていない
・場面の内容から外れていない
・能動的で目的に向かっていく
簡単には手に入れられないキャラがいる。解決するにはセリフか行動のみ。キャラが対立するときは相手をなだめ、おだて、脅しながら駆け引きしていく。
目的のない台詞、目的達成に必要ない台詞、お飾り、おしゃべり、説明的、行儀よすぎ......これでは盛り上がらない。
●感情的にインパクトを与える台詞
・突っ込み返し
質問や発言にたいしてより鋭い突っ込みをいれる
男「君、男なの? って言われない?」
女「あなたこそ」
・スイッチをいれる台詞
キャラを感情的にさせる強烈な言葉。つまり地雷をぶちぬくような台詞。
・皮肉
「握手しよう(右手のない人に右手を差し出す)」
・並列のユーモア
並べることで笑いを誘う。
「この犬すごく私になついているのよ」
「ああ。すごくなついている犬が私も飼ってるんだ。なつきすぎて毎日吠えつつ噛みついてくる」
・対比のユーモア
正反対の意味合いを同じ台詞に
「この喜劇に出てくれないか! ゾンビに親が殺されて町を逃げ回るんだ」
「喜......劇?」
・二重の意味を持つ言葉によるユーモア
「はやくその薬を飲むんだ。楽になる」
「毒が治るの?! それともトリップするの!?」
・ウィット
ポジティブをネガティブに変える
「俺はお前を去年一年見て、『もしかすると、吉井はバカなんじゃないか?』なんて疑いを抱いてんだ」
「それは大いなる間違いですね。そんな誤解をしているようじゃ、更に『節穴』なんて渾名をつけられちゃいますよ?」
(中略)
「お前はバカだ」
ネガティブをポジティブに変える
「こいつは俺の女房、昔は美人だった」
「今は超美人」
当たり前だが予想外
「どの離婚にも必ず発見できる共通した原因とは何かわかりますか?」
「性格の不一致?」
「いえ、結婚したことです」
・誰かに注意を促す
「気を付けろ、なんか嫌な予感がする」
・誇張
比喩をやたら壮大にすることで笑いを誘う
「あいつの胸は牛のよりも大きいんだから!」
・暗に示す
頼みがあるんだが・・・連れを起こさないでくれ、死ぬほど疲れてる。(死んでる)
・控えめな表現
ヤバイことをやたらと控えめに表現する
「ちょっとこげただけさ」(自宅全焼)
・話をそらす
・KYな発言
「妊娠何ヵ月です?」
「私、妊娠なんかしてませんよ?」
・台詞の途中で口を挟む
「これからどこに......」
「二番通りに! 早く!」
・羅列
~だし、~だし、~じゃない! と言葉を羅列する。イライラの現れ。
「あんた一体なんなのよ! 車は盗む! シートは引っぺがす! あたしはさらう! 娘を探すのを手伝えなんて突然メチャクチャは言い出す! かと思ったら人を撃ち合いに巻き込んで大勢死人は出す! 挙句は電話ボックスを持ち上げる! あんた人間なの!? お次はターザンときたわ! 警官があんたを撃とうとしたんで助けたわ! そうしたらあたしまで追われる身よ! 一体何があったのか教えて頂戴!」
・暗喩と直喩
「こんなの飛行機じゃないわ! 羽のついたカヌーよ!!」
「だったら漕げばいいだろ!」
「そんなぁ......」
・同じ構造の文での繰り返し
「いけ、バータック。いけ、デートロイ。いけ、メンフィス。ただしロイ、テメーはダメだ」
・エスカレートする台詞
「絶対にそれはない。いや......多分ないです。あ、まって、もしかしたらないかも......。」
・不意打ち
「俺はは逃げられてハッピー。その上嫌いなあいつがいなくなる」
「そうだ、私は君の仲間を捕まえられてハッピー。さぁ、君の仲間の場所をいいたまえ」
「だが断る!」
・お膳立てと種明かし
話の前半で伏線をたてて後半で回収する
刑事「犯人はメイドだ」
部下「推定身長二メートル。リンゴを素手で握りつぶせる握力があると思われます」
刑事「メイドはないな」
・会話の引き金になる言葉、フレーズ
あえて疑問に思うことなどを投げかけ会話の引き金を作る。
「奴らが俺を見つけるまでは無線を使うな」
「どうしてそれが分かる?」
「島がドンパチ賑やかになったらだ」
・意外な反応
「娘はどこだ?」
「まぁ落ち着け。銃を突き付けられてはビビって話もできやしねぇ。娘は無事だ大佐、少なくとも今のところはな。この先どうなるかはあんた次第だ。無事取り戻したければ・・・俺たちに協力しろ、OK?」
「OK!」(ズドーン!
・繰り返し
「まだだ、走れ! そうだ、走れ! 走れ! もっと早く!」
・理屈抜きで本能に訴える
緊張させたり、怖がらせたり、興奮させたりする台詞
「助けてくれぇ!」
・使いふるされた言葉の応用
「お前は石橋を叩いて渡るタイプか」
「いや、叩きすぎて壊すタイプだ」
・はい、いいえ以外の反応
「友達の家は楽しかった?」
「あれは家とは言えない。倉庫だった」
キャラの個性を際立たせる台詞
・対照的な台詞と文脈
・対照的な台詞とテンポ
・決め台詞
・はしょった台詞
・専門用語、仲間内の言葉、スラング
・譲れないもの
お互い一歩も引かない
・我が道をいく
片方のキャラが自分の話だけ一方的に進める
・方言
・特徴と態度を表す
・感覚的な好み(触覚・視覚・聴覚)
・喋りのリズム
感情に訴えるキャラを作る方法
- 作者: カール・イグレシアス,島内哲朗
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2016/04/11
- メディア: 単行本
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複数の創作本に手を出しましたが、キャラメイクについてのコツは大方網羅されていました。脚本術、とはかかれていますが応用すればキャラクター小説等にも応用できそうです。
細かい表現や、ストーリー上の役割まで書き写すとめちゃくちゃ長くなるので、ここでは割愛します。
●キャラ造形に必要な5つの質問
①主役は誰か
⚪主役のタイプ
英雄(憧れの人)・普通の人・負け犬(最初から読者よりも下の目線で生きている人)・罪深き者(アウトロー)の四つのうちどれか
⚪特徴
感情的・心理的・知的な特徴を陰陽中を取り混ぜて設定する
⚪価値観
その人なりの物事の見方。心情や態度、価値観
⚪欠点
怖れ、客観の欠如、不満、心の傷、感情的問題
②何を求めているのか
複雑なプロットを潜り抜けてでも手に入れたいと思うような緊急性のある具体的な目標がgood
③なぜ求めているのか(キャラの動機)
なぜそのような行動をとるのか。②で示したものを求めるのか。生存と安全、愛情、集団への所属、承認欲求、自尊心、好奇心などが行動理念になっていることが多い。
④失敗したらどうなるのか
ハラハラ感を出すために重要な要素
⑤どのように変わるのか
身体的な変化、行動の変化、心理的な変化、感情の変化などどれでもよい
例)内的変化
・心の傷を癒す。
・間違った考えや行動をしていたことを悟る
・能力を余すことなく発揮する
・人生をよりよくするための気付き
●キャラ紹介の具体的な方法
ただ設定を羅列しても読者はダレてしまう。工夫して読者にキャラクター像を伝えるにはどうしたらよいのか?
①名前と人物紹介。
名前はキャラを方向付ける重要な事項のひとつ。よく考えて名付ける方がよいとされる。また、人物紹介は数行(キャッチフレーズ)でそのキャラの個性を出す。
②対比
・内面との対比:特徴、欠点、欲求、必要なもの、感じかたを対比することでキャラの矛盾をあぶり出し、読者に興味をもってもらう。(普通のイメージと反対の特徴を持たせるのも手。例『ガタイはよいがスポーツのできないイケメン』)
・二人の人物を対比させる:紹介したいキャラと正反対のキャラを登場させ、対比することでキャラを紹介する。コンビを組ませるのも手。
・環境との対比させる:おくびょうものを戦場へいかせたり、女性嫌いのキャラを合コンにいかせたりして、環境に対するキャラの反応でキャラを紹介する。
③脇役を利用
・他者にどう思われているのか
登場人物にそのキャラを語らせることで、説得力を出す
・周囲の人たちにどう影響するのか
そのキャラがいるときの登場人物の動きで表現する(例:彼が部屋に入った瞬間、部屋の中にいた人物が全員恐怖で凍りついた)
④台詞を利用
背景、教育環境、職業、性格、態度、ムード、感情、などを数行で伝えることができる。
例)「俺は俺より強い奴に会いに行く」「オッス! おら悟⚪! つえぇ奴と戦いたくてワクワクすっぞ」
⑤行動、反応、決断で紹介する。
・ギリギリまでキャラが追い詰められたとき、どう感じどう行動するか
・ついやってしまうこと
・好きなものや嫌いなものにたいしての反応。何に対して怖がるのか。
・ジレンマに対する反応(二者択一かつどちらも正しいor間違っている難題を突きつける)
・特定のシチュエーションで何をするのか、はたまた何をしないのかをかく(捨て犬を拾う、拾わない等)
・秘密を各層とするのか、暴露する勇気が持てるのか
⑥身ぶり・象徴。道具
身ぶりや癖(例:戦う前に土で手を清める)
趣味や興味を持つもの(例:古い007が好き)
小道具(例:金色のライターが宝物)
象徴(例:全身黒色の服)
イメージ(例:ハゲ鷹のようにいやしい男)
●キャラと読者を繋げるための工夫
①理解と共感を得る
「この場に置かれたら私も同じことをする」、という風に誰もが共感できる価値観を持たせる。
②魅了する
独創性:価値観や態度、身なりや癖が独特。
欠点と問題点:弱味を見せることで親しみやすいキャラに。(何かが恐いというのがハラハラを読んでオススメ)
バックストーリー:過去に成し遂げたこと、過去に受けた心の傷を見せる(トラウマや成功例、そこから来る願掛けなど)
③神秘性
謎めいた過去:例)なにかを隠してる→どんな過去があったの!
謎めいた現在:例)謎の行動→かつての英雄がなぜ敵に
謎目いた未来:例)生活をとるか恋をとるか! →先が読めない、これからどうなるの!
●読者の共感をつかむキャラとは
①犠牲者、かわいそうに思えるキャラ
・見覚えのない扱い・不当・不正義・不平
からかわれる、恥をかかされる、嘲笑の的、侮辱される、無視される、差別される、濡れ衣を着せられる、半殺しにされる
・予期せぬ不幸(悲しい運命、不運)
最愛のものを失う、大切ななにかor誰かを失う、運に見放される
・身体的、心理的に不利な条件、健康や経済的な問題。
重度のハンディキャップ、体が不自由、知的障害、依存症や難病、経済的な困難
・逃れられない過去の傷
・弱味を見せる瞬間
・裏切りと欺瞞
・本当のことを言っているのに信じてもらえない
・見捨てられる
・のけ者と拒絶される
・孤独/無関心にさらされる
・心配と公開
・怪我に苦しむ
・危機的状況に陥る
②人間味溢れるキャラ
・困っている人を助ける
・子供好き、子供から好かれる
・動物好き、動物から好かれる
・心境の変化、または許し(嫌っていた人を受け入れたり、反発していた人に同意したり)
・命がけor自己犠牲
・大義のために戦うor死ぬ
・倫理的・道徳的に正しく、誠実で責任感があり頼れる
・誰かを愛している
・みんなに大事にされる
・独りでいるとき人間味を見せる(ここで悪役を介入させると際立つ)
・優しいふるまい
③誰もが望むような資質であこがれを持たせる
・権力やカリスマ、リーダーシップ
・華麗な職業
・勇気
・能力/専門性
・子供のような純真さ
・子供のような熱意
・身体能力
・粘り強さ(弱味を持っていても努力してやりとげる)
・はぐれもの、反逆者、奇人変人
能力バトルものの戦闘を考える
⬆以前書いたバトル風のプロットを元に、さらに手を加えたものです。ジョジョの奇妙な冒険をはじめとする知恵で戦うタイプのバトル漫画を参考にしています。
①敵に奇襲される。
敵に能力は知られており、こちらは敵の能力をしらない。最初から敵の術中にはまっている。敵の攻撃に気づくまでの過程をサスペンス風に表現すると緊迫感が増す。
1.誰か一人が違和感に気づく。あるいは何らかのアクションを起こす。
2.別の仲間は気づかない。
3.違和感に気づいた最初の一人が敵襲に気づく。がすでに出遅れ。
4.戦闘に参加しない仲間が次々やられる。
②能力を探る
知恵と自分の能力と敗れた仲間からの情報を活かして敵の能力の大まかな特性を探る。
③一時回避
能力の特性を掴み一時的に避難し作戦を練る。が、しばらくすると奇怪な方法(能力の応用)で敵から再び奇襲される。一時回避の後、敵の能力がほぼ判明する。
④反撃
敵の粗を探して、敵が止めを刺しにきた所を、逆にこちらが能力で奇襲あるいは逃げ道のな居場所に敵を追い詰める。敵は反撃されるとは思っていないので、ここではじめてダメージが入る。
敵も自分の技の弱点を把握していることが多く、敵の能力の弱点を安直に突こうとすると手痛く反撃される。そのため、二段構えの策が必要となる。
また、ここからさらに敵による逆転➡一時回避に発展することもある。
⑤最大の危機(山場)
敵が追い詰められて新たな力を獲得する。もしくは、精神的に成長したり、さらなる能力の応用を見せる。(地形等による局所的な強化もあったりする)。敵の逆転劇。仲間はたいてい一人を残して全員戦闘不能に。生き残った一人も今まさに死ぬ寸前。逃道はない。
作品の中で書く逆転方法以外の別回答を全て潰しておくのがポイント。
⑥敵の最後の悪あがき。人質をとったり外道な手で主人公を陥れる。が、所詮はその場しのぎ。速攻で攻略されぶちのめす。決着は最大の危機を乗り越えた時点でついているため、あとは煮るなり焼くなりシリアスなギャグに走るなりご自由に。
敵は冷静さを失いがむしゃらに動く。なので、致命的な粗を曝すことが多い。
なお、最後の悪あがきの結末は
・奇襲に成功するが結果はかわらない(あらかじめ主役が読んでいて手をうってある)
・あと一歩のところで冷静に逆転される。
・五体満足の味方が増援に入りあっさりと負ける
・奇襲する前に潰される